NO VISUAL, NO LIFE~GIANT KILLING~/V.A.
発売日特別企画、「NO VISUAL, NO LIFE~GIANT KILLING~」を勝手に宣伝するコーナー。
「DISC-2」を紹介する後編でございます。
視聴動画もあるので、気になった人は是非とも手に取ってもらえれば。
[DISC-2]
1. GRAVITY/THE HUGE
哲学的な台詞からスタートする雄々しいナンバー。
荒々しく攻め立てる硬派なサウンドは、スタートダッシュにふさわしいですね。
がなり立てるようなヴォーカルスタイルが、隙のないアレンジに生々しさを与えて、ひとつ上の次元に押し上げています。
THE HUGEは、VISUAL SHOCKおよび音楽フリークであるthyeleさんのソロプロジェクトとなりますが、この楽曲については、作曲・編曲にも関わっているゲストギタリストにも注目せざるを得ないかと。
シーンを知り尽くしたビッグネーム、攻めを貫くギターリフにも痺れました。
2. 薔薇色哀歌/アスラン
即ち性。や、Deborahのギタリストとしても活動中のアスランによるソロワークス。
歌謡曲調の楽曲に重なるのは、アスランさんの艶やかな歌声。
レトロな香りを漂わせながら、なんとも耽美なナンバーに仕上がっていました。
淡々と進行しているように見せて、徐々に盛り上がっていく構成は、愛好家も多いはず。
間奏のギターソロなどに、ギタリストとしての矜持も見出せるのも聴きどころでしょう。
3. Lunacy/GARAGELAND
2007年から2012年に関西を拠点に活動していたメロディックパンクバンド、GARAGELAND。
メロコアシーンからの殴り込みになりますが、ヴィジュアル系を通ってきたメンバーも多いとのこと。
エッセンスとして、ヴィジュアル系の血が流れ込んでいるというのは、耳にすれば理解できるのでは。
男女ツインヴォーカル編成で、パンキッシュに疾走する音楽性は、素直にメロディックパンクとして聴くこともできますし、キメの多い展開、神秘的なアルペジオとザクザク切れ込むカッティングの対比、インパクト重視のギターソロなど、影響を探しながら聴くことで、もう一度楽しめる二度おいしい楽曲になっていました。
「Lunacy」というタイトルにも、リスペクトを感じます。
4. White Night/Re:7th-MOON
DISC-2は、ヴィジュアル系というジャンルの懐の深さを表現しているように思える。
テクノポップ、エレクトロポップを軸に活動するRe:7th-MOONも、"ヴィジュアル系"と聞いて思い浮かべる音楽性とはかけ離れているのでしょう。
しかしながら、彼らの「White Night」を聴いて、"ヴィジュアル系"との親和性の高さを感じるリスナーは必ずいるはずで、それがこのシーンの面白いところだよな、と。
ダンサブルなリズムに、シンセを多用したポップ感、淡々としたヴォーカリゼーションを組み合わせることで、最先端と懐かしさを同時に味わうような感覚に。
じわじわと浸透していく、気が付いたら癖になっている1曲です。
5. 巡神-Megami-/人外商店 from 巡神蓮
大阪に店舗を構える人外商店の公式広報である、Vtuber/Vsinger・巡神蓮。
ある種のセルフタイトルと言える「巡神-Megami-」という楽曲が、キラーチューンでないはずがありませんよね。
作曲およびギタリストとして、Affective Synergyの凛-Lin-さんを迎えた、スペシャルユニット編成。
凛-Lin-さんらしい耽美かつハードなサウンドに仕上がっており、華やかな女声ヴォーカルが重なることで、どこかオリエンタルな世界観まで構築されているような。
アニソンとしても機能しそうなキャッチーさもあって、個性の強さととっつきやすさを両立。
何度でも聴きたくなります。
6. 書架の翳/中村椋
ギターとレーザーハープとブラックライトを操る非自覚性ヴィジュアル系シンガーソングライター、中村椋。
収録された「書架の翳」は、ミニアルバム「血緑」のボーナストラックとしてリミックス版が先行公開されていた楽曲の完全版。
叙情的なメロディと、ドラマティックな展開がたまらない。
アングラテイストを貫きつつ、終盤に疾走して盛り上げる構成も効いていますね。
細やかなアレンジワークにこだわりを見つけていく聴き方も楽しいのでは。
曖ノ音、あめふらし等で活動中の叭紅さんがゲスト参加したギターソロにも注目です。
7. Lost word/新橋朱里
ゼロ年代後半にシーンで活躍していたギタリスト。
新橋朱里名義でのCD音源は初となるのかな。
浮上のきっかけとなった「Lost word」は、メロディアスに駆け抜ける王道中の王道。
従前よりコラボレーションを行っていたゲストヴォーカリストを迎えての生歌となるのですが、この歌声もど真ん中。
期待していたものが、寸分違わずに届けられたといったところで、これが響かないV系リスナーなんていないのでは。
こだわりにこだわったサウンドワークも然ることながら、それ以上に詰め込まれたヴィジュアル系へのパッションを感じてほしい1曲。
8. 世界が『 』をなかった事にした/Stardust One
Star Mine Music所属のヴォーカリストによるユニット、Stardust One。
Shizuki、獣兵衛、Yuki、リアルという面々で、メッセージ性の高いナンバーを歌い上げます。
ソロでも参加しているShizukiさんについては、DISC-1とDISC-2、両方で歌っていることになりますね。
歌声の違いや、ハーモニーやユニゾンといったヴォーカルユニットならではのギミックは、やはり新鮮。
バンドサウンドをベースにしたサウンドも、好きな音楽へのリスペクトを感じる部分であり、シーンへの愛着と可能性を同時に示していました。
9. 同じ空の下/咲花-サカナ。-
わたくし、魚がとれたの音楽プロジェクトとなります。
Drive at your Brainの可憐くんがゲストギタリスト、アレンジャーとして参加。
楽曲の解説などは、noteに書いてみたので、こちらをご参照ください。
10. コトノネ/HUMA
コスプレイヤーやデザイナーなど、マルチに活動しているex-f.e.sのVo.HUMA。
楽曲制作についても継続しており、さすが、刺さる楽曲を届けてくるな、と。
ダークでミステリアスなサウンドに、艶やかで癖になる歌声。
"かごめかごめ"をモチーフに、和の不気味さを煽るパートがあったかと思えば、激しさに触れたり、歌モノ調に展開したりと、構成も凝られています。
同じフレーズでも場面ごとに表情が変わっていくのが興味深い、充実感に満たされるナンバーでした。
11. Hello World/CHRONOLYZE LAB
2018年より不定期に活動している、Vo&Gt.HEELOによるソロプロジェクト。
1曲だけで全貌は見えてないのでしょうが、メロディセンスの良さは十分に伝わってくるでしょう。
繊細なタッチで描く水彩画のように淡く切なく駆け抜けていく軽快なサウンドに、溶け込んでいく甘いヴォーカリゼーション。
何回でも聴けてしまう自然体なスタイルが気持ち良いですね。
同一人物とは思えないほどに多彩な音楽性を武器にしているとのことで、そうなると他の楽曲も気になってきますよ。
12. 良いホームラン/色々な十字架(SPECIAL GUEST)
大トリを務めるのは、スペシャルゲストとして参加する色々な十字架。
ワンマンを控えて、注目を集める彼らにとって初のCD音源は、配信限定でリリースされていた「良いホームラン」。
かなり耽美な音楽性に、脈絡がないナンセンスな歌詞というインパクトの大きさで、賛否両論巻き起こしつつもすっかり市民権を得てしまいました。
もはや説明要らず。
彼ら以上に本作にふさわしいゲストはあり得なかったと言えるでしょう。
格好良いサウンドを無駄遣いして、これからもホームランを量産していってほしいですね。
エイプリルフールで誕生したプロジェクトではじまり、エイプリルフールで誕生したバンドで締める、嘘のような24曲。
1曲あたり100円を割る、2,000円という価格も嘘みたい。
ご購入の検討は、ぜひとも特典が残っているうちに。