去年、みかんの減酸について
「夏場にピークを迎えた酸が下がり始めたら、窒素とアミノ酸でもう一度酸を復活させる。
その復活した酸が下がり始める時に糖が1~2度上がる」
なんていう話を聞きました。
みかんを作っている方なら一度は聞いたことあると思いますが、「酸が糖に変わる」って聞いたことありませんか?
上記の理論はその「酸が糖に変わる」ということが含まれているように思います。
このことは私がこの仕事を始めた時によく農家さんが言っていました。
ある本にもこのように書いてあるそうです。
「ところで、この話本当かな?」とある日ふと思いました。
そこでみかんと言えば興津試験場だろうと思い、一度も電話したことはありませんでしたが、試験場に電話して技術員の先生に尋ねました。
ちょっと長くなりますが、結構ためになると思いますよ。
sakaturn:「夏場にピークを迎えた酸が下がり始めたら、窒素とアミノ酸でもう一度酸を復活させる。
その復活した酸が下がり始める時に糖が1~2度上がる。という話や酸が糖に変わると
いう話をよく聞くのですが、このことに関してどのように考えられますか?」
技術員:「え!酸が糖に変わる!?う~ん、酸が糖に変わるというのは完全に間違えてます。」
sakaturn:「ほぉ~そうですか」
技術員:「酸と糖は全く別の代謝物ですから、絶対に酸は糖に変わりません!」
技術員:「よく考えてください。雑柑類はあんなに酸が高いんですよ。もしその酸が糖に変わるという
ならば、雑柑は温州よりもものすごく糖が上がるということになりませんか?」
sakaturn:「あぁ~そうですね。ではなぜこのような話が出るのでしょうか?」
技術員:「考えられるのは、酸が下がる時期と糖が上がる時期はほぼ同じです。
ですからそのような勘違いをするのでしょう。」
sakaturn:「では酸が復活するって言うのは、その時期に毎日食べていれば実感するって
聞きましたが?」
技術員:「酸というのは7月~8月にピークを迎えてその後少~しずつの上げ下げを繰り返しながら
全体的に下がっていきます。だから昨日よりも今日の方が上がってるということが起こり
ます。」
sakaturn:「あぁ~そうなんですね。では酸を下げるにはどうすればいいのですか?」
技術員:「そうですねぇ、水をやって酸の濃度を下げるとか、温度を上げて代謝を促進するという
ことが考えられますね。」
sakaturn:「しかし水をやると糖も下がりますよね。」
技術員:「はい、糖も下がりますが、それは本来少ししか下がりませんし、糖は最後まで
上がり続けます。」
sakaturn:「ということは、まずはそれまでに糖をしっかり上げておくこと、そしてその後でも糖が
上がるような管理が必要なんですね。」
技術員:「そういうことになります。」
sakaturn:「ついでに聞きますが、今は使えませんがヒサン鉛はどんな作用をしていたのですか?」
技術員:「ヒサン鉛は酸のピーク値を下げる作用をします。ピーク値が低いということは早く
食べれるようになりますね。」
sakaturn:「しかしそれはただ食べれるというだけでおいしいかどうかは別問題ですよね。」
技術員:「はい、ただそれだけです。」(終わり)
(ここからは個人的な見解です)
近年の天候は秋に大雨が降るようになりました。
ということは酸は自動的に下がるのです。しかしいくら糖はそんなに下がらないと言っても、その雨の量が多すぎて糖も下がってしまいます。
しかし貯蔵養分(特にアミノ酸、リン酸、微量要素)がしっかりと蓄えられていれば、その水分の解消ができると思っています。
以上が減酸に関して私が勉強したことです。
しかしもしかしたら何か違う意見や考え方があるかもしれません。
何か思うことがあればどんどんご意見をお願いします。