今日は化成肥料の典型的な弊害を書こうと思います。
みかんの方ですが、6年前くらいから秋肥に化成肥料を使用するようになりました。
理由は
①収穫に時間がかかり、施肥が12月もしくは1月になってしまう
②収穫前の有機配合肥料の施肥では、昨今に多い秋の雨が降ると浮皮になる
この2点でした。
私はもちろんのこと肥料屋であるために、化成肥料の弊害を知っていますし、別のお客さんで10年ほど化成肥料を使い続けた方のみかんがどうなったかも知っていました。
そのことを気を悪くしないように遠まわしに伝えていたつもりですが、伝わっていなかったようです。
このお客さん、現在どうなっているかと言うと、収穫後に旧葉が落葉するようになりました。
この旧葉の落葉は最悪です。
みかんの一年は春の発芽から始まりますが、新芽が発芽するための栄養は旧葉が貯蔵している養分により発芽します。
更に、3~4月は花を形成する最終段階であり、非常に重要な時です。
当然のことながら、これも貯蔵養分により行われます。
旧葉が落葉すると言うことは、これらの働きが充分に行われないと言うことになります。
発芽と花が充分じゃないなんて、最初からその年のみかん作りが見えてしまっているようなものです。
では、春肥は何のために施すのか?
発芽から気温が高くなると共に養分吸収量が増えます。
その補いをするために、春肥を施すんです。
さて、なぜに落葉するようになってのか?
大きな理由は、「化成肥料の連用により、養分を吸収しなくなった」ということでしょう。
私は化成肥料を全面的に否定はしませんが、化成を中心に使用するのならば、堆肥と石灰は必須です。
化成を6年も使用すると、土壌は酸性化します。
酸性化した土壌はブルーベリーならいざ知らず、みかんでは養分を吸収しなくなります。
それを起こさないためには、石灰の施用が必須です。
また、「みかんの養分吸収は約50%が土壌中の窒素」だと言われています。
土壌中の窒素とは、肥料を施用後、分解吸収されなかった窒素が土壌中の窒素として残ります。(もちろん流亡する分もあります。)
これを地力窒素と呼びます。
どうやって土中に残っているのか?
それが微生物の力です。
微生物菌体に取り込まれるなどで、地力窒素として、徐々に分解されていきます。
どうですか?
やっぱり、土壌中の微生物って大切でしょう。
そういうわけで、有機物を投入しないで、化成肥料を連用すると、そこには微生物が生きていくためのエサが少なくなっていくために、当然のように微生物は減ります。
それを防ぐためには、堆肥が必須です。
さて、旧葉が落葉するようになったお客さんですが、化成肥料を有機配合肥料に戻すことはもちろんですが、堆肥と石灰の施用が絶対に必要です。
それを行えば、3年ほどで改善の兆しが見えてきます。
それは他のお客さんで実証済みです。
肥料を変えるだけでは、その年数が単純に長くなるだけでしょうね。
しかし、ここで疑問が湧いてきます。
配合肥料に戻すということは、当然のことならが早めの施肥をしなければいけません。
と言うことは、化成を使用するようになった理由の②の浮皮の悩みがまた出てくるということです。
最初から疑問に思っていました。
確かに施肥時期をずらすことは浮皮対策かもしれませんが、それは浮皮を解決したとは言えません。
今まで何度もブログでも主張していますが、9月からのリン酸を主体とした葉面散布が必須になるはずです。
それに気づくか気づかないかわかりませんが、さてどうなることでしょうか。
この化成肥料の連用の話は、肥料屋さんが話をわかりやすくするために、「化成肥料で充分だったら有機肥料なんて必要ない」と言いますが、そんな簡単な話じゃありません。
化成肥料オンリーの弊害はあまりにも大きすぎるということを少しの理屈を並べて書いてみました。
このブログを見ていただいている農家さんに少しでも参考になればと思います。