このブログは、日本酒×スイーツ ペアリング研究サイトです。
日本酒とスイーツのペアリングを研究している中で、今回チャレンジしたのは桜餅。
春の定番和菓子と日本酒は本当に合うのか?
雁木Funadeと合わせてみた結果を詳しくお伝えします。
桜餅の特徴
ご存知のとおり、塩漬けした桜の葉でピンク色の餅を巻いた菓子です。
実は私、知らなかったのですが、東西で違うのですね。
関東の桜餅は薄いクレープ状の生地であんを巻くのに対し、
関西の桜餅はつぶつぶとした道明寺粉の餅であんを包みます。
今回は、道明寺粉の桜餅で日本酒ペアリングをします。
道明寺タイプ桜餅の味わいまとめ(★5つ満点)
-
塩味:★★★☆☆
桜の葉の塩気がしっかり。甘味とのコントラストが印象的。 -
甘味:★★★★☆
粒あんまたはこしあんのふくよかな甘さ。モチ米のほんのりとした甘みも加わる。 -
酸味:☆☆☆☆☆
酸味はほとんどなし。 -
旨味:★★★☆☆
桜葉のほのかな発酵香や、もち米のふくよかさにより、優しい旨味がある。 -
苦味:☆☆☆☆☆
苦味はほぼゼロ。
「味わいまとめ」には出ていませんが、
桜の葉の香りが、いいアクセントになっています。
日本酒と桜餅、ペアリングのポイント
日本酒と桜餅をペアリングするときのポイントとして、
着目したのは大きく4つ。
①食感。
桜餅が持つ、モチモチした食感と合わせるためには、
日本酒もある程度の存在感がある食感(というか舌さわり)が欲しいところ。
②甘味が強い
そして、甘いスイーツと日本酒が非常~にペアリングしにくいのが、
甘味がダントツ強いということ。
日本酒がスイーツの甘みに負けてしまうんですよね。
でも、スイーツに負けじと甘ーい日本酒をペアリングすると、
全体的に重すぎるという結果になる可能性もあります。
③香り
桜の葉の香りも見落としたくないポイントです。
桜餅の「あの香り」は、「クマリン」という成分だそうです。
では、「あの香り」はどんな香り?と表現しようとすると、
青い香り…それから???
青い香り以外の言葉がまったく出てこない自分に焦りました…
「桜餅は、クマリンの香り」と、完結してしまっていたのですね。
少し余談になりますが、じっくりひもといてみると、出てきましたよ。
- ほのかに甘い青草のような香り
- 風に乗って届く、桜の花の香り
- お線香に近いドライハーブ系の甘みをともなう
- 桜の葉を塩漬けしたことで生まれるわずかな発酵感
- 梅干しや塩昆布に近い、「うまじょっぱい」発酵香
- ほんの少しの渋み(葉脈)も感じられ、乾燥した木の葉の印象もある
- 香木のような落ち着きもあり、「和」の要素を強く感じさせる
④塩味
最後に「塩味」をどう考えるか。
桜餅は巻いている桜葉が塩漬けされているので、
結構塩気を感じます。
その塩気を日本酒の甘みで中和するか、
塩気にドライな日本酒を合わせて際立出せるかというところです。
と、ここまでたくさん「ポイント」を並べたのですが、
今回は「香り」だけにフォーカスして日本酒を選びました。
桜餅とペアリングする日本酒
雁木(がんぎ)のFunade(ふなで)という日本酒です。
Funadeとは(醸造元より)
〜what's槽出〜
槽ふね(搾り機)からお酒が出てくる様と、船着場(雁木)から船が出航する様を重ね合わせた弊社による造語です
フレッシュな果実のような香り、味わいも瑞々しい果実を思わせる味わい。
たっぷりとしたボリューム感がありながら、軽快な酸で切れがよく余韻を引きずりません。
桜餅が持つ、ハーブのような香りとの相性を狙いました。
桜餅と日本酒、ペアリング結果
では、実食です。
桜餅を口に近づけるだけでただよう「あの香り」
青い香りが主体で、微量に複雑な要素が絡み合ってできる「あの香り」です。
鼻に近づければ近づくほど、発酵による複雑な香りが強くなってきます。
パクっと一口。
桜の葉の塩気が、あんこの甘みを引き立てるとともに
甘味が広がりすぎないストッパーになっている感じ。
いいですね~、これぞ桜餅。
それと、どこかチェリーを思わせるようなニュアンスも感じますが、
これはもしかして「桜餅」という言葉に影響を受けているのか?ちょっとわかりません。
日本酒を一口。
狙い通り、桜の葉の香りと日本酒のフルーティな香りは好相性。
違う香りなのですが、口の中で仲良く同居しています。
ここまでは、いいのですが
あぁ惜しい!
いかんせん、
こしあんの甘さに日本酒の甘さがまったく太刀打ちできていなくて、
日本酒の酸味がこしあんの甘さを消してしまっています。
結果、
こしあんの甘さを楽しめず、
日本酒は酸っぱく感じることに…
ここで、なぜ日本酒の酸がこしあんの甘さに勝ってしまうのかを考えたいと思います。
私たちは口の中で、
スイーツの甘さが長くやわらかく残ることを、
経験的に知っています。
だからこそ、自然と
「この甘さの余韻を楽しみたい」
という気持ちが生まれます。
ところがそこに、
日本酒が持つ鋭角的な酸(たとえばリンゴ酸やクエン酸)が入ってくると、
その甘さの余韻がナイフのようにスパッと断ち切られてしまうんです。
味の世界観がまるで別方向に引っ張られてしまうため、
期待とズレが生じ、「残念」と感じてしまうのです。
実際には、甘味と酸味は味覚の伝達スピードも、
持続時間も違うため、
酸の立ち上がりが早いことで、
甘味を味わっている途中に強く干渉してしまいます。
酸には、吟醸酒に多く含まれる鋭い酸(リンゴ酸やクエン酸)と、
味わい系の日本酒に含まれる丸みのある酸(乳酸やコハク酸)がありますが、
後者であれば、甘さの余韻と優しく交差するような感覚になるため、
ペアリングとしての違和感が少ないと思います。
また、日本酒をどの時点で口に入れるかによってもペアリング結果が異なります。
桜餅を咀嚼中ではなく飲みこんでしまってから口に入れるほうが「甘味をぶった切られた感」は少ないです。
このことは、また別の記事で実際にやってみて検証したいですね。
今回の桜餅と日本酒(雁木Funade)のペアリングで、
甘いスイーツと日本酒のペアリングの難しさを思い知りました。
日本酒と桜餅、ペアリングまとめ
実は、Funade以外にも、
たくさんの日本酒と桜餅をペアリングしてきました。
そのほとんどは、今回と同じ
こしあんの甘さを楽しめず、
日本酒は酸っぱく感じるという結果になりました。
今回のまとめとしては、
「甘さが際立つスイーツは、日本酒とのペアリングが難しい」
でも、あきらめずにまた日本酒と桜餅ペアリング、チャレンジしたいと思います!











