■「いちご酵母」の【怪物くん?!】 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

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●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【天吹 辛口いちご酵母 MONSTER 

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  このお酒のデータは…
蔵元 天吹酒造(佐賀県,三養基郡,みやき町)

特定名称ほか 純米吟醸酒 いちご花酵母

原料米 秋田県産「酒こまち」(精米歩合 55%) 

酸度 1.6 アミノ酸度 ?

日本酒度 +6 アルコール度 16.0%

酒造年度 H22BY

「いちご酵母」の【怪物くん?!】
  10月も下旬に入り、日中はまだまだ暖かい日が続いているものの、朝晩はだいぶ冷え込むようになってきました。

 そんな秋の夜長に、WEBサイト上のSAKE SHOPのラインナップをチェックしていて、興味を惹かれて取り寄せたお酒がコレ、

  【天吹 辛口いちご酵母 MONSTER】です。

  この蔵元には、従来より「天吹 純米吟醸 いちご酵母」という、「いちごの花酵母」で醸した純米吟醸酒があったのですが、これはいわばその「裏バージョン」として辛口スペックで醸されたお酒で、「MONSTER」というちょっと風変わりなネーミングが付けられています。


 香りのトーンは中程度で、「蜜入りのふじリンゴのような果実の香りや、「サヴァラン」を想わせるようなお酒を使った焼き菓子の香りがあり、「ほんのりと華やかで、フルーティーな香り」が感じられます。

 口当りは軽快で、控えめでスッキリとした甘味とシャープでキレの良い酸,そしてキレイで滑らかな旨味が口に広がってゆきます。

 後口は割としっかりしていて、ピリピリ感のある酸と共にスーっと切れてゆき、余韻に感じられる僅かな「渋味」が、味わい全体にややドライな印象を与えています。
 コクやボリューム感は控えめで、「キリリとした軽快な飲み口で、やや淡麗でドライ感のある味わいの辛口酒」でした。

 

 今回は「モンスター」という横文字の名前にちなんで、「洋風のオードブル」2品用意してみました。
■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  まず1品目【サバのマリネです

 これは、サバと野菜を「アンチョビ」「生姜」入りの「マリナード」に漬け込んだもので、アクセントとして「ピンクペッパー」が添えられています。

 「MONSTER」と合わせてみると、マリネにしたサバやアンチョビ,そして生姜といったそれぞれのフレーバーに対しては、特に違和感は無いのですが、お酒と料理が口の中で一体になるという感覚が何故か今一つ感じられません。

 このお酒の特徴であるドライな味わいと、マリナードに使われている「白ワインヴィネガー」とが、やや馴染んでいないことが理由のような気もしましたが、相性的には「可も無し不可も無し」といった印象の組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  続いて2品目は
【ラタトゥイユ】  です

 これは、茄子,ズッキーニ,セロリ,パプリカ,オニオンetc.の香味野菜を、オリーブオイルで炒めてからトマトを加えて煮込んだ、南仏プロヴァンス地方の野菜料理なのですが、それぞれの野菜が持つ自然な甘味と「バルサミコ酢」の熟成感を伴なった酸味,そしてオリーブオイルの風味がなかなか良くマッチしています。

 お酒と合わせてみると、こちらも1品目の「サバのマリネ」と同様に、「MONSTER」のドライ感とラタトゥイユの野菜の甘味とが口の中で今ひとつ絡み合わず、両方の味わいの個性がそのまま平行して進むような印象を受けてしまいました。

この料理に対しては、もう少し「優しい甘味を持つタイプ」の日本酒を合わせた方が良いのかもしれません。

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  話は変わりますが、2010年の「紅白歌合戦」で、アイドルグループ「嵐」のリーダーの大野君が、天吹酒造で「いちご酵母」のお酒を仕込んでいるシーンが放送されたのですが、その後ファンからの問合せが殺到して、その年に仕込んだ「天吹 純米吟醸 いちご酵母」は、あっという間に売り切れてしまったそうです。

 そこで天吹酒造ではこの「裏バージョン」のいちご酵母のお酒に、大野君主演の映画「怪物くん」にちなんでMONSTERという名前を付け、そしてラベルのデザインについても、「怪物くんの洋服」と同じ色にしたのだそうです。

 こんな「遊び心」溢れるお酒も、たまには「有り」なのかもしれませんね…。