死ぬまで怒られる社会って、どうですか。 | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫

       
  弦阿弥師







見台








故・弦阿弥師という方がいらっしゃいます。


わたしの師匠の師匠である山城少掾師匠が教えを受けた方ですので、戦前の方です。




この師は、稽古にきた人が文楽
ぶんらく
の下っ端だろうが、上の人であろうが、はたまた素人の愛好家だろうが、たいへん教え怒ったそうです。






そして夢中になると、ここが悪いかしこが悪いと言いつつ、手に持っていた撥で思わず机の前をたたく。

それが年々年々、積もり積もって右の拳骨大のくぼみとなったのである。


文楽
ぶんらく
の研究/三宅周太郎・著







机をたたき、くぼみになる程怒られたそうです。


また、








又、片手を口許から顎へかけて、つるっとなで下ろす癖があった。

もし翁の手が顎へかかると人はおやおやと思った。

稽古の非難をする前、必ず顎をつるっとなでるのが、その小言の前兆であったからだ。


同じように、人の語るのを聞く時、傍で線香をたく。

そしてこの顎なみに気に入らぬことがあると、ふうむと線香を鼻へ持っていく。

そしてすうっとその煙を吸う。

これも不満の印の一つであった。


文楽
ぶんらく
の研究/三宅周太郎・著







ともあります。



今は怒る・怒られることが少ない社会ですね。



もちろん、不当で感情的で理不尽な「怒る」「あたる」は論外。




愛を持って怒る・怒られることは、技術職である我々には必要不可欠です。




先日、伝統芸能の人間は伝統にあぐらをかいているという意見をちらりと目にしました。

伝統芸能というのは、「古い」芸能では決してないのですよ。




これは勘違いされがちで、どうご理解を得たらいいのか言葉を選ぶのが難しいところでございますが、

伝統芸能は、常に新しくなっている芸能でございます。




何百年の間、ロングヒットを続ける作品を輩出し続けている上に、それを時代時代のお客様に受け入れられるよう進化させている。

もちろん、その変革を間違えればそれは退化どころか、出来上がったものを壊すということになります。



また、新作を作っていることも、忘れていただくと困るところでもあります。



そういった宣伝活動の少ないことはたしかに文楽の悪いところであると思います。



わたしの心といたしましては、新しいお客様に観ていただくことも、リピートでずっと来ていただいているお客様も皆大切です。







テレビや映画が芸能の全てではなく、機械ごしにではなくて生の芸の力を感じに来ていただけたらなと思います。


息遣い、震える劇場、肌にささる緊張感、熱を帯びた空気。





とくに文楽
ぶんらく
・歌舞伎・落語などはマイクなどを通しませんので、どこまでも生身を体感していただけます。




人間はここまでできるのか、ということを感じていただけると思うのです。







そのためにわたしたちは修行しています。





何百年の間、進化を続けている芸能。

何百年ぶんの基礎があります。




数ヶ月、数年ではとても会得できません。




何百年と天才たちが育ててきた芸の基礎を体得するまでに、何十年もかかるのはおかしなことでしょうか。


そんなに驚くようなことでしょうか。







誰もが口を揃えていうことがあります。






「死ぬまで修行」





それは、






そういうことです。


















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