いつもの年なら、2月の展覧会の作品選びが、1年最後のお稽古となる。どこか緊張感があってお稽古の終了とともに安堵の顔で師匠に〆の挨拶をして帰るのだが、
今年は展覧会が中止。
なので、なんとなく気が緩む。
今更、新しい課題に手をつける気にもならず、展覧会用にと書いた数枚の作品だけ持ってお稽古へ。
師匠が1枚を選んだのは、このかな混じり作品。
道元禅師の正法眼蔵、現成公案の巻の一節。
和墨をゆっくり力を入れず磨った墨は師匠にすぐに、わかった。
墨色がいいと。
更に一貫性がありながら、気持ちも筆も走らず、主張し過ぎてない。
それがいいと。
えっ、師匠どうしたの?
それ褒め過ぎやって。
ここ数年ずっとダメ出しされてきた、筆が走り過ぎる。気持ちがというより書かねばという感情がで過ぎる。それを直せ!
この難題に苦心してきた。
けして早書きタイプではない。だから単なる筆の速度を遅くするからって解決はしない。
気持ちが走る、書かねば!が目につく。これは尚更直すのが難しい。
ずっとずっと苦心してきた。
時に、気脈が切れた。まるで生気がない。活字じゃないんだ。上滑りの軽い字だ。
救いようないじゃん!
っていう注意もとんできた。
どうしたらいい?
悩みながら、アレコレ手探りで練習してきた。
そんな苦心をわかってくれたのかな?
勿論、師匠が求めるところに達した訳じゃない。
その証拠に
辛苦畫虎猫不似
辛苦して虎を画くも猫にも似ず
お稽古の最後に、師匠が私にくれた参考手本がコレだもの。
アハハ、私の努力は微々たるモノ。師匠の手本の真似さえ出来ないからな!そう言われたようなもんだわ。
でも、だから努力が無駄って師匠は言わなかった。それはわかってる、更に自惚れず、怠けず、謙虚に 練習しろよ。と言いたいのでしょうね。
本当にねー、一つ飲み込むのに、他人の何倍もかかる不出来な生徒だからねー。よく師匠投げ出さないよ。
今年もご指導ありがとうございます。来年もどうかよろしくお願いします。師匠、お年ですからどうかどうかお体お大事に