「温故知新-新しい未来を知るにはいにしえの歴史から学べ」といいます。

 

歴史を読み解けば、かつて日本で起きた大きな災害(地震含む)をも予測できることがあります。

 

現存する日本史の資料の中で登場する地震に関する記録は「日本書紀」の(白鳳の)地震からはじまり、数多の故史料に過去、日本国内各地で起きた数々の地震の記録があります。

 

そうした中で、自分の中でかねてから気になっているのが「慶長の(三陸沖)地震」に関するものがあります。

慶長三陸地震は、1611年(慶長十六年)に現在の青森、岩手、宮城県を襲った地震 として知られています。

しかし、この地震に関しては、謎が多く、震源や地震の規模について諸説あります。

津波到達が地震動の最大時から2~4時間経過していたこと(現在の宮城県内の古文書の記録)から、震源の位置について疑問が残されています。

慶長十六年 同年十月二十八日巳刻(午前10時頃)すぎに大地震が起き、正午をへて未刻(午後2時頃)に大津波が起こったとする記録。

「大地震が三度起こった」(「武藤六上衛門所蔵古大書」)

「海の沖しきりに鳴る事、四、五度」(「宮古由来記」)

(午前中の10時頃に地震が起こり、その後14時頃にも地震が起きた可能性)

蝦夷地(現在の北海道)の南東岸では、先住のアイヌ民族が多数、溺死した(「北海道史」)。

 

東北方面の記録の時間間隔、北海道方面にも残る記録の影響範囲の広さが伝えられています。これらのことから、慶長のこの時の地震というのは、あるいは三陸沖だけでなく北海道の東側沖・北方領土沖の千島海溝付近で発生した地殻変動が周辺の震源域と連動して起きた巨大地震である可能性もあります。

 

この域は北米プレート(陸のプレート)と太平洋プレート(海のプレート)の境です。

千島海溝は遙か昔から地震活動が活発で1600年代に超巨大地震が起きた可能性があります(四百数十年に一度ほどの地震が起きているのではないか?)

 

十勝沖から根室沖の沿岸では地下に埋もれている津波の痕跡から400年程度の間隔で超巨大といえる地震(10mを超える津波)が起きている可能性があります。

(近年の研究予測では、もし仮に日本海溝・千島海溝でM9クラスの地震が来た場合には、根室や釧路やえりもでも20mを超える津波の可能性がある想定が出されています)

 

 

 

・近年起きている地震の記録

 

巨大地震とまではいかずとも、比較的大きい規模のマグニチュード6~7クラスのものは一定の空白期間を経て起きています。

 

19世紀からの千島海溝を中心に(日本海溝での影響を受けた地震を含めて)以下にまとめてみると、北海道南東方海域では大きな地震が頻繁に起きています。

 

1843年の釧路・根室沖地震(釧路から国後島沖までを震源域とした巨大地震?)

1894年の根室南東沖地震(プレート境界で起きた巨大地震?)

1896年の明治三陸地震(広域にわたって津波の影響を受ける)

1952年の十勝沖地震(プレート境界?)

1969年の北海道東方沖地震

1973年根室半島沖地震

1993年釧路沖地震(プレート内部?)

1994年北海道東方沖

1995年択捉島南東沖地震(遠く離れた根室・釧路でも20~30㎝の津波観測)

2003年十勝沖{1952年の十勝沖から約50年}

 

 

 

・古記録・痕跡が伝える震災への警告

 

未来のことは予測困難ですが、今後長期的なスパンでみた場合、この域で何が起こるのでしょうか?

 

1600年代(17世紀)に超巨大地震が起きた地質学の痕跡は伝えられる慶長の地震とリンクしています。

この時から400年の期間を経ていますが、あるいはエネルギーを溜めている可能性があります。

また日本海溝においては、東日本大震災で岩盤が壊れきらなかった所(北側)がある可能性も指摘されています。

地震の逼迫度合いでいえば、あるいは西日本の南海トラフよりも発生が切迫している可能性があるのではないか?というのが個人的な予測です。

この域のことは東南海に比べるとあまり注目されることはありませんが、もし仮に近い時期に大きな震災が来ることを想定するとすれば、むしろこの域にも注視しておくことが大切なのではないか、と個人的には考えています。

 

 

古記録・痕跡が伝える震災への警告ともいえる記憶の数々。

仮にもし同種の地震が再来した場合、その被害は甚大です。

北海道の東側では少なくとも今後も中規模のものは起きる可能性が十分ある気がしていますが、冬の時期であれば北海道南東地域は凍結・積雪の影響もあり、さらに被害が広がるでしょう。もし今後も実際に起きると、壊滅的な被害が予測されます。そのためにもこの地域の方々には避難行動をどのようにとるか事前に考え、いざというときには積極的な避難行動をとって欲しいと考えています。