掃き溜めのメロディ/ロマン急行
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掃き溜めのメロディ
1,500円
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1. 掃き溜めのメロディ
2. ねえダーリン
3. サンセットビター
ex-シビレバシルのVo.和泉 隆宏、SEX-ANDROIDのGt.TøRU、ex-NoGoDのBa.華凛、VERY BERRY、ex-ジュリィーのDr.豪というメンバーで結成されたロマン急行。
本作は、流通盤としては初となるシングルです。
オールスター感のある面子で、話題性は十分。
気になるのは音楽性ですが、ある種、期待どおりといったところでしょう。
1曲目、3曲目はTøRUさんが作曲。
至るところに、SEX-ANDROIDの面影が感じられるのですよ。
「掃き溜めのメロディ」は、ギターのアルペジオとボーカルのみでのサビからスタート。
しっとりと歌い切ると、一転して性急なリズムでパンキッシュに仕立てたイントロが、改めて始まっていきます。
このわちゃわちゃしたアンサンブルや、サビ前のギターフレーズなど、TøRU節を感じずにはいられないのですよね。
率直な印象として、サビの歌メロが西城秀樹の「走れ正直者」なのですが、ある意味、それすらレトロ感のあるメロディをパンクのサウンドに乗せるというTøRU曲の王道感を象徴している気さえしてくる。
リズムの安定感も抜群なのですが、あえてバランスを崩そうと勢いをつけているようにも見えて、ベテランらしい駆け引きも楽しめました。
掴みとしては、これ以上ない仕上がりだったのでは。
続く「ねえダーリン」は、華凛さんが作曲を担当。
ブリブリとしたベースが高揚感を高めていく、ダンサブルなナンバーです。
演奏において、テクニカルな一面を押し出しており、各パートのフレーズを拾っていくと発見に次ぐ発見があって面白い。
そのうえでキャッチーさも求めていく佳曲なのですが、肝となっているのは、和泉さんのボーカルなのかと。
メロディそのものはシンプルなだけに、ともすれば単調になってしまいがち。
ドラマティックに聴かせてくれるのは、哀愁をたっぷり込めて歌い上げられるハスキーな歌声によるところが大きいのです。
アクセントとしても機能しながら、レトロ感という統一の軸が通してあるのも好印象だったな。
ラストの「サンセットビター」は、切なさに振り切った歌謡パンク。
ジャジーなギターリフに、疾走感のあるドラム。
こちらもメロディはシンプルなのだけれど、その歯切れの良さが余韻を残します。
もしかすると、他の2曲に比べて、あっさりと流れてしまうところはあるのかも。
ただし、だからこそ喰い足りなさを補うためにリピートしてしまうという効果も生んでいて、次回作に期待しながら今作を振り返ってみようと何度も聴き直したリスナーも少なくないのではなかろうか。
ノスタルジックな味わいがたまりません。
早くも9月にはアルバムのリリースが発表されており、楽しみは尽きそうもない。
現段階では、化学反応よる新たな音楽の創出というよりも、個の強さのぶつかり合いを楽しみながら最大公約数的な音楽性になっているのかな、といったイメージなのですが、曲数の多いアルバムでは、どんな引き出しを見せてくれるのでしょうか。
期待に応えてくれて嬉しい気持ちと、だけど、まだまだ出せるよね、という更なる期待が同時に存在するロマン急行。
その名のとおり、物凄いスピードでシーンを駆け上がっていってほしいものです。