「1054055」「379204027」 / 断頭台のメロディー | 安眠妨害水族館

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1054055/断頭台のメロディー

 

1. Chain Smokin'

2. AI Fusion

3. Stop Me

4. Angel

5. Busin' Around

6. Party 'Til Dawn

 

379204027/断頭台のメロディー

 

1. Delight

2. Stop Me

3. AI Fusion

4. Illusion

5. Chain Smokin'

6. You Ain't Alone

 

断頭台のメロディーによる、2枚同時リリースとなる1stアルバム。

 

Vo.YUTAKA(Kneuklid Romance)、Gt.小笠原健一(Kneuklid Romance)、Gt.Lit(DAMILA、Ba.Ryo-Ta(Omega Dripp/湾岸の羊)、Dr.HIME(ex-YOUTHQUAKE / ROSENFELD)というメンバーにて結成された断頭台のメロディー。

活動方針の違いで、Litさんの離脱が早くも決定してしまいましたが、十分に豪華なメンバー構成であると言って良いでしょう。

 

YUTAKAさんが健一さんに声をかけたことが、新バンド結成のきっかけになったとのこと。

そうなると、Kneuklid Romanceの流れを汲んでいると思ってしまうのですが、出来上がったアルバムを耳にすれば、そのギャップに驚かされるのでは。

バンド名の"断頭台"には、首が落ちるまでヘドバンを求める意図が込められており、音像はラウドでスピーディー。

リードトラックとなった「Chain Smokin'」はメロディアスな要素が押し出されていましたが、それはある種のブラフと言え、他の楽曲はすべて3分を切る、勢い重視のアルバムに仕上がっていました。

ヘヴィネスをゴリゴリねじ込むような凶悪性は、囚人服を基調としたヴィジュアルイメージとも重なっていますね。

 

もっとも、では「Chain Smokin'」が彼らにとって邪道なのかというと、それはそれで正解ではありません。

YUTAKAさんの武器は、ラウドナンバーの前提となるデスヴォイスやシャウトに留まらず、「Angel」や「Delight」に見られるポップなメロディーや、「Busin' Around」に漂っている透明感や清涼感といった、クリーントーンを含めた幅広い歌唱スタイルでこそ活きる変幻自在な歌声。

バンドとして、そこを引き立てるためのアレンジの整理はとても丁寧に行っている印象で、攻撃性の高いサウンドと、キャッチーですらあるメロディーとのハイブリッドを目指した先が「Chain Smokin'」に集約されているというのも、あながち間違いではないのですよ。

この楽曲がトップに据えられた一般流通盤「1054055」と、ラスト前のアクセントに置かれた一部店舗・会場限定盤「379204027」を聴き比べると、なんだか耳に入ってくる印象も変わってくる。

そんな点も踏まえて、確かに重要な楽曲なのです。

 

片方だけでは、少し物足りない。

1曲あたりの収録時間が短いこともあって、あっという間に聴き終わってしまう。

では、もう1周を、となったときに、味変が出来るような兄弟的な作品があるというのが巧みでした。

3曲が差し替えられて、新鮮味を与えているというだけでなく、重なっている3曲も順番が入れ替えられたことで、また違った表情が垣間見える。

こういう音楽の聴かせ方もあるのか、と素直に感心してしまいます。

 

2枚同時リリースの1stアルバム。

初回盤と通常盤や、Type AとType Bの違いではなく、あえてタイトルを分けている意味も考えてみると奥が深く、あらゆる角度から攻めの姿勢がうかがえました。