TONICK DIZAIN / Far East Dizain | 安眠妨害水族館

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TONICK DIZAIN[初回限定盤]/Far East Dizain

¥3,996
Amazon.co.jp

1. 業 - Karmar -
2. Cry My Name From The Light
3. Memorize
4. The War Went On
5. Blank Space
6. Illest
7. I’m a Human Just Like You
8. 一縷
9. 蜃気楼
10. Super Moon
11. LAST SCENE

ex-DELUHIのGt.Leda、Dr.Sujkに、Vo.Keita、Ba.Яyuを加えて結成したFar East Dizain。
1stシングルを即日完売させた彼らが、早くもフルアルバムをリリースしました。

ジェントやエレクトロ・コアに、日本ならではのヴィジュアル系要素を落とし込む。
"極東のデザイン"
そのバンド名が示す通り、彼らがやりたい音楽は、海外志向のラウドサウンドの中に、あくまで"和"を意識させようとするアプローチだったのです。

やはりまず注目してしまうのは、Ledaさんの卓越したテクニック。
DELUHIの頃には既に完成に近づいていたとも思える彼のギターは、思ったよりも前に出ていなかったなというのが本音ですが、それでも十分に抜群の存在感を示していますな。
やや派手さが控えめなのは、ジェント的なサウンドメイクにこだわったからでしょう。
リズム重視のリフにより重低音を轟かす8弦ギター。
Яyuさんのベースとともに、ラウドなサウンドを、より重厚なものへと導いているのである。

しかしながら、そこに和の要素を加えるのがFar East Dizainとしての個性となるのであろう。
あからさまな和メロを持ってくるわけではないのだが、和音階にこだわって楽曲を作っていたり、ジャンルとしてはある種のタブーであるメロディアスなギターパートを加えてきたり、本格派目線でのセオリーをひっくり返すことで、V系リスナーには耳馴染みが良いものになっているのではないかと。
こういうことを言ってしまうのは申し訳ないのだけれど、正直、ここまでヴィジュアル系をしてくるとは予想していなかった。
良い意味で裏切られた気分です。

リードトラックである「Cry My Name From The Light」は、ジェントサウンド全開の構成。
これによりテクニック重視のリスナーを納得させたあとは、「Memorize」のようなストレートな疾走系ナンバーで王道ファンも唸らせ、彼ら流のエレクトロ・コア、「The War Went On」の段階で、リスナー全員のテンションスイッチを入れる。

個人的には、本格派のメンバーがガチで挑むV系チューン「蜃気楼」がとても好みです。
終盤の盛り上がりを演出。
手広くやりすぎて散漫になってしまいそうなギリギリのタイミングで、ぎゅっと引き締めたといったところかな。

まずは初期衝動を詰め込んだといったところで、まとまりやコンセプト性には欠けている印象。
とはいえ、演奏のクオリティは高いし、楽曲ひとつひとつを見れば粒揃い。
これを、ひとつのベクトルに集約できれば、物凄いパワーが生まれるに違いありません。
この辺りは、高いポテンシャルがあるゆえの伸びしろと捉えておきたい。
Far East Dizainのはじまりを告げる指針となる1枚。