斑 / Develop One's Faculties | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

斑/Develop One's Faculties

¥1,500
Amazon.co.jp

1 .斑
2. 100年前から、こんにちは。
3. この世界が嫌いな人へ

新宿ReNYでのワンマン公演を控えるDevelop One's Faculties。
本作は、間髪入れずに送り込まれた感のある4thシングルです。

3rdシングル「正常とは」の発売から約2ヵ月。
連続リリースと言っても良いであろうタイミングで次の作品をドロップしたのは、おそらく意図的なのでしょう。
「正常とは」で見せたフリーダムなサウンドで、攻撃性を示すアプローチ。
本作では、そのフリースタイル感はそのままに、よりテクニカルに、よりエモーショナルに絞ってきた印象です。

表題曲である「斑」は、きちんとした歌詞が公表されていない、雰囲気で楽しむノリ重視の楽曲。
盤面に散文詩的な文章が記載されているものの、基本的にはニュアンスで歌われているのかな。
このような楽曲に、エモーショナルと呼べるくらいの感情を乗せることが出来るのか。
実際に聴いてみるまでは、それがまったく理解できなかったのですよね。

しかし、どうだろう。
耳にしてみると、確かに感情的に響いてくる。
楽器すべてで喜怒哀楽を表現しているかのように聴こえてくるのである。
ボーカルラインとユニゾンするように奏でられるギターのフレーズも印象的。
演奏技術はさすがといったところで、"ノリ重視"という中に押し込められた工夫の数々を掘り起こしていく楽しみもありそうです。

ストレートに疾走していく「100年前から、こんにちは。」は、パンキッシュなアッパーチューン。
とにかく爽やかで軽やか。
気持ちの良い清涼感を運んでくると、そのまま不思議な世界観を纏った「この世界が嫌いな人へ」に突入。
フワフワしたサウンドにABCの歌を取り込みながら、いつの間にかキャッチーなナンバーへと変貌しているから面白い。
しばきまくりのギターフレーズだけを耳で追ってもワクワクさせられます。

テクニックだけでもリスナーを圧倒。
CDを聴いているだけで"上手いな!"と唸らせられるバンドなんて、このシーンでは稀有ではなかろうか。
そのうえ、メロディの良さ、視点の面白さなど、付加価値がいくつも上乗せされているわけで、これは格好良いぞ、と素直に思えるのですよ。

まだまだ爪を隠していそうな底の見えなさ。
幅は作れど、芯はブレない。
これぞ、そんなDOFの魅力を十二分に伝える作品なのでは。

<過去のDevelop One's Facultiesに関するレビュー>
「正常とは」
reincarnation
フラスコを振ると天秤揺れた