カプセル / Vogus Image | 安眠妨害水族館

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カプセル/Vogus Image

¥1,543
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1. 閉鎖病棟-S-
2. Image Egg
3. 科目衝動

Vogus Imageの1stシングル。
初回限定盤3,000枚を完売させ、ジャケットの異なる2nd Press盤も発表されています。

メジャーデビューの前後では透明感のある雰囲気モノを得意とするバンドに進化していた彼らですが、この頃は初期衝動で突っ走っていた時期。
平均年齢18歳と、若さを売りにシーンに登場しだしたばかりで、激しさを前面に押し出した作品となっています。
振り返ってみると、ここまで攻め気を見せた作品というのも珍しいですな。

「閉鎖病棟-S-」は、Vo.昇歌さんのシャウトからスタートするハードチューン。
キメを多用して、掛け合いのようにシャウトを織り交ぜながら、サビではメロディアスに疾走していくベタっぷり。
ギルトの「neobl...」と被っていると散々言われていましたが、それだけ当時のコテコテ王道路線を奏でていたということなのである。
後期では聴くことができないボーカルスタイルに徹しているという意味でも、新鮮さを感じます。

続く「Image Egg」についても、やはりシャウトを多用。
まだ自分の強みを活かせる歌い方を模索中といったところで、若さ、拙さが目立つ場面も多いのですが、メロディアスになるところで昇歌さんらしいアンニュイな雰囲気も感じ取れるでしょうか。
コーラスワークが少し雑な気がしてしまって、そこは残念。

最後の「科目衝動」は、3曲中、もっとも歌に意識を注いだといったところかな。
疾走感のあるリズムに、気持ちよく重なってくるメロディライン。
サビで勢いを止めてしまっている感があり、その後のシャウトを含めた間奏にも無駄が多いのは事実だけれど、秘めたポテンシャルは確かにあったのだな、と。

伸びしろがあるのがわかるからこその、先物買い的なワクワク感。
ここにオリジナリティがついてくれば、間違いなく化けるぞという期待。
この段階では、よくあるダーク系バンドに過ぎないものの、10代バンドとしてはクオリティも高く、若さ、初々しさがかえって味わい深いのですよ。

洗練されていくのはもっと先。
単体ではおススメしない作品ですが、Vogus Imageにもこんな時代があったのだ、と源流を探る意味合いで楽しむには、これ以上ない1枚です。

<過去のVogus Imageに関するレビュー>
輪廻
絶対零度