NOX:LUX / NIGHTMARE | 安眠妨害水族館

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NOX:LUX/NIGHTMARE

 

1. Night Light

2. Re:Do

3. cry for. the moon

4. Last note

5. RAD DREAM

6. 極上脳震煉獄・弐式

7. Deadass

8. レゴリスの墓標

9. ink

10. ピラニア

11. シュレーディンガーナイフ

12. Sinners

13. Day By Day

14. Darkness Before Dawn -NOX:LUX ver.-

 

 

前作「CARPE DIEM」以来、実に7年ぶり。

アルバム作品としては久しぶりとなる、NIGHTMAREの11thアルバムです。

 

活動休止期間を挟んで、満を持して制作されたフルアルバム。

どうしたって気負ってしまう部分や、積み重ねてきたものが分断されてしまう部分もあっただろうに、良い意味でテンションを抑えて、彼ららしさをスタイリッシュにまとめてきたと言えるでしょう。

NIGHTMAREの良さは忘れず、だけど、時計の針を戻すのもナンセンス。

7年の時間が経過したのだから、7年分進化したNIGHTMAREを見せよう、というスタンスがはっきりしていて、2022年における王道ヴィジュアル系バンドの在り方を再定義したような作品に仕上がっているのです。

 

退廃的なミディアムナンバー「Night Light」で雰囲気を作ってスタートすると、リードトラックである「Re:Do」、シングル「cry for. the moon」を続ける、絶対に外せない流れ。

入口で掴めば勝ったも同然、といった節もありますが、そこから先もしっかり妥協せずに作り込んでいるのが彼らです。

現代ロックのトレンドを、源流的なヴィジュアル系サウンドに還元するアプローチを継続し、マイナーコードで疾走する様式美の中に、お洒落でクールなフレーズを滑り込ませるアップデートされたNIGHTMAREを展開。

新たな定番シリーズとなった「極上脳震煉獄」の新作や、ソリッドな切れ味が特徴的な「ピラニア」など、適度に熱量を生み出しては、美しい歌モノあり、ダンサブルなアッパーチューンあり。

個々の楽曲センスも然ることながら、大局的に見た際のバランスも完璧なのですよね。

14曲のボリュームを中だるみさせずに聴かせる構成力は、まったくブランクを感じさせません。

 

また、Vo.YOMIさんの表現力が、更に高まっています。

前作では、歌唱力の安定の結果、仙台貨物とオーバーラップして聞こえてしまう副作用が。

格好良い楽曲が、どうもコミカルに聞こえてしまうきらいがあったのですが、ナイーヴな表情や、激しい感情の昂りなど、ヴィジュアル系的表現に磨きをかけたことで、再びの差異化に繋がっていました。

 

なお、CDのみのType-Bにが、「Deadass」が追加収録。

どこかエキゾチックなイメージを与える妖艶な楽曲で、一見相反する、浮遊感を与える鍵盤と、ずっしりと響く重低音が、本作のバラエティ性を広げるピースとして上手く作用していたのでは。

先行シングル「Sinners」でスパートをかけて、しんみりとした余韻を与えるショートチューン「Day By Day」、壮大なパワーバラード「Darkness Before Dawn」と続けて締めくくるラストも、求められているものを十分にわかっているな、といったところ。

イノセンスな暴れ曲が恋しい気持ちもないわけではないものの、大人になった現在の彼らが奏でるべき音楽であるな、と納得できてしまうのですよ。

 

ど真ん中を聴きたければNIGHTMAREを。

待たされた分、質の高い作品を届けてくれたな、と溜息が漏れる1枚。

 

<過去のNIGHTMARE(ナイトメア)に関するレビュー>

CARPE DIEM

TO BE OR NOT TO BE
NIGHTMARE
majestical parade

犯行期
懺悔