【而今 純米吟醸 山田錦 火入れ】
このお酒のデータは…
●蔵元 木屋正酒造(三重県,名張市,本町)
●特定名称ほか 純米吟醸酒 火入れ
●原料米 伊賀産「山田錦」(精米歩合 50%)
●酸度 1.6 ●アミノ酸度 1.3
●日本酒度 +1 ●アルコール度 17.0%
●酒造年度 H21BY
杜氏が語る【フォワードの酒】
去る10月1日の「日本酒の日」に、お店の取引先の千葉の「いまでや」主催のイベントに参加して来ました。
今回は「奈良萬」の東海林社長,「貴」の永山杜氏,そして「而今」の大西杜氏という顔ぶれが揃い、「パネルデスカッション」形式で行われた3氏のお話が大変勉強になったのはモチロンのこと、それぞれの蔵のお酒を試飲させてもらいながら、3氏と直接お話をするチャンスにも恵まれました。
その時の大西杜氏の話を思い起こしながら、今週末に愉しんだのが、
【而今 純米吟醸 山田錦 火入れ】です。
これは9月下旬に出荷された、「而今」の「純米吟醸 山田錦」の「火入れバージョン」で、今年の3月に出荷された、同じ「純米吟醸 山田錦」の「無濾過生バージョン」と比べて、どんな風に香味が変化しているかを見る為に、その時のテイスティングコメントと比較しながら呑んでみました。
香りは、「黄桃」のような果実の香りや、「沈丁花(じんちょうげ)」を想わせる花の香りがあり、「ほんのり甘く華やかで、穏やかさも感じられる香り」が感じられます。(「無濾過生」の時よりも香りのトーンがやや落ち着いてきています)
口当りは芳醇で、やや艶のある甘味と鮮やかさを感じさせる酸,そしてきめ細かな旨味が、全体的なまとまりをもって調和しています。
後口のキレも良く、余韻に舌の上に酸の刺激が残り、(無濾過生の時ほどのダイナミックさはないものの)「やや濃密かつジューシーな飲み口で、果実味のある芳醇な味わい」のお酒でした。
完成度の高い味わいのお酒なので、料理との相性は幅広いと思われましたが、
まずは
【関いさきのお造り】からです。
黒潮と瀬戸内海の潮がぶつかり合う佐賀関で獲れる「関さば」は全国的に有名ですが、これは同じ佐賀関で獲れた一本釣の「関いさき」で、ブランド物の為に通常のものよりもやや値段が高めでしたが、身が良く締まっていてコリコリとした歯応えで、噛み締めるほどに旨味がジワジワと出てきます。
お酒と合わせてみると、「而今」のやや艶のある甘味と「関いさき」の旨味が紙一重で同調し、そのまま両方の甘味と旨味が絡まりあって余韻へと続いていきます。
「而今」シリーズを「白身魚のお造り」に合わせる時は、どうやら「無濾過生バージョン」よりも「火入れバージョン」の方が向いているようです。
続いては【エリンギ茸のオイスターソース煮】です。
これは、「オイスターソース」と「而今」との相性を試したくて選んだ中華惣菜なのですが、ややコクのある独特の風味のエリンギ茸に、濃厚な旨味のあるオイスターソースがたっぷりと絡んでいて、お酒を誘う味わいです。
合わせてみると、まずは「而今」のやや濃密な味わいが「オイスターソース」の濃い旨味をすんなりと受け入れて、そしてその後は両者の味わいがそれぞれ口の中で続いてゆき、互いに「付かず離れず」といった印象を受ける組合せです。
今回の「而今」のような、「濃密かつ芳醇な味わい」のタイプの日本酒と「オイスターソース」との相性は、取りあえずは○と言って良いと思われます。
話は冒頭に戻りますが、イベントのパネルディスカッションの中で、大西杜氏自身が「自分の蔵のお酒は、サッカーに例えるとフォワードのポジションにあるようなお酒だ」という話をしていたのですが、そう言われると今回呑んだ「而今」も、確かにそんなイメージのお酒かもしれませんね…。


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