Spatial Art/L'avier Matis
1.
2. Dead leaves
3. INNOCENCE
4. 天空
5. Stay in Dream
6.
仙台を拠点に活動していたL'avier Matisが2000年にリリースしたCD。
ex-餞ハナむケ。、ex-KuRtの癒マさんが、Jun名義で在籍。
表記上は4曲入りのシングルですが、1曲目にSE、6曲目にシークレットラックを収録。
実質的にはミニアルバムに近い内容となっています。
白を基調とした衣装からもわかるとおり、透明感のあるギターと、幻想的なメロディを武器としていた白系サウンド。
テクニカルな変拍子やテンポチェンジも取り入れつつ、ポップネスも追及する、初期ラルクをソフトヴィジュアル系の解釈で切り取ったような音楽性で、世界観と聴きやすさの良いところ取りを狙っていた印象です。
彼らの王道を体現したような「Dead leaves」は、様式美的な演奏と、憂いを帯びた歌謡メロディとのバランスが絶妙。
サビには華やかさもあって、リードトラックとしての役割をしっかりと果たしていました。
「INNOCENCE」は、ソリッドなギターで切り刻むビートロック。
クラシカルなギミックをかけ合わせたり、ファルセットを多用して浮遊感をもたらしたりと白系要素を滲ませつつも、ダークな一面を見せていきます。
逆に「天空」は、純白と言えるほどにファンタジー性が前面に出てきた雰囲気モノ。
7分半を超える長尺ナンバーであり、気が付けば真っ白に浄化される感覚ですよ。
正反対の楽曲を並べて両極端を表現しているのが、意図的であれば構成力を褒めたいところ。
本編ラストの「Stay in Dream」は、正統派のポップロックですね。
わかりやすいビートと、キャッチーなメロディは、白系とソフトヴィジュアル系の垣根が曖昧だった時代だからこそ両立したのかもしれません。
そして、シークレットトラックは「出逢い」ということで良いのでしょうか。
ピアノとヴォーカルのみで構成されていたバラードで、しっとりと締めくくられるのですが、こうしてメロディだけが抽出させると、餞ハナむケ。に通じる道を確かに感じられるから面白い。
様式美白系サウンドに、ポップなビートロック、それに加えて、ノスタルジックな哀愁メロディまで堪能できるのは贅沢すぎます。
ファルセットでの音程がもっと安定すれば、といった課題はあるものの、楽曲の質の面でも、ボリュームの面でも満足度高し。
地方バンドだからといってスルーしてしまうのがもったいない1枚です。