以前のブログ(不登校児の親は犯罪者?!-超厳しい英国の登校基準- | 児童精神科医 坂野真理のブログ (ameblo.jp)でもお伝えしましたが、英国では子どもがホームスクーリングに切り替えない限り、学校への出席率が低いと罰金が課される法律があります。

 

★不登校への罰金値上がり!

正確には、学校が認めていない欠席Unauthorised Absenceが一定の割合を超えた場合には、カウンシルが保護者に罰金刑を与える法律が英国にはありますが、なんと、この罰金がさらに値上がりするそうです!!

Fines for parents for taking children out of school: What you need to know – The Education Hub (blog.gov.uk)

School absence fines for parents to rise by £20 in England - BBC News

 

基本の罰金:60ポンド→80ポンドに。

支払いが21日間遅れた場合は、さらに倍の160ポンドに!

 

こちらの措置は2024年8月から開始されます。

 

背景としては、コロナ後の出席率がコロナ前のレベルに戻っておらず、夏休みを早めにとるなど、休暇を取りたいという理由で学校を欠席する子どもが多いからだそうです。

 

罰金が課されるようになってからすでに11年が経ち、相変わらずイギリス全土で継続的な欠席(Persistent Absence)になっているお子さんはちっとも減っておらず、すでに罰金は意味がないことも証明されているじゃないか!と腹立たしいですが、行きたくても行けないお子さんもいる中で、登校しづらい子どもを抱える家庭はますます追い詰められていきそうです。

 

上記の政府のリンク先には、「子どもにとっては学校に出席することが、子どもの発達にもメンタルヘルスにも一番良い」と明文化されていて、必ずしも学校という環境が合う子どもばかりではないという視点はまったく感じられません。

 

 

★英国内での不登校の現状

ちなみに、コロナ禍でホームスクーリングに対する敷居が減ったこともあり、英国内のホームスクーリングの子どもは爆発的に増え続けています。英国全土で推計92,000人(2023年秋学期時点)、なんと昨年からの1年間で全国で1万人以上の増加というすごい数字です。

Elective home education, Academic year 2023/24 – Explore education statistics – GOV.UK (explore-education-statistics.service.gov.uk)

England homeschooling surge could become permanent, data suggests | School attendance and absence | The Guardian

 

英国政府の言っていることとと現実はかけ離れていると言わざるを得ない状況です。

 

★英国内の特別支援の現状

もし一般の学校が合わないため、特別支援学校に入ろうとしても、入るのは非常に至難の業で、英国全土でも特別支援学校の待機児童はますます増えているようです。

特別支援学校に入るまでには数年がかりで、それまでに子供も保護者もずっと辛い思いをし続けなければいけません。

 

Hundreds waiting for special school places - BBC News

Hundreds of children with special needs wait a year for support in England | Special educational needs | The Guardian

 

また、英国は新しい特別支援学校が次々と作られています。

日本と異なり、知的障がいはなくても特別支援学校に入れるのは、高機能の発達障がいのお子さんにとっては朗報かもしれませんが、逆に通常の学校からはますます特別支援を要するお子さんへの排他的な雰囲気が広がり、特別支援学校は超薄目なお子さんから超重度なお子さんまでものすごい幅広い特性のお子さんのニーズをカバーしなければならない状況になっていると感じています。

 

先日、とあるイギリス国内の学校さんと日本人のお子さんについて支援会議をさせて頂いた際にも、「日本はあまり特別支援が進んでいないのか」と言われてしまいました。

確かに日本も地域によってかなり差があるとは思いますが、不登校のお子さんには罰を与え、手のかかる児童は次々と特別支援学校に追い出し、InclusionというよりもExclusionの方向性になっているイギリスが良いのかというと、とてもそうは思えないです・・・。