MODS/平成維新
1. 8mg
2. 破片
3. Mrs. Android
4. クロウズ
5. Plum
6. good morning HUMAN
2009年に3,000枚限定でリリースされた平成維新の1stミニアルバム。
TYPE Aにはライブ映像を収録したDVDが付属、TYPE Bにはボーナストラックとして「good morning HUMAN」が追加収録されています。
リリース当時は、UNDER CODE PRODUCTIONに所属していた彼ら。
2010年、Vo.拓さんが解散を前に若くして亡くなったというニュースは、シーンに大きな衝撃を与えましたね。
Gt.YUKKIEさん、Dr.ライさんは、N@Hを経て、ギガマウスに活動の場を移しています。
コテコテ系の老舗であるUNDER CODE PRODUCTIONにおいて、その若さを武器に、フリースタイルなサウンドにチャレンジしていた印象。
激しく、速く、ダークに、という初期衝動のセオリーを一切無視したような音楽性で、アレンジはお洒落だし、ミディアムテンポの楽曲が中心だし、アンニュイなニュアンスは残すものの、時折光が見える世界観。
邦ロックにすり寄っていくイチゼロ年代後期に普及したスタイルを先取りしていたとも言え、先入観がないからこそ、シーンの中でオリジナリティを発揮することができたのでしょう。
ダウナーな空気を纏ったミディアムチューン「8mg」でスタートすれば、メロディアスな要素を強めるものの複雑なリズムにより大人びても見える「破片」、同期のシンセが切なく彩りを添える歌モノ「Mrs. Android」と、メロディラインをキャッチーに仕上げて聴きやすさを担保しつつ、マイペースに走り出すのが彼ららしい。
前半戦に、王道的な疾走系ナンバーであったり、激しさに特化したハードチューンで勢いを付けるのがお約束だし、リスナーもそれを期待してしまう節はあるのだけれど、意外性で裏切られ続けるも、提示された楽曲が格好良いから文句は言えない、というなかなか得難い感覚を味わうことが出来たのは、収穫と捉えても問題ないはず。
なんだこれ、格好良いぞ、と思わず溜め息が漏れました。
相変わらずテンポはそこまで速くないのだが、高揚感があって盛り上がるのは「クロウズ」。
本編のピークを担う楽曲であり、ロック色が色濃く出ていてハードボイルドな風格も。
徹底してここまで好き勝手な音楽性をやりきってくるのだから、彼ら、胆力がありますよ。
「Plum」は、実質的にはインストナンバーということになるのかな。
一応歌詞も掲載されていますが、中盤にシャウトが入る以外は、ぼそぼそと呟いている程度。
クロージングのためと割り切った構成が、じわじわと癖になってきます。
最後に、ボーナストラックである「good morning HUMAN」。
ダンサブルなリズムの佳曲で、これが個人的には大当たり。
全体的に神経質で繊細なイメージを与えている一方で、印象的な同期の使い方によって、ドラマティックなアレンジに仕上がっているので、メリハリはしっかり感じるのだよな。
ミクスチャーとの親和性を高めて、垢抜けたロックを追求。
2008年から2010年までの短い活動期間の中で、残した作品は必ずしも多いわけではありませんが、耳にしていて損はない1枚です。