フラクタル/the Muzzle
1. 鬼宴
2. Nancy is MAD MOTHER
3. Dual Factor
4. エタノール
5. the Cause
6. 蟲ノ翅
7. White of Silence
前作に続き、完全受注生産でのリリースとなったthe Muzzleの2ndアルバム。
ex-グリーヴァのVo. 狂鬼-kyouki-さんとGt.碌-Roku-さんによって、2019年に結成。
本作では、更にGt.陽-haru-さんがゲストミュージシャンとして参加しており、当時らしさを前面に押し出した印象ですね。
「Nancy is MAD MOTHER」、「エタノール」は、陽-haru-さんが作曲も担当。
なんなら、購入特典についてもがっつり参加しており、本作限定での正式メンバーといった雰囲気を出していました。
オリエンタルなサウンドを展開するショートチューン「鬼宴」で幕を開けると、ツタツタリズムとともにハードに駆け抜ける「Nancy is MAD MOTHER」で加速度を増して。
この時点で、コテコテ感強めのスタートを切ったといったところなのですが、続く「Dual Factor」は、碌-Roku-さんがNICOLASに提供した「MURDER IMPULSE」のセルフカヴァー。
メロディや歌詞は書き換えられているも、バキバキの重低音でなぎ倒す攻撃性は変わらず、早くも盛り上がりは最高潮といったところでしょう。
古き良きコテコテ系を彷彿とさせながら、アルバムを組み立てていく戦略性の高さがうかがえます。
折り返しとなる「エタノール」は、不穏なデジタルサウンドを散りばめて、癖のあるダンスロック。
これが入ることで、王道的に疾走するメロディアスナンバー「the Cause」の開放感を高めており、リスタートにはぴったりのアクセントとなっています。
メリハリをつけて白と黒、光と闇を行き来する「蟲ノ翅を噛ませると、ラストは「White of Silence」。
これがまた、想像していた以上に白系的なアプローチをとっており、歌モノも武器であることを強烈にアピール。
グリーヴァ時代の名残を意図的にまぶしていくからこそ、成長を感じずにはいられないのですよ。
全体を通して、前半が黒、後半が白という大きな枠組みを作ろうとしていたのかな。
過去を引き連れて、新しいものに向かうスタンスとも合致。
衝動性の1stから、熟成の2ndへ。
レベルアップをうかがわせる1枚です。
<過去のthe Muzzleに関するレビュー>