トカゲッチュ / LEZARD | 安眠妨害水族館

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トカゲッチュ (悪い子盤)/LEZARD

¥3,240
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1. DA!!DA!!DA!!
2. 負け猫
3. 脱皮戦隊トカゲンジャー
4. サマーヒーロー
5. 理由
6. 大問題MUSIC
7. ダイスキライ
8. ルゲアテシロコイロノ
9. 片翼
10. デタラメ
11. ウルトラポジティブマン
12. 平成花子

ボーナストラック
1. ラブ+MUSIC
2. カミサマイカサマ
3. べろべろば~
4. テヲクレパンダ
5. ハナサカジンセイ

LEZARDの1stオリジナルアルバム。
"戦隊ヒーロー"風の衣装を身に纏ったアーティスト写真がインパクト大でした。

「サマーヒーロー」のMVや9曲分の振り付け動画等が収録された豪華DVDが付属した「良い子盤」と、ただでさえ2曲多い収録曲に、シングル曲5曲をボーナストラックとして追加した「悪い子盤」の2タイプ同時でのリリース。
本編については全曲が新曲で、それを1か月半の制作期間で仕上げたというのだから驚きである。
バラエティに富んでいるにも関わらず、アルバム全体でひとつの塊として感じられるのは、その凝縮されたスケジュールのおかげだったりするのかも。

1曲目の「DA!!DA!!DA!!」から、相変わらずの高い熱量。
Vo.来夢さんのハイテンションな歌唱は暑苦しいくらいなのだが、ギラギラとした楽曲たちとの相性は抜群ですね。
リードトラックが「サマーヒーロー」というタイトルだから、というわけでもないのだが、ここまで夏が似合うヴィジュアル系バンドも珍しいのでは。

シングルを聴いていた限りでは、彼らの楽曲は、なんとなくアニソン的だと思っていた。
しかしながら、確かに"戦隊モノの主題歌"と言われたほうがしっくりくる。
象徴するのは、まさにそれを狙ったアクセント曲、「脱皮戦隊トカゲンジャー」。
普通のバンドであれば、これこそボーナストラックで使うであろうお遊びテイストが満載なナンバーなのだが、シングルをボーナストラックに回して、これを3曲目という序盤のピークに持ってきてしまうチャレンジャーっぷり。
流れも、クオリティも、全部無視。
だからこそ、"なんでもアリ"を証明した形で、全力で楽しむ音楽を実現しているLEZARDらしいセレクトでした。

歌詞については真面目半分、不真面目半分といったところ。
「大問題MUSIC」のようにメタ的に面白くした楽曲があれば、「片翼」といった大真面目にコテコテ感を狙いにいった楽曲もあり。
「デタラメ」などは打ち込みサウンドが前に出ていて、これまた突っ込みどころが多いダンスチューンに仕上がっています。
"おふざけ"とはまた異なるアプローチを連発し、ありそうでなかったポジティブさ。
キャッチーでポップな「ウルトラポジティブマン」、歌モノ色を強めたミドルチューンである「平成花子」と、締めるところもポイントを知っているな、と。

「悪い子盤」では、シングルがまとめて聴けるところもポイントですよね。
代表曲である「べろべろば~」をはじめとして、存在感がある楽曲が立て続けに押し寄せる。
多少のメリハリをつけてバランスは整えているが、とにかく熱量で押し込んでくる本作において、ここまできたら盛り上がり第一。
何も考えず、アッパーな演奏に身を任せてみても良いのではないでしょうか。

表面的な"カルさ"が上手く使われていて、サウンド面で至る所で感じる"硬派さ"がじわじわ癖になる。
見た目やら歌詞やらでの印象論に惑わされず、音楽の芯に触れてみたときに、彼らの真価がわかるのです。
特に「悪い子盤」は、「良い子盤」に比べて7曲も多いですし、ベストアルバム的な聴き方も出来るのでおススメ。
LEZARDの暑苦しさで、今年の夏を総括してみるのも良いかもしれません。

<過去のLEZARDに関するレビュー>
テヲクレパンダ