百合十字の覚醒 / 百合十字団 | 安眠妨害水族館

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百合十字の覚醒/百合十字団

 

1. パンドラの信書

2. 二匹の魚は交互に廻る

3. ピュエラ

 

Raphaelのギタリスト、華月さんが生前に準備していたサイドプロジェクトのシングル。

 

Vo.Chris Dark Shneider、Ba.Kurt Burton、Gt.Maskという3人編成。

Chris Dark Shneiderは華月さん、Kurt Burtonはex-pleurのクルトさんの別名義で、華月さんは全作詞・作曲を担当していました。

本作は、華月さんの訃報を受けて、残された楽曲を形にする目的で2001年にリリースされたもの。

ヴォーカルレスのインスト作品となっています。

 

未完成だからなのか、もともとそれを狙ってのドラムレス編成なのか、リズムにはデジタル感あり。

無機質で、インダストリアルな雰囲気を醸成しています。

一方で、荘厳なシンセやクラシカルなギターが有機的でメタリックなテイストを打ち出しており、華月さんのルーツもがっつり見て取れる。

この辺りの上モノは、本来はヴォーカルラインとなるはずだった部分の代替にもなっているのでしょうか。

3曲とも、激しさが押し出されているので、メジャー進出後、歌モノ要素が強まっていたRaphaelとは別の切り口でのアウトプットしたかったのだろう、と推測できますね。

 

Da'vidノ使徒:aLのVo.ピエトロさんとの親交が深かったことでも知られていた華月さんですが、サウンド的には、まさにRaphael meets Da'vidノ使徒:aLといったところ。

ダークとメルヘンが融合した音楽性に、激しいアグレッションが付加されており、ここに華月さんのメロディが重ねられたのだろうな、と想像するに付け、本当に残念で仕方ありません。

打ち込みのクオリティなどについてもチープさが目立ってしまっていることも踏まえると、完成版が聴きたかった、に尽きる1枚。