不完全な音楽 / Chanty | 安眠妨害水族館

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不完全な音楽[初回限定盤]/Chanty

¥2,700
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1. 【3.0.17】
2. 滅菌、消毒、絆創膏。
3. 今夜未明
4. ねたましい
5. 世界に見捨てられてもきっと音は鳴り止まない

Chantyの1stミニアルバム。
初回限定盤と通常盤とで1曲が差し替えられており、更に曲順も異なるという仕様です。

初回限定盤は、「【3.0.17】」でのスタート。
通常盤には収録されない、差し替え用の1曲をトップバッターに持ってくるというのは珍しいのではなかろうか。
ストレートな疾走ロックで、アルバム「Chantyの世界へようこそ」の1曲目、「犬小屋より愛をこめて」を聴いたときのパッションを今の彼らで再現したような形。
とても気持ちよく走りだします。

続く「滅菌、消毒、絆創膏。」は、激しさが前に出ている一方、どこかナイーヴさを含んでおり、「【3.0.17】」の勢いと、次の「今夜未明」からのダウナー感を繋ぐ役割として効いている。
かといって、単体でインパクトが弱いわけでもなく、しっかりライブ映えもしそうですね。
リコーダーの音色が効果的に使われていて、ハズシも上手いという印象。

変拍子も飛び出し、キメも多い難解な楽曲「今夜未明」、じっとり世界をダークに染めるミディアムナンバー「ねたましい」は、勢い重視の前半に対し、マニアックでテクニカルな世界観重視。
原点的な楽曲にも聴こえるし、新境地であるようにも聴こえる。
アッパーチューンだけが武器ではないことをしっかり示し、アルバム作品としての流れも生み出していますな。

ラストは、唯一初回限定盤と通常盤で収録位置が変わらない「世界に見捨てられてもきっと音は鳴り止まない」。
本作のテーマは、この1曲に集約されていくのでしょう。
再び白さのある疾走ナンバーに帰結しているのですが、途中で展開もあったりして、絶妙な構成になっています。
メッセージ性も強く、口語的な歌詞も耳に残りました。

通常盤では、「無限ループ」が入っているのですが、こちらは未聴。
キラーチューンである「【3.0.17】」なしで戦える自信があるということ。
「ねたましい」、「今夜未明」といったダウナーパートからスタートするので、初回限定盤とはまったく違った聴こえ方になるのだろうな。
差し替えは1曲だけとはいえ、どうしても気になってしまいますよ。

音楽的なバリエーションに富んでいるし、世界観の持っていきかたも様々。
それなのに、Chantyの音楽性、Chantyの世界観というものは、間違いなく存在しているのだよなぁ。
言葉にするのは難しいのだが、とても"らしさ"を感じさせた1枚です。

<過去のChantyに関するレビュー>
Chantyの世界へようこそ