「愛は地球を救う」のが現代。「愛は来世を救う」が昔の愛。 | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫


愛はIとIの逢からはじまる。













今日は今のハッピーエンドと昔のハッピーエンドの違いについて書いてみようと思います

こんばんは。
シェリーです



わたしはこのブログ「さきじゅびより」でアシスタントをしています。



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「愛は地球を救う」



現代の愛はわたしたちの生あるうちに、わたしたちを救ってくれるものと無意識に仮定しているような気がするわ。


今の日本人が面白いと個人的に感じるのは、いわゆる宗教徒が表立っては少ないということだということ





ほら、このあいだのノートルダム大聖堂の火災。


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ノートルダムの鐘
石丸幹二


日本では世界遺産の損壊として報道されていたけれど、地元フランスでは、ローマ・カトリックにおける聖母の損害として涙されたの


仮に、京都の清水寺や奈良の東大寺が焼けても、おそらく「世界遺産の神社仏閣の損壊」として報道すると思うのね。


「日本人の仏教の礎が崩れ落ちた」と精神的宗教的観点からのトピックスの立て方はあまりしないと思うの。




これが適切な例えといえるのかは分からないけれど、日本の人にはあまり広域な宗教観念が存在していないように思えるの。



ただ、無宗教というのともまた違うのよね。

これがわたしにはまだよく分かっていないところで、考えたい余地のあるところ。



ともかく、「現代」の物語における「愛」のハッピーエンドのオーソドックスな結末の定義には「生きていること」が前提にあると思うの。

これは日本の人の宗教観念が広く薄い現代だから定着しているハッピーエンドの形だと思うのね。




いろんな「愛」を阻むハードルはあるけれど、そこに身分の差が挟まる余地はあまりないし(意図的に商業的なものになっていないだけなのかもしれないけれど)、だいたい乗り越えるのよ




それで、こういった物語の定義の波はやっぱり疑いようなく、最初の波は文明開化後にきて二つ目の波は終戦後に来ていると思うのよね。






では、それまでの物語の帰結はどうだったか





まず、鎖国の間、絶対的に日本の人を縛っていたのが、封建社会よね。

身分の差がはっきりしていて、その身分は世襲制だった。



これは現代とは違う大きな大前提ね。

勇気・努力・友情で乗り越えられない、という絶対的常識。







それでも、人間は生き物だから、身分の差があっても愛し合ってしまうもの。






ではその愛はどのようにして登場人物たちを救うのか。





そこで島国である日本、さらに鎖国中である日本には、日本独自に進化した仏教的観念が生活レベルで人々の身に刻まれていたということが多いに関係してくるの



南無阿弥陀仏



ってどういう意味かわかる???

わたしの故郷のアーメンとは価値観がかなり違う言葉なのよね




(もちろん当時の日本にも宣教師によるキリスト教徒がいたという事実込みで)
日本人はこの南無阿弥陀仏に親しみを感じるくらいに浸透していた。


南無阿弥陀仏は、南無+阿弥陀仏に分かれるの。


法然さんは、南無阿弥陀仏は「阿弥陀仏さま、わたしをお救いください」という意味が六字に込められていると説いた

阿弥陀仏とは阿弥陀如来のことで、極楽浄土という国を持っている仏様のひとりなの


つまりは、極楽浄土でわたしを救ってください、という意味合いが含まれるのね。

ここから他力やら本願力やらいろいろあるみたいなのだけれど、それは話が長くなるから省略。

今日のテーマにもどるわ



絶対的な封建制度による階級社会において、許されない愛はぜったいに報われないの。
「現世」では。


だから、心中するという「愛」の帰結が生まれるわけ。




死んであの世で、極楽浄土で救われる「愛」


ひいては、現世で叶うことは決してないので、来世、その先の廻り廻ってくるいつの世までも「愛」し合おう、という命を超越した愛の帰結、それが文明開化より前まで広く庶民の心をうったハッピーエンドだったのね。





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曽根崎心中






というように、今のハッピーエンドと、昔のハッピーエンドではやや違いがあるみたい。


これから文楽
ぶんらく
や歌舞伎をご覧になる方は頭の片隅に少しだけそれを含んで観ると面白みが増すと思うわ




シェリーでした







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