Color&Play / Rayflower | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Color&Play(初回限定盤)(DVD付)/Rayflower

¥3,780
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1. Welcome to The Gracious World
2. 彩戯心
3. サバイヴノススメ
4. SILVER BULLET
5. S.O.S ~沈黙のスカーレット~
6. ユースフルハイ
7. U-TOPIA
8. My Dear...
9. Shining GARDEN
10. Soul survivor

2010年に始動したRayflower。
本作は、結成5周年となる2015年にリリースされた1stフルアルバムです。

SOPHIAのKey.都啓一さんを中心に、WaiveのVo.田澤孝介さん、Λucifer、DUSTAR-3のGt.YUKIさん、BULL ZEICHEN 88のBa.IKUOさん、ZIGZO、gibkiy gibkiy gibkiy、THE MADCAP LAUGHSのDr.Sakuraさんという豪華なメンバーで結成。
あまりの豪華さに、当初はアニメタイアップによる企画モノと思い込んでいたのですが、2枚のミニアルバムを含むリリース活動をこなし、現在に至るわけで。
発表済みの楽曲も相応にあるとはいえ、フルレンスでこの贅沢なサウンドに浸れるというのは嬉しいことですよね。

音楽性としては、ソフトヴィジュアル系の延長線上のポップロック。
結成時、アニメソング文化との親和性も意識していた背景もあってか、そのうえでキャッチーさが際立っており、上モノも上手く使われています。
要するに田澤さんの得意分野であり、彼の力強いハイトーンボイスが、とにかく冴える。
個性の強いメンバーが揃った中、まず顔となるボーカルに意識を向かせるということに成功している点で、田澤さんの参加は、これ以上ない配役になっていると言えるでしょう。

そして、やはり驚かされるのは、そのテクニック。
どのパートも、さすがプロフェッショナル!と唸りたくなる見せ場が用意されていて、かといって殺し合うことなく、押すところ、引くところのバランスが良い。
鳥肌モノだったのは、「My Dear...」の間奏ですよ。
美しい旋律を奏でるベースソロから、引き継ぐように盛り上げるギターソロへバトンタッチするコンビネーション。
"ボーカルが目立つ=演奏は地味"ではないのだな、というのが、ここを聴くだけでも理解できるはず。
すっかり聴き惚れてしまいました。

また、全員が作曲できるのも、このバンドの強み。
メインコンポーザーとなると10曲中4曲提供している都さんになるのかもしれませんが、IKUOさんもそれに続く3曲を作曲。
残りのメンバーも1曲書き下ろしており、それでバラエティを広げているのである。

個人的にドキっとしたのは、「S.O.S ~沈黙のスカーレット~」。
なんというか、Sakuraさん在籍時のラルクっぽさが感じられる。
アレンジこそ、デジタルの質感を強めて現代的になっているのですが、アンニュイな空気感と、幻想の中に微睡むかのようなメロディは、あの頃のラルクを思い出さずにはいられないのだ。
演奏の安定感は抜群ですし、これは聴いておくべき1曲かと。

もう少し現代的な邦ロックのセオリーに乗っかってくるかなとも思ったのですが、むしろ、メンバーの過去の経験を共有していくかのようなアプローチ。
その結果、新しくもなく、古臭くもない、普遍的なサウンドでの勝負となったのではなかろうか。

もちろん、それで十分に勝算が出せるのが、このバンドの恐ろしいところ。
ある程度、このメンバーに期待したい音楽は体現していますし、ポップなメロディにコーティングされていながら、素人耳でも凄いことがわかるバカテクの数々…
ここまでくれば、企画モノとは言えるはずがない。
ソフヴィ系好きであれば、まずは聴いて判断してもらいたいものです。

<過去のRayflowerに関するレビュー>
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