決算報告に関する条項です。
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第九十条 (自民党案)
内閣は、国の収入支出の決算について、全て毎年会計検査院の検査を受け、法律の定めるところにより、次の年度にその検査報告とともに両議院に提出し、その承認を受けなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
3 内閣は、第一項の検査報告の内容を予算案に反映させ、国会に対し、その結果について報告しなければならない。
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第九十条 (日本国憲法)
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
② 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
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決算の報告の扱いです。
自民党案では、国会の議決を受けなくてもいいように変えられているのではないでしょうか。
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第九十一条 (自民党案)
内閣は、国会に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
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第九十一条 (日本国憲法)
内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
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表現の訂正だけのようです。
ここからは地方自治に関する憲法条文です。
中央政府が地方自治に口出しするのは憲法違反ではないかと思います。地方公共団体は中央の下部組織ではなく、並列した関係にある組織です。
上下関係を持ち込んだり、自治の精神の反する内容は制定することはできません。
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第九十二条 (自民党案) 新設条項
地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。
2 住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。
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第九十三条 (自民党案)
地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める。
2 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
3 国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない。
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九十二条 (日本国憲法)
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
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自民党案第93条第3項は曲者です。国に従わなければならない、条項であり、自治とは言えない内容であり、盲従しろと言っているのではないですか。
自民党案第93条の第2項は、日本国憲法第92条と同じですが、はたして日本国憲法にある「地方自治の本旨」と自民党案の地方自治が同じなのかどうかをはっきりと説明させましょう。
同じ語句の条文が残っていても、その他の条項で日本国憲法にある「地方自治の本旨」の意味をすり替えている可能性が大いにあるのです。