浮気なサファイア / FU JI KO | 安眠妨害水族館

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浮気なサファイア/FU JI KO

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1. ゾッコン(^3^)ラブリーガール
2. キスミ-・デインジャラス
3. 欲張リダ。
4. Sayonara Happy Snow
5. 太陽遊園地
6. スキャンダラス GO GO
7. Asia in Confusion
8. ホテル・スウィート・ハイビスカス
9. スターライト・ドリーミング
10. タイムマシン
11. 無重力

2006年に結成され、話題になったFU JI KO。
本作は、彼らが残した唯一のフルアルバムです。

CASCADEのVo.TAMAMIZU、ex-JUDY AND MARYのBa.恩田快人を中心に結成。
その他のメンバーも、音楽プロデューサーのKey.鎌田雅人、ex-FEELのGt.太三、ex-NEED、ex-Pt.の荒木現という、豪華な面々。
このバンドがインディーズで活動していたのだから、驚きですよね。

このバンドにおけるメインコンポーザーは、鎌田さんになるのでしょう。
TAMAMIZUさんが歌っていることもあり、CASCADEのナンセンスポップに近いように思うのだけれど、奇想天外な遊び心が薄れた代わりに、昭和のバブリーな雰囲気を足したような。
言ってしまえば、ギラギラしたイケイケドンドンの感覚。
決して王道ではない路線ながら、TAMAMIZUさんの個性的な歌声にハマるというのは疑いようもなく、このベストマッチを見つけて楽曲を構築するセンスには、さすがのキャリアを感じさせます。

また、これだけの個性的なメンバーが揃えば、作曲者の色も出るというもの。
恩田さんが作曲した「Asia in Confusion」は、半インスト的な楽曲ながら、アヴァンギャルドなパンクチューンに仕上がっていて、初期のJ.A.Mの空気感を思い出しました。
太三さんが作曲した「スターライト・ドリーミング」、「タイムマシン」は、ストレートな歌モノで、ほんのり切なさを漂わせる。
これまでのギラついた感じが嘘のように、終盤にきて浄化させられますよ。

そういう意味では、作曲者ごとに楽曲の方向感がバラバラではあるので、まとまりに欠ける危険性はあるのですが、作曲の割合が鎌田さんに偏ったことで、結果として、メインの軸があり、アクセントとしてそれ以外のアプローチを、というバランスに収まったでしょうか。
本音としては、恩田さんや太三さんの楽曲がもっと聴いてみたかった、と思ってしまうものの、作品としては、これで良かったのかな。

なお、FU JI KOはメンバーの日程調整が難しくなり2017年に解散。
2作目、3作目、とアルバムを制作することができていたら、これらの音楽性が化学反応を起こして次のステージへ…といったところが期待できただけに、単発で終わってしまったのは残念です。
本作が物足りなかったわけではなく、短い時間で、この内容を作り上げたのだからこそ、続きがあってほしかった。
理由には納得せざるを得ないのだけれど、バンド運営の難しさを感じずにはいられません。