日本政府は、

景気が悪いと言って金融緩和を行いました。円高は悪いと言って円安にしました。これを見ていきましょう。

 

日本は19 年度末に、およそ900 兆円の国債発行残高になるそうです。

日銀の国債保有額は、18 年度末におよそ460 兆円でした。

 

日銀が買い入れて保有する国債は、利払いも償還もする必要がありません。

政府が国債を買い戻すと償還になってしまい、国債発行額が減ってしまいますが、日銀が買い入れると発行額はそのままで、もはや利払いも償還もしなくていいのですが、あたかも借金が残っているように見えます。

 

日銀は、市中銀行と違い利益を上げるすべを持っていません。ただ、日銀券(円札)を印刷することができます。

しかし、経済の裏付けのない円札の増刷は円安を引き起こします。

(昔、小判の鋳造で金の割合を減らして質の悪い小判を流通させたのと同じ。)

 

金融緩和=市中から国債を買い上げ、円札の流通量を大幅に増やす。

(収められた税金や国債発行によって得た金を市中に還流させるのではなく、日銀が印刷機を回して刷っただけの円札を市中に流す。)

 

円安は、円の価値が下がること、円が弱くなることです。

日本にいて、日本円を使っていると気づきませんが、円安は円の価値が下がっているということです。

ドル円が75 円の時には1 万円はおよそ133 ドルでしたが、ドル円が今日のような110 円くらいだとおよそ90 ドルにしかなりません。この差が日本国民の財布から政府が抜き取った額になります。増税は、財布からお金が抜き取られるのがはっきりと認識できてしまいますからやりませんが、円の増刷で円の価値を下げても気付かれません。財布の中の1 万円札はそっくりそのままですから。かくして、日銀は増刷した円で国債を買いまくり、実質、国債発行額を半減しました。要するに国民の財布から気づかれずに抜き取った金(価値)で国債を買い戻したということです。

 

海外において、中央銀行が国債を買い入れるということは問題がある、とされているのはこういうことです。あたかも発行額は変わらないのに、実際は返済してあるのです。何しろ政府と中央銀行は同じ組織ですから。そしてその金の出どころは、政府が返済するのならば収められた税金からなのですが、中央銀行が金を出すのは白い紙きれを印刷するだけなのです。もちろんその結果、自国の通貨の価値は下がり、国民の持っている財産の価値は減るのですが、なかなか気づかれないのです。

 

国債は政府の借金ですが、国民の借金ではありません。国債を直接買っている人もいるでしょうが、例えば、銀行に預金するとそのお金で銀行は国債を買います。すなわち、国債は私たちが政府にお金を貸しているということであり、政府の借用書が国債です。

あなたが友達に1万円貸しました。友達は1万円の借用書をあなたに渡しました。友達はあなたに借りた1 万円で必要なものを買うのでしょう。さてさて、借用書を持っているあなたが1 万円の借金をしていることになりますか? ならないですね。国債を日本国民が抱えている借金というのは大ウソですね。

ここのところはちょっと分かりにくいところなのですが、それでは国債が国民の借金ということにして考えてみましょうか。

国民が借金をして国債(借用書)を発行しました。さて、お金を貸しているのは誰ですか。国債を買った人、銀行を通じて預金している国民ですね。そうすると、お金を貸した人と借金した人が同じということになりますね。

あなたの右手から左手に1 万円が渡されて、左の手で1 万円の何かを買いました。左手から右手に借用書が渡されました。右手は借用書を持っているので1 万円の借金がある。という、何とも支離滅裂なことになるのですが、分からない人が多い。だから騙される。

国債は政府の借金であって、国民の借金ではありません。だから国は収められた税金の中から利子を払い、期限が来れば償還するのです。確かにたどっていけば税金から払われるのですが、だからと言って国民の借金にはなりません。

会社の借金は株主の借金ですか? 違いますよね。会社と株主はそれぞれ持っている財布が違うのです。会社の借金を株主の借金だ、と言う社長がいますか?すぐに首ですね。

いい加減、お人好しは止めたほうが良いですよ。国債を国民の借金なんて言う政府や行政機関は、主権者たる国民の意思によってすぐにでもつぶしてしまうべきなんですよ。放っておけばますます悪いことをします、日本の国がダメになってしまいますよ。

(日本が破産したり、ハイパーインフレが起こるというのもウソですよ。)

 

円高は悪い=円安に誘導するため、為替の操作ではなく、円札を大増刷した。

(為替操作をしていないので海外から反発は招かなかったが、円の切下げではないのかと言われた。まさしく円札の大増刷によって円の価値を下げることによる円安を政府と日銀が作り上げた。でも、円高ってホントに悪いの。円安って日本の通貨が安くなること、弱くなることですよね。)

 

日本ブランド・海外生産品(円高は悪い、円安は良いのか?)

身の回りにある日本ブランド製品は、海外で生産されたものが多くありませんか。これだと、日本国内で買うのは輸入になりますから、円高のほうが安く手に入りますよね。

自動車などは国内生産も結構あるのですが、国内で販売するだけの生産量です。

例えば、北米などで販売する分はメキシコなどで生産しているそうです。国内で生産して、国内で販売するのですから円高でも円安でも関係ありません。むしろ、材料を輸入しているとしたら円高のほうが有利かもしれません。

資材を輸入して、国内で製造し、付加価値の付いた製品を輸出して外貨を稼いでいる、という構図は、現在の日本の姿ではありません。

現在の日本の産業構造は、製造業よりサービス業が上回っているのです。日本のGDP のうち製造業が占めているのはおよそ20 %、他はほとんどサービス業関連だそうです。そして、この製造には国内販売分も入っていますので、日本からの輸出を現わしているわけではありません。

自動車産業のように、国内販売分は国内で、海外販売分は海外で生産するというのが日本の製造業の主流です。

工作機械は国内生産が非常に高い分野です。これは製造に高い技術力を必要とするものであることが要因です。国内販売だけでなく、輸出の割合も高いのですが、優秀な製品であることと海外生産を支える機械であることが要因です。この分野に関しては、輸出ですから円安のほうが有利でしょうね。しかしながら安売りしなくても十分太刀打ちできる分野であると思います。

さて、本当に円高は悪くて、円安は良いのでしょうか。

日銀が円札を大増刷し、金融緩和と称して国債を買い(償還とイコール)まくり、国民が持っている円の価値を下げる。

円安が良いという人はその手伝いをしているだけではないのでしょうか。