イチゴの出荷減を考察する その4 | さかたのみかん

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みかん農家として独立したので、タイトルを変えました。
家業は相変わらず、肥料屋です。

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イチゴのお客さんがプチ統括会議の内容を教えてくれたので、それを参考にしながらまたまた考察してみたいと思います。

時を同じく、うちのイチゴの先生の意見も聞いてきたので、それも踏まえて書いていきます。


このシリーズが4回目を迎えているということは、今年のイチゴの収量がかなり少なかったためですが、その部会は収量減であったが、販売額は前年を越えていたようです。

農家さんの間では笑みもこぼれていたそうですが、このことだけでも問題点があると思います。

まずは前年比アップと言っても、一体どれだけの金額だったのか?

アップ率だけで判断するのはいかがなものでしょうか。

それも、後日わかることでしょうから、その時にまた考えればいいでしょう。

もう一つは、『収量減』です。

これ以外のことがどんなに良い数字であっても、この収量減が1番の問題だと考えます。

部会全体のことも大事ですが、一農家それぞれの収量や収入が上がらなければ全体は絶対に良くなりません。

農家はそれぞれに自営業者です。

この収量減が1番の問題点なんですから、目を背けてはいけません。


ちょっと話は横道にそれますが、プロ野球選手はチームのためにプレーをすると思いますか?それとも自分のためにだと思いますか?

日本人の場合はもしかしたら、チームのためを好むかもしれませんが、根底にあるのは『自分のため』です。

個人のレベルが上がれば、それがチームの成績に繋がる。

これがプロというものです。


さて、話を戻します。

今年の栽培上の問題点が少しずつ分かってきました。(これも地域差や個人差があることをご了承ください)

株冷や早植えは概ね順調だったそうです。

ならば問題はないので、触れずにスルーしま~す。


次に普通苗ですが、これがもう大苦戦だったそうです。

早進株が多く、花芽分化(これ何番の?)のバラつきも多かったようです。

また定植後の日照不足(これは電話で聞いた普及所の職員と意見が一致します)と10/20頃の高温・乾燥のしのぎ方の差によって生育に差が出たようです。

大きく分けると普通苗は「早進株多発グループ」「内葉数多いグループ」に分かれるということでした。


ここでやはり思うことは、以前(リンク→)
2番が遅れないための、あまおうの栽培方法 (←リンク)にも書いたことです。

大雑把に言えば、早進株多発は体内窒素に起因しますし、内葉数が多いのは単純に窒素過多でしょう。

早進株にならないように、体内窒素を下げすぎない。

内葉数が多すぎないように、元肥施用量の見直し(少肥栽培)と育苗期の十分な根張り。

これに尽きると思います。


また、「10/20頃の高温・乾燥のしのぎ方の差」ですが、この頃は確かに10月とは思えないくらいの高温・乾燥でした。

お客さんとも「一体どうなってるんだろうか」と話したのを覚えてます。

大変だったのを覚えていますが、ここで農家の癖と言いますか、感じたことがありました。

高温ならば、夕方にハウスを閉める時間を遅らせれば良い、乾燥しているなら水をやればいい。

この単純なことをしていないイチゴ農家さんが意外といたように思えます。

もちろん、時間を遅らせて閉めていたと思いますが、それでも「まだこんなに暑いのに・・・」と思うような時間に閉めている光景を見たのを思い出しました。

それも一人だけではなく、結構な数だったように思います。

農家さんの中には「お!ハウス閉めよるな。んじゃ、うちも閉めよ」みたいに、周りがしてるからというのが基準になっていることが多々あります。

また、天候がある程度安定している場合、例えば10月には何時ごろにハウスを閉めるというような潜在意識が農家さんの中にはあるのではないでしょうか。

考えすぎかもしれませんが、その時間になると閉めたくてウズウズする・・・・・なんてことも?

それは時期の問題ではありません。気温の問題なんです。

よく言えば、プロゆえの過ちですし、悪く言えば何も考えてないということになるでしょうか。


次に乾燥ですが、これは単純です。

水をやれば良い話です。

と書くと、「そんなに水をやると根腐れする」と言う方が必ずいらっしゃいます。

冷静に見てください。「誰も根腐れするほど水をやれ」とは書いていません。

(リンク→)
2番が遅れないための、あまおうの栽培方法 (←リンク)にも書いていますが、定植後1ヶ月かんは畝が濡れる程度の水量を毎日潅水することを推奨しています。

これにより、乾燥による上根を枯らすことなく、順調な生育を目指そうとするものです。

いわゆる、『少量多回数潅水』です。これは時期に関係なく、やはり潅水の基本ではないでしょうか。

特に、あまおうはとよのかに比べて根量が少なく、一次根が途中で分岐するために上根が多い傾向にあります。

そんな大事な根を乾燥くらいのことで枯らしてしまっては、2番にバラつきができ、年内に十分な樹勢ができずに3番の収穫量減につながるのは当然ではないでしょうか。

3番までが狂ってしまうと、4番にどうにかしようと思ってもどうにもなりません。


かなり長くなってますが、もう少しなので、お付き合いください。

次に厳寒期ですが、話によると、

1
2番収穫ピークなのに玉の肥大が悪い。

先ほども書きましたように、乾燥に対応できずに根の管理ができていなかったとするならば、玉太りが悪いのは当然です。

2株づくりが間に合ってない+2番ピーク+3番出雷。

これも根が十分じゃないとするならば、納得です。

3雨量も多く日照時間も不足。

肥料屋としてはここが気にかかります。

この日照時間不足の対応策はどうしましょうか?

そのまま手をこまねいて、じっとしていますか?

こういう時こそ、資材の力を借りるしかないでしょう。

「いやだって、雨ばっかりだったから・・・・・」

毎日、雨ということはありません。晴れの日に光合成を補ってあげるような葉面散布をしましょう。

「そんなに効果あるわけないやん」

そりゃ、お日様の光にはどんな方法も勝てません。

しかし、何もしないで過ごしている人と、少ない晴れ間を狙って努力した人の間には必ず差が出ます。

それだけの努力をしなければいけません。

その努力をしなければ、反省点も何もわかりません。


というわけで、ここまで書いているのは基本通りです。

なにも難しい理屈を書いているわけではありません。

私自身、今年の収穫量減はかなり頭を悩ませましたが、少しずつですが光明が見えてきたような気がします。

この問題はまだまだ新しい情報が出てくる可能性があるので、その時にはまた考察します。


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