私淑/ジュンペロ
1. 半解凍の詩(feat.Hitomi)
2. 暗に退廃(feat. 向日 葵)
3. 諸刃は愉快(feat. KISUI)
4. 愚かな死守(feat. ゆーり)
5. 生熟れの憂い(feat. ANGEL-TAKA)
6. 爽がしい騒音(feat. 春陽)
DOG inThePWOのGt.準々によるソロプロジェクトのデジタルEP。
ハイペースで楽曲の配信を行っているジュンペロ。
4月にアルバムをリリースしたばかりにも関わらず、自身の誕生日である6月20日に早くも新譜が発表されました。
本作の目玉となるのは、なんといってもゲストアーティストでしょう。
準々さんが影響を受けたヴィジュアル系シーンのヴォーカリストを客演に招いた、セルフ誕生日プレゼントとなっています。
集められたのは、Hitomi(ex-Fatima、ex-Moran、ウミユリ、雨や雨 )、向日 葵(彩冷える、168)、KISUI(Phobia)、ゆーり/1号(イロクイ。/Rorschach.inc)、ANGEL-TAKA(Neu:NOIZ、UCHUSENTAI:NOIZ)、春陽(ex-Ove)の6名。
いずれも90年代後半~ゼロ年代を代表するバンドのフロントマンで、準々さんと時期を同じくしてヴィジュアル系を青春としていた層には、たまらないラインナップですよね。
良い意味でゲストに寄せすぎることなく、エッセンスだけ散りばめるバランスが絶妙。
特に、Hitomiさんが歌う「半解凍の詩」やKISUIさんによる「諸刃は愉快」でしょう。
ジュンペロの音楽性と彼らの個性がどう融合するのか、ともすれば博打的だったのですが、「半解凍の詩」は艶やかな歌声に合わせてマニアックな響きになるように工夫され、「諸刃は愉快」ではザクザクと切れ込んで攻撃性を増強。
違和感が出ない範囲内で、しっかりと馴染ませることに成功しています。
春陽さんとのコラボレーションとなる「爽がしい騒音」も、ジュンペロの王道であるというのに、どういうわけか春陽さんらしさを感じるのが面白いところで、1曲1曲に意味を持たせた采配なのですよ。
また、向日 葵さんの「暗に退廃」、ANGEL-TAKAさんの「生熟れの憂い」を聴くと、確かに影響が強く出ているな、と。
どこかメルヘン色があって、ポップさの中に1滴だけ毒を加えるようなサウンドの渦。
彩冷えるほどギリギリを狙う譜割りがあるわけでも、Neu:NOIZのようにライブの熱量をそのままパッケージしているわけではありませんが、ずっと一緒にやっていると錯覚しそうなハマり具合です。
ゆーりさんの「愚かな死守」は、そこにRorschach.incで培ったハードさが加わったハイブリッド。
懐かしさだけで終わらせない、新機軸の提示もばっちりでした。
直接的にDOG inThePWOの音楽性に繋がっているバンドもあれば、このバンドがルーツになっていたのかと改めて気付かされるバンドもあり。
ひとつ言えるのは、このメンツに納得しない当時のヴィジュアル系リスナーはいないだろう、ということ。
よくぞ集めてくれた、という納得感に包まれた1枚です。