今年の夏の日本での診療が終わり、イギリスに戻ります。

 

ロンドンと鳥取という極端に違う場所で臨床をやっていると、どちらの国に住んでいる子どもたちにとっても、それぞれの生きづらさがあり、それぞれの世界で抜け出せない息苦しさを抱えているなと感じます。

 

特に、両国に共通しているのは、学校の中で、特性のある子どもたちへの支援が教員の先生によって全然異なり、毎年先生が変わるごとに子どもたちも親も一喜一憂しないとならないという現状です。良い先生は良いし、理解のない先生は理解がない。これぞ子どもにとっては「先生ガチャ」の世界です。

 

虹の森では、毎週のように日本やイギリスのどこかの教育機関と支援会議をしていますが、先生方と実際にお話してみると、先生方の様子がよく分かります。

 

そして、私が実際に会議の場で提案する内容も、その場に参加されている先生方が、どんな性格でいらっしゃるかを見ながら、内容を変化させていることが多いです。

 

・・・もっと言うと、先生の発達特性がどうかというところを見ています(笑)。

 

例1)「もっと褒めてあげてください」と言っても、かなり具体的な褒め言葉の内容やタイミングを伝えないと理解して頂けない先生もいらっしゃいます。

 

例2)「もっと話を聞いてあげてください」と言っても、話を聞くのとアドバイスすることとは別であること、あいづちのうち方や、子どもが明らかに事実と違う話をしてきたらどうしたらいいかなど、事細かくお伝えしないと難しい先生もいらっしゃいます。

 

例3)「学校では生徒は~~すべき」という方針を曲げられないので、どうやってもルールが守れない特性のある子どもに対して、いつも怒ったり注意し続けてばかりになってしまう先生もいらっしゃいます。

 

一番困ってしまうのは、「自分がやっていることは常に正しい」という立場に立ってしまう先生です・・・(この場合は、どんな提案もまったく聞き入れて頂く余地がありません・・・)。

 

 

支援会議の場でも、特性のあるお子さんの支援に慣れていらっしゃる先生は、こちらが一言何かキーワードを出すと、ポンポンと対応のアイディアを出してこられます。

一方、保護者の要望で会議を設定した場合などでは、「そちらが何か聞きたいことがあれば質問どうぞ」というような(けっこう上から目線な)態度で、医者から何か提案を聞こうという姿勢はまったくない先生もいらっしゃいます。

 

従って、私のお伝えする内容も、「この先生ならこれくらい伝えれば、あとはお任せできるな」と思える先生には口頭でいくつか要点を伝えればいろいろディスカッションも弾むのですが、一方では、最初はこちらから質問するところから始め、先生用に別途スライドを作って、学校での対応策についての具体的な提案を視覚的にお見せして、解説資料までつけて渡さないとなかなか伝わらないなと感じることもあります。

 

つまり、ここまで考えてくると、多くの保護者さんや子どもたちが「先生ガチャ」だと思っておられる状態(例:傷つく言葉を言う先生がいる、先生に言っても伝わらない、などなど)の本質は、結局は先生方ご自身の発達特性によるのかなと思っているところです。

 

 

・・・と、先生のことばかり言ってますが、そんなこと言ったら、「医者ガチャ」も超あるあるですが(笑)

 

私たちの課題としては、学校の先生方が子どもたちを支援しやすいようにするには、私たちが持っている知識が本当に学校現場で役に立つ知識であるためにどのようにお伝えしたらよいか、という部分です。

 

お互いに学び合うことができたらと思っていますので、もし連携を取りたいと思ってくださる先生がいらっしゃいましたら、世界中、どこからでもご相談ください(でも有料です・・・笑)。