飲むほどに美しい人へ

「酒と美」の清水流美です。

 

 

「花巴」で知られる

奈良・美吉野酒造さんの酒蔵見学に伺いました。

 

 

“地酒”という言葉の意味を、

こんなにも深く考えたのは初めてでした。

 

 

 

 

 

 

地酒とは何か。

 

あまりにもあたりまえに受け入れてしまっている「地酒」という言葉。

 

私は「地酒」という言葉を、

どういう意味で使っているのだろう?

そんなことを考える体験でした。

 

きちんと定義しなくても、

まぁなんとなく通じるからそのままにしている

そんな言葉は「地酒」に限らず多いです。

 

①「その地で作られたお酒」

②「ナショナルブランドではないお酒」

③「その蔵独自の味わいを感じさせるお酒」

 

私自身はこれまで、
①〜③のような感覚で「地酒」という言葉を使ってきました。


一方で、辞書ではこう定義されています。

 

 

「その地方でつくられる清酒。

特に、灘(なだ)や伏見(ふしみ)を除いた地方のものをさす。」

 

 

 

美吉野酒造橋本杜氏さんが考える地酒とは

 

ここから先は、美吉野酒造の橋本杜氏さんからお聞きしたお話を、

一文字たりとも聞き逃してはもったいないと、

速記ばりのスピードでメモしたことを

思い出しながら書いていますことをご了承ください。

 

 

橋本杜氏がある酒蔵で仕事をされていたときのこと。

 

そのお酒は

濃い!でも美味しい。

 

「自分の価値観にはない。

だから、どう表現すればいいか

分からないけれど美味しい」

 

という衝撃をうけたそうです。

 

そしてそれこそが地酒だと思うとおっしゃるのです。

 

 

土地に向き合って、

この土地にとってのあたりまえを作ることで、

他の人にとっては当たり前ではない、

 

これが地酒だと。

 

 

”土地に向き合って”のところ

酒蔵さんのお話ではよくきくフレーズだと思うじゃないですか。

でもね、美吉野酒造さんの土地との向き合い方は半端なくて、

酒造りの哲学は”土地に向き合う”ことがベースになっているんです。

このことも私にはすごく衝撃で、

次のブログで書きたいと思うのですが、

今日のブログは「地酒」がテーマなので。

 

地酒を定義している、ということに

ただただ衝撃を受けたのでした。

 

 

 

地酒を定義しないと、地酒が地酒ではなくなる

 

私は地酒を定義したことは、これまで一度もなかったけど、

おぼろげにこんな意味で使っていると思います。

 

①「その地で作られたお酒」

②「ナショナルブランドではないお酒」

③「その蔵独自の味わいを感じさせるお酒」

 

 

もし「地酒」の意味が①だったら、

京都でできたお酒はぜんぶ京都の地酒ということになります。

蔵ごとの個性は抜きにして。

ぜんぜん「地酒」じゃないですよね。

 

しかも「京都」って広くて、

京都の中でもちょっと場所が違えば気候や風土が違うから、

「その地」というように独自性を表現したいのに

「京都」っていうと広すぎて独自性がかえってなくなってしまうんですよね。

 

 

もし「地酒」の意味が②だったら、

松竹梅や月桂冠などの全国流通しているお酒以外は、ぜんぶ地酒ということになります。

その地の特色や蔵ごとの個性は抜きにして。

これまたぜんぜん「地酒」じゃないですね。

 

そしてもし「地酒」の意味が③だったら、

その蔵独自の味わいが何か?ということをちゃんと表現することが必要になります。

そしてその蔵独自の味わいは

その蔵の「哲学」から生まれる。

 

橋本杜氏から話しを伺い、

そんな風に感じました。

 

 

橋本杜氏の哲学では地酒とは、

土地に向き合って、

この土地にとってのあたりまえを作ることで、

他の人にとっては当たり前ではない、

であり、

奈良のこの地で、これを突き詰めたら花巴になった。

 

 

こんなスケールで物事を考えている方がいるんだ!!!!

 

しびれました。

 

 

どの酒蔵さんでも、きっと独自の哲学を持ち、

一生懸命にお酒づくりに取り組んでおられると思います。

 

花巴の橋本杜氏のように、

その思いをことばにして教えてもらえると、

強烈に心に突き刺さるんですよね。

 

もう私は、これから先もずっと花巴を忘れることはありません。

 

 

今日は橋本杜氏の話で触発されて

ちょっといつもの私より

難しいことを考えてしまったかもしれませんね。

 

 

酒蔵見学のときに買ってきた

お酒で頭をちょっと冷やそうかしら

 

 

***

 

花巴 樽丸 純米樽酒 酵母無添加 を買ってかえったので、

柿の葉寿司とペアリング。

 

さわやかな木の香りが共鳴し香りが口の中で広がります。

熟成した魚の旨みを日本酒の旨みが余韻で引き延ばし、

なんともいえない幸福なペアリングでした。