■お歳暮は【トンネル熟成酒】 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

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●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【喜久水 純米吟醸 喜三郎の酒

■【利き酒師世界一】のひとり言■


このお酒のデータは…
蔵元
 喜久水酒造(秋田県,能代市)

特定名称 純米吟醸酒

原料米 能代産「華吹雪」 (精米歩合55%)

酸度 1.7 アミノ酸度 1.0

日本酒度 ±0 アルコール度 16.3%

酒造年度 H19BY
【地下貯蔵低温熟成酒】

を師走にじっくり愉しむ 

 12月も中旬に入って今年もあと半月を残すのみとなりましたが、世間は完全に「年末モード」へと突入しており、お店も忘年会のピークを迎えて忙しい日々が続いています。


 さて、毎年この時期になると、秋田の親戚から「お歳暮」のお酒を送って頂いているのですが、今年は例年とはチョットタイプの違うお酒が届きました。
  その名も【喜久水 純米吟醸 喜三郎の酒】です。


 このお酒は秋田の喜久水酒造が、世界遺産で有名な「白神山地」の麓にある、築100年以上の総レンガ造りの旧国鉄のトンネルの中で、じっくりと寝かせた純米吟醸酒なのですが、トンネル内は通年で11℃に保たれているそうで、まさに自然の冷蔵庫であると言えます。
 ちなみに包装してあった箱には、「光の当たらない低温12℃の状態で保存すると、5年目まで味が向上するのを当社で確認済みです」と記載されていたのですが、とっても5年も辛抱して待つことができないので、すぐに呑んでみることとしました。


 香りは、昔給食で食べた「玄米パン」「ひのき」想わせる穀物や木質の香りに、「椿の様な花の微香や乳製品の香りが加わって、微かに熟成による香りもありますが、全体としては「穏やかでふくよかな香り」が感じられます。

 味わいは、優しい甘味としっかりとした酸,そして膨らみのある旨味が溶け合って調和が取れていて、「飲み口はまろやかでありながら、後口には充実した呑み応えを感じる」お酒でした。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 今回も例によって、「喜久水 純米吟醸」に合わせる料理を探して、新宿のデパ地下の惣菜売り場を物色していたのですが、久々に「中華料理」と日本酒の相性をみたくなって、中華の惣菜を何品か買い込んで合わせてみました。

まず一品目は、【八宝菜】です。


 どちらかと言えば無難な組合せかなと予想していたのですが、「八宝菜」特有の旨味の強い味付けと、バラエティに富んだ材料の持つそれぞれ味わいがの膨らみのある旨味にうまく乗っかって、予想以上に美味しい組合せでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  そして二品目は、【海老のチリソース煮】です。


 当初は、チリソースの強い味に「喜久水 純米吟醸」がやや負けてしまうのではないかと心配したのですが、「豆板醤」の旨味を伴った辛さと、お酒の旨味と酸が口の中で溶け合って、全く違和感の無い楽しい組合せでした。


  久々に中華料理と日本酒の相性を愉しんでみましたが、今回の「喜久水 純米吟醸 喜三郎の酒」のように、チョットだけ熟成を感じさせるフレーバーを持つタイプの日本酒は、「干し貝柱」etc.の干した食材を戻して使うことが多い中華料理には、日本酒全般の中でも向いているタイプなのではないかと何となく感じた一日でした。