随分と遅くなりましたが、前回も予告したとおり今回は液肥のことを書こうと思います。
今回で、この連載も最後になると思います。
液肥も大手メーカーから仕入れをしていても袋物と同様の結果になると思います。
大手メーカーの液肥はメーカー側から商圏を決められるので(もちろん袋物も同じですが)、全国どこへでも販売できると言うわけではありません。いわゆる特約店制度という奴でしょうか?
これは、小売店が顧客数を増やしていく上では非常に足枷になります。
しかもやっぱり、どこでもほぼ同じものが売られています。
もちろん、利点としては自分の商圏では独占できると言うこともありますけどね。
では、うちのように液肥を製造販売している所はどうか?
確かに仕入れよりも、利益をかけることは出来ますし、独自の商品を開発することはできます。
しかも、商圏を決められることもないので、どこに売るかも自由に決められます。
更に更に、末端価格も勝手に決めることが出来るので、高く売ろうが安く売ろうが勝手です。
うちのような中小メーカーと大手メーカーの違いがあります。
うちが主力で製造販売している商品は、アミノ酸やクエン酸の含有量が多く、原料は全て天然由来の物ばかりです。いわゆる、植物エキスです。
もちろん、潅水で使う三要素の液肥、三要素+微量要素の液肥、糖の液肥もありますけどね。
この植物エキスは商品として成り立たせるまでにかなりの時間がかかりました。
しかも、商品として成立させても、社員の間で「効果がある」だの「ない」だのそんな議論が何度も繰り返されました。
農業には絶対と言うものがかなり少ないですが、中でもこのような商品に関しては「散布の回数」や「土壌条件」や「管理者の違い」によって効果にかなりの差が出てしまうのが、現状です。
はっきり言って、かなり無駄が多いです。
こんな時間も含めて、開発費となるために末端価格が上がってしまうんじゃないかと思います。
こんな無駄が多いようなことは、大手メーカーは中々手を出せません。
そんなこんなで商品が完成したとしても、一番問題なのは、『液肥を販売することは非常に難しい』ということです。
この販売とは特に、新規獲得を示しているつもりです。
飛込み営業をする際に、重要なのはどんな商品を勧めに行くかということではないでしょうか?
当たり前のことですが、本当にこれが一番のポイントだと思います。
では、どんな商品を持っていけば購入してもらえるのか?
それは農薬でもなければ、袋物でもない・・・・・・・・・・・・・・・・・液肥しかないと断言するくらい私は強く信じています。
理由はいくつかありますが、分かりやすいと思う理由を一つ挙げます。
知らない人間がいきなり畑や家に来て、セールスしていく。
悪く言えば、上手いこと話に乗せられて商品を購入したのは良いが、これが効果のあるものなのか?そうではないのか?を出来る限り早く判断したいと思うのは、人情ではないでしょうか?
肥料という分野の中で、それを示すことが出来るのが液肥だからです。
しかし、どこにでもあるような三要素の液肥を売り込んでも、「そんなもの使ってるから」の当然の一言で門前払い同様になってしまいます。
それは、その液肥が三要素以外に有機成分として魚の煮汁のようなアミノ酸を使用しているというような物でも同じです。
それは何も特別な商品ではないからです。
果樹は別かもしれませんが、ハウス園芸の場合、三要素の液肥は追肥として潅水で流すのが主流です。
根から吸収させるのが、農業の基本ではありますが、それではやはり効果が出るスピードを求めることには限界があります。
そこで、液肥の中でも葉面散布剤を販売して行こうと考えるわけですが、これがまた難しい。
まぁ、販売とはどんな商品であれ難しいと思いますけどね。だからこそ、売れた時は本当に嬉しいんですけどね。
一メーカーとして、一通りの液肥を揃えなければいけません。
どこにでもあるような三要素の液肥から、目玉となるような商品までです。
このどこにでもあるような三要素の液肥だけを考えると、はっきり言って大手には勝てないです。
ほぼ同じ成分の物ならば、やっぱり名が売れている物を使用するのが心情ではないでしょうかね。
目玉商品というのは、簡単に例えるならばアミノ酸の液肥(葉面散布)などではないでしょうか?
ブログ仲間のとむさんが最近記事にされていますが、アミノ酸などの有機物の葉面散布は効果が見えにくいです。
もちろん、メーカーとして出来る限り早く効果が出るような物を作らなければいけませんが、1回か2回くらい散布して効果がはっきりと出るようなものはこれから先も世に出てこないんじゃないかと思います。
どんな商品でも同じですが、商品開発する際には新しい技術を取り入れなければいけません。
新しい技術を取り入れるということは、営業員は新しいことを覚えなければいけません。
もちろん、新しい技術を取り入れた商品は値段も上がります。それは資本主義の基本ですよね。
今までに、いろんな営業員を見てきましたが、この新しいことを覚えることを嫌がった人達ばかりでした。
100%なんて自然界ではありえない中で新しいことを覚え、農家さんに営業をかけることがおっくうになってしまっているんです。
肥料屋と農家さんとはとても長い付き合いになるのが、基本です。
『その中で、値段も高く、100%効果が出るわけではないものを販売してお客さんに嫌われるのを嫌がるんです。』
長い付き合いと言うのは結構弊害を伴います。つまりは「馴れ合い」ですけどね。
この馴れ合いが「あ・うんの呼吸」とまでになれば、すごいですけどね。
上記のことは過去の営業員の一人が口にしたことですから、まず間違いないです。
これは営業員だけに言えることではなく、結構経営者本人も言えることだと私は感じています。
私は、農家さんの役に立つものを提供しない限り、肥料屋で食っていくことは出来ないと考えています。
役に立つものとはその時代時代で変わっていくものです。
その努力をしなければ、物売りが世の中で存在することは不可能だと思っています。
う~ん、なんだかわかりにくい文章になってしまってませんか?
今日の段階ではここまでしか、考えが及びません。
これ以上に書きたいことができたら、追記しますね。