傷痕/MISSA
1. 傷痕
新潟を拠点に活動していたMISSAが、2001年に100本限定で配布していたCT。
シーンの中だけで見渡しても、とても多いMISSAというバンド名。
名古屋のMISSA、九州の弥叉、関東の魅裟～MISSA～、それが再始動したミサ...
地域ごとに同名のバンドが存在し、表記が少しずつ違うというのが面白いところ。
正式表記としては後に結成される名古屋のMISSAと被ることになりますが、新潟のMISSAにも、"魅鎖"という漢字が振られていました。
彼らが残した唯一の音源が、こちらのデモテープ。
収録された「傷痕」は、スピーディかつソリッドな演奏が特徴的で、ビートロック直系のダークバンドとしては王道ですね。
言ってしまえば、LUNA SEAの「ROSIER」からの影響を、当時のインディーズシーンの文脈でアウトプットした初期衝動全開のナンバー。
イントロのギターなんかは、もう少し工夫しても良いのでは、と思ってしまうほどのド直球っぷり。
艶やかさを重視するヴォーカリゼーションやメロディの乗せ方に90年代後半～ゼロ年代初頭のダークバンドの名残が見て取れますが、シャウトパートや耽美的なギミックは削いでいるなど、ガラパゴス的に独自の進化を遂げているのが面白いなと。
音質はお世辞にも良いとは言えず、歌はだいぶ埋もれてしまっています。
常につきまとうサラサラとしたノイズも、カセットテープを聴き慣れていないリスナーにはストレスに感じるのでしょう。
ただし、骨太なアレンジや、粗削りな演奏との相性は必ずしも悪くない。
はじめてスタジオで音を合わせたときのパッションを、そのままパッケージしたようなノスタルジー。
この辺りは、リアルタイムでカセットテープに録音したことがある世代でないと共感できないにしても、刺さる人には刺さるはず。
もちろん、音質の良いCDでも聴きたかった、というのは事実として。
残念ながら、結成から１年も経たず短命で解散。
オリジナリティを見出す前に活動を終えてしまったのが惜しまれます。