JOKER / iNSOMNiA | 安眠妨害水族館

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JOKER/iNSOMNiA

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1. JOKER
2. Mirage

正統派にして異端。
iNSOMNiAにとって初の全国流通作品となる1stシングルです。

ボーカリストがSuGの、弦楽器隊がNOCTURNAL BLOODLUSTのローディーとしてノウハウを蓄積。
お洒落でポップなサウンドと、本格派ラウドのハイブリッドとなる彼らですが、遂に待望の流通作品がリリースされました。

表題曲となる「JOKER」は、シンフォニックなシンセが鳴り響くハードチューン。
疾走感を伴って駆け抜ける展開と、叙情的なメロディラインはV系シーンの王道といったところなのですが、このシンセやドラマティックな構成により、更にひとつミステリアスな雰囲気を上乗せしている印象です。
クラシカルな間奏から咆哮を重ね、アクセントをつける工夫も見られ、昨今シーン内に飽和している焼き増し再生のような王道感では終わらせていない。
ライブでどのように再現されているのかが気になるナンバーである。

カップリングの「Mirage」は、歌メロについてはポップロック風。
言葉を砕いた歌詞に、"オイ!オイ!"という掛け合いが入るノリには、なんとなくチャラさも感じます。
ただし、そのうえでサウンドが重低音バリバリ。
多弦ギター、多弦ベースを用いて、ずっしりとした音圧を実現しているから面白い。
このギャップをミスマッチととるか、可能性ととるかで評価は変わってくるのかもしれませんが、新人バンドでこのレベルであれば及第点。
様式美に走りがちな音楽ジャンルを大衆層に噛み砕いて伝える役割を担うバンドに育ってくれれば、という期待値のほうが上回るでしょう。

若手ながら、ボーカル、演奏ともにスキルは高く、V系シーンに適応させる空気の作り方もよく知っている。
素材としては、十分すぎるものを持っていますね。
あとは、iNSOMNiAとしての個性をどこに定めるのかをはっきりさせれば、自然と知名度は上がっていきそう。
きっかけとなるインパクトを生み出していきたいところです。

なお、内容とは関係ないのですが、リリース日のクレジットが"16.12.2"となっているのは何故なのだろう。
実際は、2016年7月13日。
12月リリースの作品が置いてあるなんて、先行発売にもほどがあるだろ、と突っ込んでしまった。
もしかして、12月に次の作品をリリース予定で、入れ違いが発生してしまったとかなのかしら。
だとしたら、知ってはいけない情報を知ってしまったようで、なんだかワクワクしますな。

<過去のiNSOMNiAに関するレビュー>
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