■日本酒と料理の相性を愉しむ…■ -10ページ目

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【而今 純米吟醸 山田錦 火入れ

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 木屋正酒造(三重県,名張市,本町)

特定名称ほか 純米吟醸酒 火入れ

原料米 伊賀産「山田錦」(精米歩合 50%) 

酸度 1.6 アミノ酸度 1.3

日本酒度 +1 アルコール度 17.0%

酒造年度 H21BY

杜氏が語る【フォワードの酒】

 去る10月1日の「日本酒の日」に、お店の取引先の千葉の「いまでや」主催のイベントに参加して来ました。

 今回は「奈良萬」の東海林社長,「貴」の永山杜氏,そして「而今」の大西杜氏という顔ぶれが揃い、「パネルデスカッション」形式で行われた3氏のお話が大変勉強になったのはモチロンのこと、それぞれの蔵のお酒を試飲させてもらいながら、3氏と直接お話をするチャンスにも恵まれました。

 その時の大西杜氏の話を思い起こしながら、今週末に愉しんだのが、
 【而今 純米吟醸 山田錦 火入れ】です。


 これは9月下旬に出荷された、「而今」の「純米吟醸 山田錦」の「火入れバージョン」で、今年の3月に出荷された、同じ「純米吟醸 山田錦」の「無濾過生バージョン」と比べて、どんな風に香味が変化しているかを見る為に、その時のテイスティングコメントと比較しながら呑んでみました。


 香りは、「黄桃」のような果実の香りや、「沈丁花(じんちょうげ)」を想わせる花の香りがあり、「ほんのり甘く華やかで、穏やかさも感じられる香り」が感じられます。(「無濾過生」の時よりも香りのトーンがやや落ち着いてきています)

 口当りは芳醇で、やや艶のある甘味と鮮やかさを感じさせる酸,そしてきめ細かな旨味が、全体的なまとまりをもって調和しています。

 後口のキレも良く、余韻に舌の上に酸の刺激が残り、(無濾過生の時ほどのダイナミックさはないものの)「やや濃密かつジューシーな飲み口で、果実味のある芳醇な味わい」のお酒でした。

 完成度の高い味わいのお酒なので、料理との相性は幅広いと思われましたが、

 まずは
【関いさきのお造り】からです。

■【利き酒師世界一】のひとり言■ 黒潮と瀬戸内海の潮がぶつかり合う佐賀関で獲れる「関さば」は全国的に有名ですが、これは同じ佐賀関で獲れた一本釣の「関いさき」で、ブランド物の為に通常のものよりもやや値段が高めでしたが、身が良く締まっていてコリコリとした歯応えで、噛み締めるほどに旨味がジワジワと出てきます。

 お酒と合わせてみると、「而今」のやや艶のある甘味と「関いさき」の旨味が紙一重で同調し、そのまま両方の甘味と旨味が絡まりあって余韻へと続いていきます。

 「而今」シリーズを「白身魚のお造り」に合わせる時は、どうやら「無濾過生バージョン」よりも「火入れバージョン」の方が向いているようです。

 続いては【エリンギ茸のオイスターソース煮】です。
■【利き酒師世界一】のひとり言■  これは、「オイスターソース」と「而今」との相性を試したくて選んだ中華惣菜なのですが、ややコクのある独特の風味のエリンギ茸に、濃厚な旨味のあるオイスターソースがたっぷりと絡んでいて、お酒を誘う味わいです。

 合わせてみると、まずは「而今」のやや濃密な味わいが「オイスターソース」の濃い旨味をすんなりと受け入れて、そしてその後は両者の味わいがそれぞれ口の中で続いてゆき、互いに「付かず離れず」といった印象を受ける組合せです。

 今回の「而今」のような、「濃密かつ芳醇な味わい」のタイプの日本酒と「オイスターソース」との相性は、取りあえずはと言って良いと思われます。

 

 話は冒頭に戻りますが、イベントのパネルディスカッションの中で、大西杜氏自身が「自分の蔵のお酒は、サッカーに例えるとフォワードのポジションにあるようなお酒だ」という話をしていたのですが、そう言われると今回呑んだ「而今」も、確かにそんなイメージのお酒かもしれませんね…。

【仙禽 純米大吟醸 ひやおろし 秋熟 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 せんきん(栃木県,さくら市,馬場)

特定名称ほか 純米大吟醸 ひやおろし

原料米 岡山県産「雄町」(精米歩合 48%) 

酸度 2.1 アミノ酸度 0.8

日本酒度 -2 アルコール度 17.2%

酒造年度 H21BY

秋の果実のような【秋熟酒】

 9月最後の週の月曜日は、発達した秋雨前線と北風が流れ込んだ影響で、東京では終日冷たい雨が降り続け、日中の最低気温が何と一気に16℃まで下がり、涼しさを通り越して肌寒さを感じる一日となりました。

 そんなまるで「晩秋」のような夜に選んだ一本がコレ、
 【仙禽 純米大吟醸 ひやおろし 秋熟】です。


 これは、独自のこだわりを持った酒造りで知られる、栃木の「せんきん」の「薄井ブラザース」が、甘味(日本酒度-2)酸味(酸度2.1)の極みを追求したスペックで醸した純米大吟醸で、それをひと夏の間寝かせることによって熟成させた、個性的なタイプの「ひやおろし」です。


 香りは、「蜜のタップリ入ったふじリンゴ」を想わせる果実の香りや、「いちごのショートケーキ」のような洋菓子の香りがあり、「甘く華やかで、熟した秋の果実を想わせるような香り」が感じられます

 口当りはジューシーで、やや艶のある濃密な甘味と明快でシャープな酸が、お互いにうまくバランスを保ちつつ調和していて、そのまま長めの余韻へとつながってゆきます。

 コクやボリューム感も十分にあり、「果実味タップリの濃密な飲み口で、熟した果実のような芳醇かつジューシーな味わい」の、これぞまさに「仙禽ワールド」といった印象のお酒でした。

 今回は「酸味」ということを意識して選んだ、こんな2品を合わせてみました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは
【ローヴ・デ・ガリッグ】からです。

 これは、南仏の高原でハーブを食べて育った「ローヴ種」の山羊のミルクで造られた、フレッシュタイプの「シェーブルチーズ」で、小ぶりで真っ白い外観はまるで「マシュマロ」のようです。

 しっとりとした柔らかな食感で、やや口をすぼめてしまう程の爽やかな酸味が口に広がり、そして余韻にはハッキリと「タイム」のフレーバーが感じられます

 予想していた通り、「仙禽」の濃密な甘味とはほぼ完璧に近いマリアージュで、「甘味と酸味の素敵なハーモニー」とでも表現したくなるような、実に見事な相性の組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  お次
【海老のマヨネーズソース】です。

 「海老マヨ」は、日本ではすっかりおなじみの広東料理のメニューで、衣を付けて揚げたプリプリの海老に、「マヨネーズソース」がタップリと絡めてあります。

 合わせてみると、酸味の中にもほのかな甘味のあるマヨネーズソースと、「仙禽」の甘酸っぱく芳醇な味わいがすんなりと寄り添い、そして余韻には海老の旨味がそのまま持続してゆきます。

 好奇心から、自宅の冷蔵庫にあった「マヨネーズ」を直接舐めながら「仙禽」を呑んでみましたが、これも全く違和感のない組合せで、基本的にはマヨネーズを使った料理とこのタイプの日本酒とは相性が良いようです。


 話は変わりますが、数年前より一部の蔵元や酒屋の間で、「9月9日」「重陽」(菊の節句)の日を「ひやおろしの日」として定め、「ボジョレー・ヌーボー」のように、この日を「ひやおろし」の解禁日にしよう,という動きがみられています。

 しかしながら、今シーズンの状況を見る限りでは、9月9日以前から「ひやおろし」を販売している蔵元や酒屋も多数あり、まだまだ足並みが揃っているとは言えない段階のようですね…。

【天狗舞 山廃純米 ひやおろし

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 車多酒造(石川県,白山市,坊丸町)

特定名称ほか 山廃仕込み純米酒 ひやおろし

原料米 「五百万石」(精米歩合 60%) 

酸度 ? アミノ酸度 ?

日本酒度 +3 アルコール度 18%

酒造年度 H21BY

【二夏越し】で呑みたくなる酒

 9月も中旬を過ぎて、今年の夏の猛暑がまるで嘘だったかのように涼しくなり、各地の蔵元から出荷される「ひやおろし」の知らせが、WEBサイト上のSAKE SHOPから続々と届いています。

 今週末は、それらの中からやや個性的なもの選んで呑んでみることとしました,それがコレ
 【天狗舞 山廃純米 ひやおろし】です。

 これは「山廃仕込み」で知られる石川県の車多酒造から、昨年に続いて2度目の出荷となった「山廃純米のひやおろし」で、昨年は石川県内の酒販店のみへの出荷ということもあり、残念ながら呑み損なっていたのですが、今年からは県外へもリリースされるようになって、都内の酒販店でも手に入れられるようになりました。


 香りのトーンはやや強く、「舞茸」のような木質の香りや、「クローブ」を想わせるスパイス類の香り,さらには「出し昆布」のような干した食材の香りが組合わさって、「ほのかな熟成香を伴なった、ふくよかで厚みのあるやや複雑な香り」が感じられます

 口当りはインパクトがあり、しっかりと主張する酸と濃厚な旨味を、穏やかな甘味がフォローしていて、余韻には僅かに苦味もあり、ひと夏の熟成により全体の調和が取れ始めてきているといった印象です。

 後口はしっかりとしていて、コクやボリューム感も十分で、「酸を中心とした骨格のしっかりとした飲み口で、深みのある濃醇旨口の味わい」のお酒でした。

 選んだ酒肴は、このお酒の力強い味わいに負けないものということで、

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは
【ほたるいかの沖漬け】からです。

 これは富山湾で獲れた「ほたるいか」を、醤油と味醂を加えた「富山湾の海洋深層水」で仕込んだ塩辛で、ややコリコリとした食感と、甘辛くて濃いコクのある味わい,そして余韻の程好い塩味が何とも言えず、思わす炊き立ての白いご飯が欲しくなってしまいます。

 ご飯の代わりに「天狗舞」を合わせてみると、このお酒のしっかりとした酸とコクのある旨味が、「沖漬け」の濃厚な味わいを包み込んでより円やかな味へと変化させ、そして「天狗舞」の個性的な酸と「沖漬け」の旨味とが、口の中でうまく持続してゆきます。

 これぞ「酒と肴」と呼びたくなるような印象の組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては【エポワス(ミニ)】です。
 「エポワス」は、フランスのブルゴーニュ地方で、ブドウの搾りかすから造られる、「マール酒」で洗いながら熟成される「ウォッシュタイプ」のチーズで、これはそのミニサイズのものです。

 売り場で最も熟成の進んだものを選んで購入して来たのですが、表皮はネバネバ状態で強烈な醗酵臭を放っていて、もはや完全に「納豆」状態です。

 中身もトロトロに溶けて完熟していて、スプーンですくって口に入れてみると、濃厚過ぎるほど濃厚な旨味の後から、まるで「辛口のカツオ酒盗」のような、強い塩辛味が襲ってきます。

 慌てて「天狗舞」を流し込むと、「完熟したエポワス」の強烈な味わいを、このお酒の個性が何とか抑えてくれて、「エポワス」が本来持っている濃厚な味わいを、ようやく愉しむことが出来るようになりました。

 ちょっとチーズの個性が強過ぎたようですが、個性派同士のぶつかり合いという面白さは体験できる組合せでした。


 さて、4合瓶を飲み干してしまった後で思ったのですが、しっかりとした酸と重厚なボディを持つこのお酒は、「ひと夏越し」のこの時期に呑むよりも、更にもうひと夏を越させた「二夏越し」の来年の秋に呑む方が、より本領を発揮してくれるような気がします。

 来年まで冷暗所で熟成させて置く為に、もう一本新たに購入しようかどうか今悩んでいる所です…。

【石鎚 特別純米 ひやおろし 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 石鎚酒造(愛媛県,西条市,氷見丙)

特定名称ほか 特別純米 ひやおろし

原料米 麹米「備前雄町」(精米歩合 55%) 

       掛米「松山三井」(精米歩合 60%)

酸度 1.6 アミノ酸度 ?

日本酒度 +6 アルコール度 16-17%

酒造年度 H20BY

「ひやおろし」の走り【夏越し酒】

 日本列島を横断するという異例の進路をとった「台風9号」は、首都圏を含めた各地に記録的な大雨を降らせましたが、台風の通過と共にやっと気温が下がり、長かった今年の猛暑もようやく終わりを告げました。

 秋風の到来と共に「ひやおろし」の季節となりますが、今シーズンの第一弾として選んだのは、 
 【石槌 特別純米 ひやおろし】です。

 これは愛媛県の石鎚酒造が、小仕込みのタンクで丁寧に醸した特別純米酒を、春に一度火入れした後で低温の瓶貯蔵で夏の間じっくりと寝かせ、そのまま二度目の火入れをせずに9月になってから出荷したもので、初秋のこの時期に出される「ひやおろし」は、夏を越したばかりの「走り」の味わいであることから「夏越し酒」とも呼ばれています。


 香りは、「バター飴」を想わせるほのかに甘い乳製品の香りに、「松の実」のようなややナッティーな香りが組合わさって、「微かに華やかさを残しつつ、穏やかかつ柔和で落ち着きのある香り」といった印象です

 口当りはソフトで、柔らかな甘味と適度に主張する酸,そして豊かなお米の旨味が、心地良くそして円やかに調和しています。

 後口にも、優しい甘味と膨らみのある旨味の余韻が長く続き、コクやボリューム感も十分にあり、「ホッとさせられるような飲み口で、優しく体に浸み渡ってゆくような味わいのうま酒でした。

 「食中酒の王道」のようなお酒なので、様々な料理と幅広く相性が良いと思われましたが、今回はこんな秋の味覚を2品選んでみました。

 まずは 【三陸産 戻りガツオのお造り】です。
■【利き酒師世界一】のひとり言■  
春先に黒潮に乗って北上したカツオは、秋になると産卵の為に三陸沖を南下してきますが、これが「戻りガツオ」と呼ばれるものです。

 見た目通りの、タップリと脂の乗ったトロガツオで、濃厚な旨味を伴なったとろけるような味わいが愉しめます。

 「石鎚 ひやおろし」とは予想通り抜群の相性で、旨味の濃さのレベルも丁度良く、口の中で両者の味わいが見事に溶け合ってゆきます。

 戻りガツオと「石鎚」を、交互に何度も繰り返し口に運んでしまうような、実に美味しい組合せでした。 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  
続いては【秋茄子の煮浸し】です。
 やや甘めに味付けされた白出し汁が、茄子にタップリと浸み込んでいて、そしてピリ辛の「鷹の爪」が程好いアクセントとなっている「煮浸し」で、秋茄子のポテンシャルを上手に引き出している和惣菜です。
 お酒と合わせてみると、「煮浸し」と「ひやおろし」の持つ甘味と旨味が、それぞれドンピシャで同調し一体となってゆきます。

 こんなことなら「煮浸し」をもっと沢山用意しておけば良かったと思わせるほど、まさに「旨い」の一言に尽きる取り合わせでした。

 さて、すっかり秋の風物詩として定着してきた感のある「ひやおろし」ですが、昔と違って冷蔵技術が発達した現代では、「火入れ」(低温加熱殺菌)を全く行なわずに夏を越させた、いわゆる「本生酒のひやおろし」も出回ってきています。

 しかしながら今回呑んだ「石槌 ひやおろし」のように、貯蔵前に一度「火入れ」をしてからひと夏寝かせたものの方が、酒質が安定した状態で熟成が進むことによって、「ひやおろし」本来の豊かな旨味と円熟の味わいが、より一層愉しめるように感じているのは私だけでしょうか?

【鳳凰美田 山廃仕込 特別純米 雫酒 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 小林酒造(栃木県,小山市,卒島)

特定名称ほか 山廃仕込み 特別純米酒 雫酒 生詰

原料米 「愛山」(精米歩合 60%) 

酸度 ? アミノ酸度 ?

日本酒度 ? アルコール度 16-17%

酒造年度 H20BY

とっておきの【ブラックラベル】

 9月に入って暦の上では秋となったにも拘わらず、今年はまだ真夏のような暑さが続いており、東京では9月第1週も最高気温が連日34℃を超えて、引き続き酷暑の1週間となりました。

 そんないささか「秋バテ」?!気味の、週末の夜に選んだ一本がコレ、
 【鳳凰美田 山廃仕込 特別純米 雫酒】です。


 これは栃木県の小林酒造が、稀少な酒造好適米の「愛山」を60%まで磨いて山廃酒母を使って醸し、モロミを詰めた布袋から滴り落ちてくる雫を集めて瓶詰めした特別純米の「雫酒」で、瓶詰め後に「瓶火入れ」をしてひと夏の間蔵で貯蔵し、夏の終わりのこの時期に「生詰酒」として蔵出しされたものです。

 ちなみにこの迫力ある「ブラックフェニックス」のラベルは、この蔵元で「とっておきのお酒」が出来た時にだけに使われる、特別限定のラベルなのだそうです。


香りのトーンはやや強く、「ライチ」のような果実の香りや、「ラベンダー」を想わせる花の香りがあり、「落ち着いた中にも、上品な華やかさのある香り」が感じられます

 口当りは滑らかで、やや艶のある上品な甘味と明快でシャープな酸,そしてコクのある旨味が、味わい全体にやや厚みをもたらしながら、キレイに調和しています。

 後口は割としっかりしていて味の余韻も比較的長く、「程好くコクと厚みのある飲み口で、やや呑み応えのある芳醇旨口な味わいのお酒」でした。

 今回の料理は、しっかりした味付けの和惣菜を選んでみました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは
【秋刀魚の実山椒煮】からです。

 これは、骨付きのまま筒切りにした秋刀魚を、濃い口のタレでコッテリ味に煮付けたもので、「実山椒」のピリリとした刺激が味わいのアクセントとなっています

 これだけで食べ続けていると、やや味が濃く感じられてきてしまいますが、そこに「鳳凰美田」が加わると、このお酒のコクのある旨味が、「秋刀魚の実山椒煮」の濃い味わいを丁度良い濃さの味わいへと変化させてゆき、そして実山椒の個性的な風味もうまく包み込んでくれます。

 お酒と合わせることで、料理がより美味しくなってゆくような、そんな印象を受ける組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては【飛騨牛の肉じゃが】です。

 口の中に入れるとすぐに崩れてしまう位に柔かく、そして甘めに仕上げたじゃが芋に、「飛騨牛」の肉汁の旨味が浸み込んでいて、まさに「あまからの極み」といった味わいです。
 お酒と合わせてみると、「鳳凰美田」のやや艶のある甘味と厚みのある味わいが、「肉じゃが」の「あまから味」のレベルと丁度良く組み合わさって、お酒と料理の両方が一段と美味しくなってゆきます。

 「こんなコテコテの和惣菜にはやっぱり日本酒だな」と、改めて感じさせるような、そんな仲の良い取り合わせでした。


 さて何はともあれ、間もなく「味覚の秋」,そして「日本酒の秋」がやって来るわけですが、今年の夏の異常な猛暑の中では、ついついビールに手が伸びて日本酒を呑む機会が減った分、これからはじっくりと本腰を入れて、秋の味覚と「うま酒」を愉しんでゆきたいと思っています。

【一ノ蔵 リンゴ酸高生産性多酸酵母使用 純米大吟醸 生原酒

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 一ノ蔵(宮城県,大崎市,松山千石)

特定名称ほか 純米大吟醸 生原酒

原料米 兵庫県産「山田錦」(精米歩合35%)

使用酵母 リンゴ酸高生産性多酸酵母

酸度 3.0! アミノ酸度 1.5

日本酒度 -11! アルコール度 16-17%

酒造年度 H21BY

りんご味?の【試験醸造酒】

 8月第4週に入っても、強烈な残暑はおさまる気配を全く見せておらず、今週も一週間もすべての曜日で都心の最高気温が33℃以上となり、この暑さは一体いつまで続くのだろうかと、いい加減うんざりとした気分になってきました。

 そんな中、今週末に新宿のデパートの酒売り場を物色していて、こんなユニークなお酒を見つけました。

 名前はとても長くて、【一ノ蔵 リンゴ酸高生産性多酸酵母使用 純米大吟醸 生原酒】です。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 これは宮城県の「一ノ蔵」の蔵元が試験的に醸造したもので、兵庫県産の「山田錦」を何と35%まで磨き、「リンゴ酸高生産性多酸酵母」という今まで聞いたことの無い酵母を使って醸した純米大吟醸の生原酒で、日本酒度マイナス11酸度3という全く味わいが想像できないようなスペックとなっています。

 また試験醸造のお酒ということで瓶にラベルはなく、右の写真のようなフィルムで包装して売られていました。


 香りは、まさに「デリシャスりんご」を想わせるリンゴの香りに、「ペパーミント」のような香草類の香りが加わって、「ほんのりと甘酸っぱく、爽やかさも感じさせる香り」といった印象です。

 口当りは軽快で、ほんのりとした甘味に続いて、思わず口をすぼめてしまう程の強くて鋭角的な酸が口一杯に広がります。

 旨味はほとんど感じられず、後半には少し苦味もあります。

 自然な甘味はあるものの、全体的にはリンゴ酸の酸っぱさに支配された味わいで、余韻の苦味がより一層爽やかさを増幅させています。

 まるで「シードル」を飲んでいるような印象で、「極めて爽やかでスッキリとした飲み口で、雑味が全く感じられない酸味の強いお酒」で、およそ日本酒とは思えないような非常に個性的な味わいでした。


 一般的な日本酒の常識を越えた味わいのお酒なので合わせる料理はやや悩みましたが、このお酒の酸っぱさに負けないような酸味の強いものを選んでみました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは【真サバの酢〆】からです。

 いわゆる「〆サバ」ですが、程好くまろやかな穀物酢のフレーバーがサバの旨味と絡まりあって、食欲が増してくるように感じられます。

 「一ノ蔵」と合わせてみると、〆サバの穀物酢リンゴ酸の酸っぱさを消してお酒をクリアーな味へと変化させ、余韻の苦味もマイルドになって全く気にならなくなります

 予想以上にすんなりと相性が良くて、お酒単体で飲むよりもグッとお酒を美味しくしてくれる、なかなか面白い組合せでした。


 もう一品は【肉団子の甘酢あんかけ】です。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  これは中華惣菜売場で購入してきたものなのですが、豚挽肉で造った肉団子にすりおろしリンゴ入りの甘酢あんがタップリと絡んでいて、食べると口の中に甘酸っぱさが広がります。

 合わせてみると、こちらも「一ノ蔵」のリンゴ酸の鋭い酸っぱさが影をひそめて、その一方で肉団子の甘酢の味わいがやや上手となって継続してゆきます。

 若干お酒の味わいが消されてしまうような印象もありますが、このお酒の持つ個性の強さということを考えると、相性としては決して悪くない組合せだと言えるでしょう。


 さて、今回この「リンゴ酸高生産性多酸酵母使用」のお酒とこれらの料理を合わせてみて改めて感じたのは、「酸味の強いタイプのお酒」「酸味の強い料理」を組み合せると、お互いの酸味が打ち消し合って、料理の素材の中から繊細な旨味などの酸味以外の味わいが引き出されて来るということです。

 それにしてもこのお酒,原料や造りは確かに日本酒なのですが、味わいはもはや「りんご酒」ですね…。

【祐村 特別純米 無濾過火入れ
■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 村祐酒造(新潟県,新潟市,秋葉区舟戸)

特定名称ほか 特別純米 無濾過火入れ

原料米 非公開(精米歩合 非公開)

酸度 非公開 アミノ酸度 非公開

日本酒 非公開 アルコール度 15%

酒造年度 H21BY

【村→祐】のウラ酒?【祐→村】

 お盆が過ぎたにもかかわらず、今年の夏は残暑どころか猛暑が復活しており、週初めの月曜に東京では最高気温が36.2℃を記録したと思ったら、何とその翌日には37℃を超えて、たった1日であっさりと今年の東京の最高気温の記録を更新してしまいました。

 これだけ暑い日が続くと体調を崩してしまいそうになりますが、そんな今週末に選んだ一本は、

  【祐村 特別純米 無濾過火入れ】です。


 これは淡麗辛口の酒質が主流とされている新潟県で、独自路線の甘口のお酒を醸している村祐酒造が、新しいスタイルとして挑戦した辛口の純米酒で、従来の甘口の「村祐」と対極に位置するお酒であることから、ネーミングも「村祐」(むらゆう)とは真逆の「祐村」(ゆうむら)となっています。

 

 香りのトーンはやや強く、「皮が黒くなる程熟したバナナ」を想わせる甘い果実の香りに、「バニラアイスのような甘い乳製品の香りが組合わさって、「柔かさを伴なった甘い香りが感じられます。

 口当りはソフトで、まずは自然でスッキリとした甘味,続いて舌先にピリ辛感をもたらすドライな酸が現れ、そして後半には舌の上に残るようなコクを伴なった旨味があり、余韻には僅かな苦味がアクセントとなって残ります。

 全体的にみると、それぞれの要素がややアンバランスな印象もありますが、「フレーバーはあくまで甘く、それでいてドライ感を伴なったピリ辛口の味わい」の個性的なお酒でした。

 このチョット変わった辛口酒に対して、素材自体に甘味を持つ魚介のお造りを2品試してみました。
 
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 まず1品目は
【北寄貝のお造りです。

 今回買ってきたのは北海道産の肉厚の北寄貝でしたが、シャキシャキとした歯応えがあって、噛み締めるほどに旨味と甘味が出てきてなかなかの美味です。

 「祐村」と合わせてみましたが、残念ながらこのお酒の個性であるピリ辛感あるの味わいが強く口に残って、「北寄貝」のせっかくの旨味や甘味を、活かしきれていないような印象を受けてしまいました。

 この「北寄貝」をより美味しく食べるには、もう少し「濃醇旨口タイプの純米酒」を合わせた方が良いように思われます。 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  気を取り直して次は
【甘海老のお刺身】です。

 「甘海老」の正式名称は「ホッコクアカエビ」と言うそうで、北海道では別名「南蛮海老」とも呼ばれています。

 甘海老独特のねっとりとした口当りと何とも言えない甘味が口に広がったところで、「祐村」を合わせてみると、「甘海老」の方が「北寄貝」よりも甘味が強い分だけ、このお酒のピリ辛感とのバランスが取れて相性は悪くなく、そして余韻にはお酒の酸が一層引き立ってくるように感じられました。

 いずれにしても、この「甘いフレーバーでピリ辛味?」のお酒は、料理との相性をやや選ぶ傾向にあるようです。


 ちなみに上のラベルの画像を見ても判るように、この「祐村」のラベルカラーは目にも鮮やかな「イタリアンレッド」なのですが、これは「唐辛子の辛さをイメージした赤」を表現しているそうで、もしかしたらこのお酒は、「鷹の爪」を利かせたピリ辛味の料理と合わせると面白いのかも知れません。

 次回この「祐村」とどこかで出合った時には、是非とも試してみたいものだと思っています。

【出羽桜 微発泡 吟醸にごり とび六 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 出羽桜酒造(山形県,天童市,一日町)

特定名称ほか 吟醸 微発泡にごり酒

原料米 麹米 「美山錦」(精米歩合50%)

       掛米 「雪化粧」(精米歩合50%)

酸度 1.5 アミノ酸度 ?

日本酒度 -3 アルコール度 15%

酒造年度 H21BY

「どぶろく」ならぬ夏の【とび六】

 世の中ではお盆休みの最終日となった15日の日曜,東京では再び最高気温が35℃を超える「猛暑日」となり、今年の暑い夏を象徴するようなお盆の週末となりました。

 これだけ暑いと、清涼感のある発泡系の日本酒が欲しくなりますが、今宵選んだ一本はコレ、
 【出羽桜 微発泡 吟醸にごり とび六】です。


 これは吟醸酒のパイオニアとして知られる山形の出羽桜酒造から、夏向けの日本酒として出された吟醸の発泡にごり酒で、4月に瓶詰をしてから出荷されるまでの間、マイナス5℃の冷蔵庫で保管されていたものです。

 ちなみに「とび六」という名前は、昔は「どぶろく」のことを「とびろく」とも呼んでいたことから付けられていますが、もちろんこのお酒は「どぶろく」ではなく、れっきとした「吟醸酒」です


 開栓前は瓶底にが1cm程度積もっていますが、キャップを少しひねると炭酸ガスと共に滓が勢い良く舞い上がって来て、キャップの開け締めを10回ほど繰り返すことによって、ようやく吹きこぼさずに栓を開けることができました。

 香りは、「熟した甘夏」のような果実の香りに、「乳酸菌飲料」を想わせる酸味のある乳製品の香りが加わって、「やや甘酸っぱさを想わせる優しい香り」が感じられます。

 口当りは爽やかで、吟醸酒ならではの滑らかな甘味とキレの良い酸,そして炭酸ガスの刺激と余韻の苦味がアクセントとなって加わって、爽快感と共に口に広がってゆきます。

 余韻にも軽快な苦味と炭酸ガスの刺激を感じ、コクやボリューム感も程好くあって、「上品な甘味と爽快な炭酸の刺激,そして余韻のほろ苦さがドライ感をもたらしてくれる」、典型的な「発泡にごりタイプ」の味わいのお酒でした

 このタイプのお酒は、冷凍庫で5℃以下までしっかり冷やして、食前酒としてお酒単体で愉しむのに適しているのですが、敢えて料理と合わせる場合は、酸味の強いものやクセのある醗酵食品などが、比較的合わせ易いように思われます。

 まずはしっかりと酸味のあるものとして、
 【クーロンヌ・ロショワーズ】から試してみました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  これは、フランス産のフレッシュタイプのシェーブルチーズで、真ん中に穴の開いた「ドーナッツ型」をしています。

 とても柔かくしっとりとしたバターのような食感で、シェーブルとしては酸味はやや穏やかでマイルドな味わいです。

 以前から思っていたのですが、「とび六」のような「発泡ごりタイプのお酒」と「フレッシュタイプのシェーブル」には、どちらにも良く似た「爽やかさを伴なったミルキーなフレーバー」が、共通点として感じられます。

 当然のことながら、両者を合わせるとお互いのフレーバーがピッタリと同調して、期待した通りの素敵なマリアージュを見せてくれました。 


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いてはクセのある醗酵食品の代表格として

 【三陸産ほやの塩辛】を試してみました。

 強烈かつ個性的な香りを感じながら、恐る恐る口に運んでみると、独特の苦味を伴なった旨味があり、余韻にはやや強めの塩味も感じられます。

 個人的にはやや苦手の味わいなので、あわてて「とび六」を流し込むと、不思議なことに「ほや」のクセのある香味が、お酒に包み込まれてスッと消えて優しい味わいへと変化し、そして後口には再び「ほや」独特の味わいが口の中へと戻ってきます。

 「ほや」の個性的なフレーバーが、消えてしまうことが良いかどうかは別として、「ほや」が苦手な人にとってはの組合せと言ってよいでしょう。

 さて、今年は暑過ぎる夏となっている為に、活性にごりタイプの日本酒」を飲む機会が増えているのですが、現時点で私が感じている相性の良い料理は、①「爽やかな酸味のあるもの」(互いのフレーバーが同調),②「脂の乗った魚のお造り」(お酒の炭酸が脂を流す),③「塩辛系の醗酵食品」(塩辛い味わいとのバランスの良さ)の3つのパターンです。

 もちろんこれ以外にも色々あるとは思いますが、良ければ一度これらの組合せを試してみて下さい。

【田酒 特別純米原酒 氷清 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 西田酒造店(青森県,青森市,大字油川大浜)

特定名称ほか 特別純米原酒

原料米 青森県産「華吹雪」(精米歩合55%)

酸度 1.5 アミノ酸度 ?

日本酒度 +3 アルコール度 18%

酒造年度 H21BY

オンザロック仕様の【夏の田酒】

 8月に入ってからも、連日炎天下での異常な程の暑さが続いており、都心の赤坂にある当店でも、冷蔵庫や空調の温度設定を最強にして、何とか日々の営業を行なっているという状況です。

 こんなまるで熱帯地域の様な、週末の東京の夜に選んだお酒がコレ、

 【田酒 特別純米原酒 氷清】です。


 これは「田酒」で知られる西田酒造店が、青森県産の酒造好適米「華吹雪」を55%まで磨いて醸し、「夏にオンザロックで愉しむ」ことを前提として、加水をせずに原酒のまま出荷したもので、同じ華吹雪を使ったほぼ同様のスペックの「特別純米酒」と比べて、アルコール度数が約3度ほど高くなっています。


 香りは、「紅梅」のような花の微香や、「豆乳」を想わせる穀物に由来する香りがあり、「ほのかにフローラルで、穏やかで落ち着きのある香り」が感じられます。

 まずは原酒のまま呑んでみましたが、口当りはインパクトがあり、やや控えめな甘味と輪郭がハッキリとした明快な酸,そして舌に浸み込むようなコクのある旨味が、力強い全体の印象の中で互いにバランスを取り合っています。

 後口はしっかりとしていて余韻も長く、ボリューム感も十分過ぎる程にあり、「コクのある濃醇な飲み口で、パンチのある呑み応えのある味わい」のお酒でした。
 続いて「オンザロック」で呑んでみると、全体の味わいのバランスは全く崩れることなく、それでいて飲み口はグンとまろやかになり、また余韻の酸や旨味がより一層引き立ってくるように感じられました。


 今回はオンザロックで呑みながら、脂の乗った魚料理2品と合わせてみました。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 まずは
【新秋刀魚のお造り】です。

 この時期に出回る秋刀魚は北海道産の新物ということもあり、まだ値段が高めなのですが、デパ地下の鮮魚売り場にに並んでいるのを見て、我慢できずに買い込んできました。

 生姜醤油で食べてみると、口の中で脂の乗り切った秋刀魚がとろけてゆき、そして後口には「まぐろの中トロ」のような旨味が残ります。

 「田酒 氷清」と合わせてみると、秋刀魚の脂をキレイに流しつつ旨味の余韻を長く残してくれて、お酒と秋刀魚を交互に何度も繰り返してしまうような、実に美味しい組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては【鮭ハラスの白醤油焼き】です。
 「鮭ハラス」はマグロで言うといわば大トロの部分で、見た目でもすぐに判るくらいに脂が乗りまくっています。

 今回は塩を振ってから、やや淡白で甘味のある「白醤油」を塗って焼いたものを用意しましたが、ジュワ~と広がる脂の中にも程好い塩味と旨味があり、思わず炊き立ての白いご飯と一緒に食べたくなってしまいます。

 ご飯の代わりに「田酒 氷清」をグイッと流し込むと、こちらも秋刀魚と同様に口の中で脂を流してくれると共に、「ハラス」の塩味と白醤油の香ばしいフレーバーが、お酒の酸や旨味と調和して何とも言えない美味しさが愉しめます。


 ちなみに、こんなボリューム感のある原酒タイプの日本酒を、食中酒としてオンザロックでゆっくりと呑み続ける時は、ウィスキー用のロックグラスではややサイズが大き過ぎて、氷が溶けてお酒がどんどん薄まってしまうので、120~130ml位の冷酒用のグラスに氷を1個だけ浮かべて、3口程度で呑み切りながら再びお酒を注ぎ足してゆくのがGOODのようです,ご参考まで…。

【菊姫 金剣 純米酒
■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 菊姫合資会社(石川県,白山市,鶴来新町)

特定名称ほか 純米酒

原料米 兵庫県吉川町産「特A山田錦」(精米歩合65%)

酸度 1.7 アミノ酸度 1.8

日本酒 -4 アルコール度 15.5%

酒造年度 ?

■うなぎを肴に【加賀の女酒】

 7月の最終週の木曜日に、東京ではようやく恵みの雨が降って、実に20日ぶりに最高気温が30℃以下まで下がり、梅雨明け以降連日続いている猛暑の「中休み」となりました。

 さて、今年は7月の26日が「土用の丑」の日にあたりましたが、1週遅れで今週末にうなぎ料理でスタミナを付けることとし、それに合わせて用意したお酒が、
 【菊姫 金剣 純米酒】です。


 これは、「加賀の菊酒」として知られる「菊姫」の蔵が、兵庫県吉川町の最高ランクの「山田錦」を使って醸した純米酒で、蔵元では伝統の「山廃仕込」によるものを「男酒」,そして敢えて「速醸酒母」を使って仕込んだこの「金剣」の方を「女酒」と呼んでいます。

 またこの「菊姫 金剣」は、日本酒のボランタリー組織である「日本名門酒会」のスタッフが、毎年実施している「うなぎに合う酒」の相性テストで、今年の第1位に選ばれたお酒です。


 香りのトーンはやや強く、「干し椎茸の戻し汁」を想わせる干した食材の香りや、「リコリス(甘草)のようなスパイス類の香りがあり、「熟成を想わせる、ふくよかで深みのある香りが感じられます。

 口当りは柔らかく、優しい甘味と輪郭のハッキリした程好い酸,そして膨らみのある旨味が、ふくよかな熟成フレーバーに包まれながら、互いに絡まり合って調和しています。

 余韻は比較的長く、コクやボリューム感も程好くあり、「優しく滑らかな飲み口で、お米の柔らかな甘味とやや複雑な旨味が感じられるふくよかな味わいの純米酒でした。


 このお酒が蒲焼きに合うことは既に判っているので、ちょっと変わった食べ方のスタイルで■【利き酒師世界一】のひとり言■
 まずは
【うなぎのくりから焼きです。

 「くりから焼き」とは、うなぎの身を縦に細く切って、串に巻き付けて焼いたもので、蒲焼き「うな重」などの食事のイメージが強いのに対して、こんな風に串焼きスタイルにすると、お酒のおつまみといった印象になります。

 うなぎの串を頬張りながらおもむろに「菊姫」を呑むと、このお酒の程好い酸が鰻の脂を少し和らげ、その一方で鰻の持つ旨味を増幅させてくれます。

 粉山椒をかけて食べてみても、全く問題のない相性の良さで、「うなぎとの相性テスト」で第1位に選ばれたのが素直に納得できるような、とても美味しい組合せでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては
【う巻き玉子】です。

 こちらは見た目の通り、鰻の蒲焼きを玉子で巻いてゆき、焼きあがってから「巻きす」で軽く締めたもので、やや甘口に仕上げた出し巻き玉子が、タレの付いた鰻のやや濃い目の味と良くマッチしています。

 お酒と合わせてみると、出し巻き玉子が鰻の濃い味わいをマイルドにする分、「菊姫」の個性的な香味が料理に対してやや上手になるようにも感じられます。

 もちろん相性としては○なのですが、「くりから焼き」の方がよりピタリとはまるような印象を受けました。。


 さて昔は「土用の丑」の日が一年で一番暑い日と言われていたようですが、今年はその日を過ぎてもまだまだ猛暑が続いており、今年の夏は日本の伝統的なスタミナ料理である「夏のうなぎ」と、うなぎ料理をより美味しくしてくれる日本酒との組合せで、厳しい暑さに立ち向かってゆく機会が増えそうですね。