Fin. / Ti+Dee | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Fin./Ti+Dee

 

1. Don't For get Our Romance

2. Fin(夜を越えて…)

3. ふりむかず歩いて

4. 眠りたいの…

5. キリエ-kyrie-

6. 刻意の華

7. マドリガル

 

1994年にリリースされたTi+Deeの1stアルバム。

 

名古屋を拠点に活動していた彼ら。

Orphee、Merry Go Round、Smellsと渡り歩くMAXXさんがベーシストとして在籍しています。

とはいえ、彼らの音楽性は、現在"名古屋系"と聞いて連想するであろうサウンドとは、だいぶ異なっていると言えるでしょう。

西洋的なクラシック音楽と、歌謡曲の融合。

要するに、MALICE MIZERが確立するクラシカルな方向に耽美性を突き詰めるアプローチを、ほぼ同時期に試みていたのです。

 

Vo.MIKIさんのハスキーな歌声は、今聴くと音楽性とマッチしていない気もしてしまいますが、彼らが活動していたのは耽美系の黎明期。

オペラティックなスタイルが定着する前であることを踏まえれば、当時のインディーズのV系バンドとしては正統派なスタイルでもあるわけで、そこに面白さを感じたいところです。

耽美系ど真ん中の表題曲、「Fin(夜を越えて…)」は、その普遍性に驚かされるし、「ふりむかず歩いて」のように歌謡曲に寄せたスタイルも新鮮。

「眠りたいの…」や「キリエ-kyrie-」は、クラシカル+ヴィジュアル系の解釈が今と違う部分もあって、いずれも興味深いのですよ。

 

90年代の名古屋における、耽美系の系譜。

最後に配置された「マドリガル」を聴けば、現代に繋がる部分も確かに見出せるはず。

音質的には当時のクオリティなので、ある程度目をつぶる必要はあるのですが、史料的価値も含めて、耳にしておきたい1枚です。