退院の日。
次女は、時間はかかりましたが、ちゃんと朝食と昼食を完食し、午後に退院しました。
入院した日は、酷い猫背で、目は虚ろ、支えなければ歩けなかった次女ですが、退院の日は、背筋をピンと伸ばして、笑顔で、誰の力も借りず、一人でしっかり歩いて病院を出ることができました。
短い入院で、見違えるように元気になった姿に長女も父親も驚いていました。
その日の夕食の時間は、本当に幸せでした。
「海鮮丼が食べたい!!」
という、次女のリクエストで夕飯は海鮮丼。
盛り付けた食事の量に怒ることも、長女を干渉することもありませんでした。
次女は入院中、夜中に別の病棟から高齢のおばあさんが迷い込んできて、誰かの名前を叫びながら廊下を歩き回っていたこと。
主治医が、病室にやってきて、延々と自分の昔話だけを話して帰ったことなど、おもしろおかしく話してくれました。
食事中、みんな笑っていました。
家族で、こんなに楽しく食事ができたのは、本当に久しぶりでした。
「もう、入院したくないから!私、もう治ったからね。」
と得意顔で言う次女。
その日の次女は、拒食症になる前の元気で明るい次女に戻っていました。
受験まで、あと10日!!
次女は元気になった…
よかった…
もう大丈夫…
私はその日の夜、安心して久々にグッスリ眠ることができました。
しかし…
やはり、この病気は、そんな簡単に次女から出ていってはくれませんでした…
またすぐに、あの恐ろしい拒食の幻聴が、次女を支配し始めたのです。