初日は本当に緊張しました
先週の土日は名古屋の中日劇場で公演でした
東京公演が終わってから割とすぐだったので、気分が東京公演のまま名古屋入りしました。笑
今年は中日劇場開場50周年だったので(国立劇場と一緒です!!)今回の公演は記念公演でした。
三月から数えると実に約三ヶ月ぶりの師匠の復帰公演にもなりました。
演目は寿式三番叟。
おめでたい時にかかる演目の代表格と言っても過言ではありません
ちなみに寿・式三番叟ですよ◎
能の「翁」からきている演目です。
今回は正面の舞台に特設の床が組まれ、太夫三味線は正面で演奏しました。
これは滅多にあることではなく、今回のような50周年記念やこけら落としなどアニバーサリーな時に正面ですることが多いです(ちなみに九月の東京公演も50周年記念なので正面になるようです)。
今月の鑑賞教室の二人三番叟は寿式三番叟の中の「三番叟」の二人の舞に特化した演目です。抜き出した状態ですね。
お昼の部は仮名手本忠臣蔵の勘平腹切の段。
夜の部は壷坂観音霊験記と本朝廿四孝。
全てが始まる前に、各部、舞台の上であらすじ解説があり、ぼくは夜の部の解説担当でした。
壷坂観音霊験記は明治時代にできた演目で、比較的新しく、ストーリーもシンプルなのでこちらはすっと解説できるのですが
問題は
本朝廿四孝でした。
こちらはガッツリとした時代物。
最近では今回上演した十種香の段と狐火の段が主にかかることが多いのですが、そこだけでは物語の背景やストーリーの全容がイマイチわかりません。
忠臣蔵や菅原伝授手習鑑や義経千本桜のように、各段である程度違う話だと解説もしやすいのですが、この本朝廿四孝は初めから終わりまで話がほとんど途切れないのです。
「大序」から「大詰め」まで繋がっていて、さらに十種香と狐火はほぼ終盤なため、ここまでのあらすじをきっちり解説しなければ、いったい何がどうなっているのか分かりづらいという難点がありました。
しかし、当初は壷坂観音霊験記と本朝廿四孝を合わせて5分で解説しなければいけないという制限があったため、本朝廿四孝を3分で解説できるようなとても簡単なものを考えていました。
舞台稽古で改めて舞台を観させていただき、物語の複雑さを再確認したぼくは、急遽解説を作り直すことにしました。
5分の予定を7分に延ばしてもらい、その晩、大序から床本を全て読み直しました。
物語をあらすじレベルでなく、一言一句の単位で理解し直し、もう一度頭の中で整理、解説を作り直しました。
もちろん作り直すだけでは駄目です。
舞台で解説をするのですから。
覚えなければいけません。
とはいえ、物語を詳細なところまで理解した後なので、解説として文章に書き出す作業をすることが、覚える作業の大まかなところを担っていました。
初日は本当に緊張しました。
何を取捨選択して解説するか考えて考えた解説、お客さんに伝わらなければ意味がありません。
まちがえることなく無事に解説を終えることができ、終わってから30分は心臓がどきどきしていました。
二日目は全く緊張することなく、いつものペースで解説をすることができました。
本当は手弱女御前やら板垣やら、たくさんの登場人物が複雑に絡み合う演目なので、細かいところまで話しているときりがないのですが、今回は十種香に直接つながるところを発端からきっちり解説させていただきました。
微力ながら、文楽を楽しんでいただける力のひとつになれたらな、と解説ではいつも思っています。
さて、去年も中日文楽にパンフレットにマンガを載せていただきましたが、ありがたいことに今年も描かせていただくことができました。
去年は初めてのマンガということで反響もあり、おかげさまで引き続き描かせていただいた形になります
単純に続きにしようか迷ったのですが、今年はまた研修生の募集が始まるので、「入門するにはどんな方法があるか」をマンガにしようと考えました。
1ページですので、描けることは限られます。
結果、こうなりました。
研修制度もあるよ、と含ませつつ、ぼくと同じく師匠に直接入門するある男の人のお話です。
モデルはありません。笑
完全フィクションです。
が、汐太夫さんの語っている姿は、住大夫師匠の写真を参考にさせていただきました。
顔のモデルもいません。笑
完全創作です
マンガやイラストのお仕事はどしどし募集中ですよ!笑