本日発表の直木賞で、文楽のお芝居の演目「妹背山婦女庭訓」の作者である近松半二を描いた物語「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」の受賞が発表されました!!!
わーーーーーー!!!!!
めちゃくちゃ嬉しい!!!!
ご挨拶がおくれました。
文楽の太夫、豊竹咲寿太夫です。
文楽の物語がこうして多くの方に読んでいただけると思うと、口角が緩んでしまいます。
こちらが直木賞受賞の「渦」です。
妹背山婦女庭訓は五月に上演したばかりですので、まだ身体に感覚が残っており、余計に我がことのような嬉しさを感じています。
それに、作者の大島真寿美さんは呂太夫兄さんのもとで義太夫のお稽古をなさるほど、文楽に愛情をそそいでくださっています。
個人的に寿の字が入ってらっしゃるので親近感が湧きます。笑
三浦しをんさんの仏果を得ずもそうですが、我々のこの「芸」という抽象的かつ単純には把握しえないものに正面から長期間にわたって芯の部分から向き合い産み出していただいた物語というものは、商業の域を超えるのですね。
ただただ利益をあげたいがために、キャッチーでネームバリューのある人・ものを使い、一度成功体験をした同じテンプレートを再利用して、収益だけをもとめる創作ビジネススタイルが蔓延る中、渦の受賞は心から嬉しく思います。
ぼくの信じる、創作商業は利益ありきじゃない、という夢を見せていただきました。
さて、近松といえば、まず真っ先に思い浮かぶのが近松門左衛門でしょう。
文楽、いえ、日本の小説・戯曲・演劇全てにおいての原点であり、転換点であり、改革者であり、進化の源。
それがこの近松門左衛門という人です。
近松門左衛門と竹本義太夫が、人形浄瑠璃を道頓堀で爆発的に流行らせました。
近松半二とは、その後の時代の人です。
近松門左衛門同様、本名は別にあって、近松半二はペンネームです。
「近松」をなぜ名乗ったかというと、近松門左衛門に傾倒していたからなんですね。
近松門左衛門のころというのは、ひとりで作品を書くのが普通でした。
とはいえ、近松門左衛門という人は速筆で天才的な人でしたから、簡単に同じ偉業を達成できる人は少なかったことでしょう。
近松門左衛門・竹本義太夫という天才二人の没後、竹本義太夫の創設した竹本座に在籍した並木宗輔が「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」「仮名手本忠臣蔵」という現代においても傑作と名高い作品を数名での合作で作りあげました。
このあたりから演劇の脚本は合作という方針が珍しいものでなくなってきます。
とくに時代物(源平合戦・王朝・幕府を題材にしたもの)はひと作品のボリュームが大変大きく、例えるならば、ロード・オブ・ザ・リングを一部から三部まで、スターウォーズを一部から九部まで一度に作るようなものでした。
ロード・オブ・ザ・リングはピータージャクソン監督が1人で作り上げましたね。
こちらが近松門左衛門タイプ。
スターウォーズはジョージルーカス監督のもと、複数人の監督で作品をつくりあげています(九部が楽しみです)。
こちらが近松門左衛門以後のタイプ。
近松半二という人は、並木宗輔のもう一つ後の時代の人です。
ちなみにこの七月・八月の文楽公演で上演する日高川入相花王 は近松半二が作者に名前を連ねている作品です。
近松半二は近松門左衛門が亡くなるのと入れ替わりで生誕していますので、近松門左衛門と面識はありません。
彼は人形浄瑠璃と歌舞伎に伝説を残してこの世を去った近松門左衛門に傾倒するのです。
そうして、1771年、現代においても傑作と名高い妹背山婦女庭訓を、メイン作者として完成させるのです。
この妹背山婦女庭訓によって興行的に下火になっていた竹本座がふたたび持ち直したというほどで、現在においても人気作でございます。
近松の名を継いだこの近松半二。
その人生。
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文楽の物語がこうして多くの方に読んでいただけると思うと、口角が緩んでしまいます。
こちらが直木賞受賞の「渦」です。
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妹背山婦女庭訓は五月に上演したばかりですので、まだ身体に感覚が残っており、余計に我がことのような嬉しさを感じています。
それに、作者の大島真寿美さんは呂太夫兄さんのもとで義太夫のお稽古をなさるほど、文楽に愛情をそそいでくださっています。
個人的に寿の字が入ってらっしゃるので親近感が湧きます。笑
三浦しをんさんの仏果を得ずもそうですが、我々のこの「芸」という抽象的かつ単純には把握しえないものに正面から長期間にわたって芯の部分から向き合い産み出していただいた物語というものは、商業の域を超えるのですね。
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ただただ利益をあげたいがために、キャッチーでネームバリューのある人・ものを使い、一度成功体験をした同じテンプレートを再利用して、収益だけをもとめる創作ビジネススタイルが蔓延る中、渦の受賞は心から嬉しく思います。
ぼくの信じる、創作商業は利益ありきじゃない、という夢を見せていただきました。
さて、近松といえば、まず真っ先に思い浮かぶのが近松門左衛門でしょう。
文楽、いえ、日本の小説・戯曲・演劇全てにおいての原点であり、転換点であり、改革者であり、進化の源。
それがこの近松門左衛門という人です。
近松門左衛門と竹本義太夫が、人形浄瑠璃を道頓堀で爆発的に流行らせました。
近松半二とは、その後の時代の人です。
近松門左衛門同様、本名は別にあって、近松半二はペンネームです。
「近松」をなぜ名乗ったかというと、近松門左衛門に傾倒していたからなんですね。
近松門左衛門のころというのは、ひとりで作品を書くのが普通でした。
とはいえ、近松門左衛門という人は速筆で天才的な人でしたから、簡単に同じ偉業を達成できる人は少なかったことでしょう。
近松門左衛門・竹本義太夫という天才二人の没後、竹本義太夫の創設した竹本座に在籍した並木宗輔が「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」「仮名手本忠臣蔵」という現代においても傑作と名高い作品を数名での合作で作りあげました。
このあたりから演劇の脚本は合作という方針が珍しいものでなくなってきます。
とくに時代物(源平合戦・王朝・幕府を題材にしたもの)はひと作品のボリュームが大変大きく、例えるならば、ロード・オブ・ザ・リングを一部から三部まで、スターウォーズを一部から九部まで一度に作るようなものでした。
ロード・オブ・ザ・リングはピータージャクソン監督が1人で作り上げましたね。
こちらが近松門左衛門タイプ。
スターウォーズはジョージルーカス監督のもと、複数人の監督で作品をつくりあげています(九部が楽しみです)。
こちらが近松門左衛門以後のタイプ。
近松半二という人は、並木宗輔のもう一つ後の時代の人です。
ちなみにこの七月・八月の文楽公演で上演する
近松半二は近松門左衛門が亡くなるのと入れ替わりで生誕していますので、近松門左衛門と面識はありません。
彼は人形浄瑠璃と歌舞伎に伝説を残してこの世を去った近松門左衛門に傾倒するのです。
そうして、1771年、現代においても傑作と名高い妹背山婦女庭訓を、メイン作者として完成させるのです。
この妹背山婦女庭訓によって興行的に下火になっていた竹本座がふたたび持ち直したというほどで、現在においても人気作でございます。
近松の名を継いだこの近松半二。
その人生。
ぜひ、「渦」を読んで、文楽を観にきていただきたいなと思います。
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