【澤屋まつもと うるとら純米大吟醸】
このお酒のデータは…●蔵元 松本酒造(京都市,伏見区,横大路三栖大黒町)
●特定名称ほか 純米大吟醸酒 火入れ
●原料米 兵庫県産特等「山田錦」(精米歩合 40%)
●酸度 1.3 ●アミノ酸度 1.3
●日本酒度 +3 ●アルコール度 16.0%
●酒造年度 H22BY
「超」大吟醸の【ウルトラの酒】
11月になったというのに、東京では日中の気温が未だに連日21℃を超えており、とても「霜月」とは呼べないような暖かい日々が続いています。
そんな例年とは異なる趣の「晩秋の宵」に選んだ一本は、
【澤屋まつもと うるとら大吟醸】です。
これは京都伏見の松本酒造が、兵庫県産の特等クラスの「山田錦」を40%まで磨き上げ、年に一度の限定醸造で出荷した純米大吟醸酒で、この蔵の通常の「純米大吟醸酒」よりさらにワンランク上のお酒であるという意味から、「ウルトラ(うるとら)」という冠言葉が付けられています。
香りのトーンは中程度で、「王林(黄色りんご)」を想わせる果実の香りや、「ミントのフリスク」のような清涼タブレット菓子の香りがあり、「はんなりと華やかで、爽やかさも感じさせる香り」といった印象です。
口当りはソフトで、嫌味の無い甘味とシャープな酸,そして穏やかな旨味が、口の中で上品かつキレイに調和してゆきます。
後口のキレは良く、自然な甘味と軽快な酸が、余韻の微かな苦味を伴いながらフェードアウトしてゆきます。
コクやボリューム感は程良くあり、「滑らかかつスムースな飲み口で、品の良さを感じさせるエレガントな味わい」のお酒でした。
この「ウルトラなお酒」は、料理が無くてもお酒単体でスイスイと呑めてしまいますが、今回は蟹料理2品と合わせてみました。
まず1品目は【茹でタラバ蟹】です。
これは、「蟹の王様」と呼ばれているオホーツク海産のタラバ蟹を、鮮度が落ちない内にボイルして冷凍保存したもので、まずは何もつけずに頬張ってみると、蟹の甘味が口いっぱいに広がります。
甘味の余韻が消えない内に「澤屋うるとら」と合わせてみると、このお酒の上品でキレイな味わいが、出しゃばること無く蟹の美味しさをより一層引き立ててくれます。
続いて、蟹に「土佐酢」をつけて「澤屋うるとら」と合わせてみましたが、こちらはお酒から微かな苦味が引き出されてしまい、それがやや気になってしまいました。
茹でた蟹料理に、「上品な味わいのタイプの純米大吟醸酒」を合わせる時は、どうやら「蟹酢」は不必要なようです。
「紅ズワイ蟹」は水深450~2500mの深海に棲む蟹で、一般的なズワイガニと較べると、生きている時から鮮やかな赤褐色をしていて、甲羅の形が高く盛り上がっているのが特徴です。
今回は蟹の身ではなく「蟹味噌」だけを購入して来ましたが、非常に濃厚な味わいで、蟹独特のフレーバーがしっかりと感じられます。
「澤屋うるとら」と合わせてみると、蟹味噌の濃密さを程好くマイルドに変化させてくれるのですが、その一方でこのお酒の折角のエレガントな味わいが、蟹味噌の味の強さに押されてやや消えてしまいます。
相性としては決して悪くはないのですが、蟹味噌に日本酒を合わせる時は、もう少し「濃醇旨口タイプ」のものを合わせた方がベターなようです。
さて冒頭でも述べたようにこの「澤屋 うるとら純米大吟醸」は、値段が高価な兵庫県産の特等級の「山田錦」を、贅沢に40%まで磨き上げて醸しています。
蔵元の話によると、精米機で更に磨いて精米歩合を35%以上にすることも可能なのですが、そうすると「砕けた米」が混ざる確率が高くなってしまい、このような「ウルトラな酒質のお酒」が醸されない為、この蔵元では敢えて精米歩合を40%に留めているのだそうです。
なるほど、お米は必ずしも「磨けば磨くほど良い」というわけではないのですね。
