前回の疑問の回答が見つかったようです。
どうやら、
現行憲法第四条の「のみ」を削除した意図は、次の自民党案第六条にあるようです。
これは、現行憲法の第六条、第七条、第四条、第三条に関連する条項です。
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第六条(自民党案)
天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。
2天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。
3天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。
4天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。
(新設)
5第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。
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第六条(現行憲法)
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
②天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条(現行憲法)
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
第四条②(現行憲法)
天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第三条(現行憲法)
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
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Q 現行憲法において、なぜ第六条、内閣総理大臣と最高裁判所長の任命と、第七条、国事行為とに分けられているのか?
第六条
国会の指名に基づく内閣総理大臣の「任命」
内閣の指名に基づく最高裁判所長の「任命」
第七条
内閣の助言と承認により、国民のために「国事行為を行う」
内閣総理大臣(憲法第六十七条)
総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。
最高裁判所長(憲法第六条)
天皇は、内閣の指名に基いて最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
勘ぐるわけではありませんが、国民のためにならない内閣総理大臣でも 任命しなければならないこともあるのでしょうか。
主な変更点
1 内閣の「助言と承認」を「進言」に変える。
2 内閣総理大臣と最高裁判所長の任命にあたり「国民のために」を加える。
3 衆議院の解散を「内閣の助言と承認により」から「内閣総理大臣の進言による」と変える。
4 第六条第五項「5第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。」という条項を新たに加える。
さて、
現行憲法では、天皇の行う「国事に関する行為」は、第七条に規定される一号から十号までであり、第四条(現行)で、天皇は「憲法に定める国事行為のみ」を行うことになっているのですが、自民党案の第六条では、これが拡大されています。
第六条第五項「5第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。」
この条項により、天皇の行う国事行為が拡大しています。
天皇の行う国事行為ですから、これには少なくとも「国民のために」という文言が必要です。ところで、「その他の公的な行為」とは何でしょうか。厳密に規定されなければなりません。
また、これは委任できないのでしょうか?
先の天皇陛下のお言葉には、国事行為が大変多いと話されていました。これ以上、公務が増えては余計大変なことになります。
そして、国事行為とされるからには、地方公共団体の行事までは不要でしょう。国全体のために行われる式典ならば理解できますが。
これは、天皇の名を利用した、中央政府の地方への権力誇示...ではないですよね。
「助言と承認」について
日本国の主権は日本国民にあります。これが民主主義という意味です。
したがって、天皇の国事行為は、すべて日本国民の意思に基づいて行われているものであり、国民の代理である内閣の「(例えば)法律を公布していただきたい。」という助言と、それと同時に行われるであろう承認(そもそも公布していただきたい、という段階で、助言をする意思の中にすでに承認が含まれている)が必要です。
民主主義の下、天皇は日本国、日本国民の象徴であり、日本国民とともにある天皇ですので、国民のために国事行為を実施するにあたり承認は決して失礼にあたるものではなく、むしろ、日本国民が民主主義、立憲主義、平和主義に基づき、行っていただきたい国事行為ですのでお願いします、という意味です。
「進言」というと、目上の者に対して、というような身分の上下の意味合いも出てくるので、むしろ「助言と承認」で良いのではないでしょうか。また、国民の了承を得なくても国事行為ができる、というような論争にも発展しかねないので、意味のはっきりしている現行の「助言と承認」で良いと思います。