◾️仮名手本忠臣蔵
道行旅路の嫁入
平成16年11月公演
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浮世とは誰がいひ初めて飛鳥川。
ふちも知行も瀬とかはり、よるべも浪の下人に結ぶ塩谷の誤りは、恋のかせ杭加古川の、娘小浪が許婚結納も取らずそのままにふりすてられし物思ひ、母の思ひは山科の婿の力弥を力にて、住家へ押して嫁入りも、世にありなしの義理遠慮。
腰元連れず乗物もやめて親子の二人連れ。
都の空に志す雪の肌も寒空は、寒紅梅の色添ひて、手先覚へず凍え坂。
薩垂峠にさしかかり、見返れば富士の煙の空に消へ、行方も知れぬ思ひをば晴らす嫁入の門火ぞと祝ふて三保の松原につづく並松街道を狭しと打ったる行列は誰と知らねどうらやまし。
アヽ世が世ならあの如く。一度の晴と花かざり伊達をするがの府中過ぎ。城下過ぐれば気散じに
母の心もいそ〳〵と二世の盃済んで後閨の睦言私言(むつごとささめごと)。親知らず子知らずと蔦の細道もつれ合ひ、男松の肌にひったりとしめてかためし新枕。女夫が中の若緑、抱いて寝松の千代かけて、変はるまいぞの睦言は嬉しからう
とほのめけば
アノ母様の差合ひを脇へこかして鞠子川。
宇津の山辺の現にも、夢にも早う大井川、水の流れと人心、都の花に比ぶれば、日蔭の紅葉色づいて、つい秋が来てさ男鹿の妻故ならば朝夕に辛苦するのもなんのその。
この手柏のうら若き二人が中にやや産んで、ねん〳〵ころろんや、ねんねが守はどこへ行た。
どことは知れたその人に逢ふて恨みをなんとまあ、どう言ふてよからうと、しんき島田のうさはらし。我が身の上をかくとだに。人しらすかの橋越へて、行けば吉田や赤坂の
招く女の声揃へ
〽︎縁を結ばば、清水寺へ参らんせ。音羽の滝にざんぶりざ、毎日さう言ふて拝まんせ。さうじやいな、ししきがんかうがかいれいにうきう。神楽太鼓にヨイコノエイ、こちの昼寝を覚まされた。都殿御に逢ふて辛さが語りたや。ソウトモ〳〵。もしも女夫とかかさまならば伊勢さんのひきあはせ
鄙びた歌も身にとりてよい吉相になるみ潟。
熱田の社あれかとよ。
七里の渡し帆を上げて、艪拍子揃へてヤッシッシ。舵取る音は鈴虫かいや、きりぎりす鳴くや霜夜と詠みたるは、
小夜更けてこそくれ迄と、限りある舟急がんと母が走れば
娘も走り空の霰に笠覆ひ舟路の友の後や先。
庄野亀山せきとむる伊勢と吾妻の別れ道。
駅路の鈴の鈴鹿越え、間の土山雨が降る。
水口の端に言ひはやす
石部石場で大石や
小石拾ふて我が夫となでつさすりつ手に据ゑて
やがて大津や三井寺の麓を越えて山科へ
程なき里へ
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