さかぽん先生の寺子屋のある男の子のお話です。
中学1年生のA君は、勉強が苦手。
社会や英語の勉強中、
「ん~、これ知らんことばっかりや。難しいからまた今度やろう!」
そう言って問題集をぱたんと閉じてしまいます。
そして、テスト前日。
「先生~社会も英語もわからへん~。時間がない~。」
「でも、今からでも1つずつ覚えていくしかないよ。」
「ん~…今からやっても、オレ覚えるの苦手で時間かかるし、絶対明日に間にあわへんし…。」
家でやるわ、と言い残して帰っていきますが、
テスト結果は当然うまくいきません。
寺子屋ではこんな場合、
これまでにもお伝えしていることですが、
例えば居残りをさせて
無理やり覚えさせるということはしません。
本人のやる気がない状態で
無理やり勉強させるのは、
まったく意味がなく何より本人のためにならないからです。
ますます勉強嫌いになってしまいます。
毎日の声掛け、働きかけで
本人の気持ちを前向きにしていくしかないのです。
そんなAくんが、ある日、
寺子屋の授業で実施している
英語の単語テストで、0点を取りました。
さすがにAくんもまずいと思ったのか、
「先生、単語の覚え方教えてください…」
と言いに来ました。
そこで、一緒に10個の単語を覚えました。
以前紹介したやり方です。
①しっかり見て写す。
②見ずに描けるか自分でテストしてみる。
③間違ったものだけ再度練習。
④間違ったものだけテスト。
⑤間違いがなくなるまでテスト。
⑥間違いが無くなれば、もう一度初めからテストしてみる。
⑦一発満点になるまでこれを繰り返す。
この時、Aくんは自分が覚えられなかったのは
間違ったものをそのままにしてたからだ
ということに気づいたようです。
この日以来、Aくんは覚え方をマスターし、
英単語のテストは毎回ほぼ満点。(たまにミスはあります…)
そして、社会も同じように覚えるんやで。
と一言いうと、なるほど!と言って、
自分からテスト勉強をし始めました。
授業日以外に自習に来て、社会の勉強をし、
「先生、このやり方でやったら覚えるの
めっちゃ簡単やな。見て!このページも次のページも全部〇や!」
とどんどん問題集を進めていきました。
Aくんは、単語を一緒に覚える練習を
したあの15分で変わりました。
覚えられることが楽しくなり、
○がつくのが楽しくなり、
自信がついたのでしょう。
わかるということが楽しくなったのです。
単語の覚え方は、小学生のころから
ずっと言い続けていることで、
Aくんにもこれまでにも何回も説明して、
一緒に練習もしてきました。
でも、本人の気持ちができるようになりたい
と思っていないうちは、
どれだけ教えられても身につかないのです。
今回のAくんのようにタイミングが
ばっちり合えば効果が目に見えてわかります。
タイミングを合わすには、教える側があきらめず、
子どもを信じ、いろいろな言い方や
場面で接していくしかありません。
「何回言ってもわからないから、
この子にはもう無理だな」
と思ってしまわず、トライし続けてみてください。
変化は急に現れます。
そしてどんな子にも必ず変わるチャンスがあります。