DIES N' ROSéS / V.A. | 安眠妨害水族館

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DIES N' ROSéS / V.A.


1. DIES N' ROSéS -dieS ver.-
2. in my head-emmuree ver.-
3. バレリーナ -dieS ver.-
4. DIES N' ROSéS -emmuree ver.-

2月に行われたdieS + emmuree 2man tour 「DIES N' ROSéS」にて販売されたカップリングCD。
それぞれの新曲と、お互いのカヴァー曲の2曲を収録しています。

まずは、dieSによる「DIES N' ROSéS」。
先に解説しておきますが、1曲目と4曲目は同名の楽曲ではありますけれど、それぞれ別のナンバー。
こちらは、"dieS ver."ということで、dieSの荒瀬大さんが作詞作曲を担当しています。

低音を響かせるように淡々と進行していきますが、サビではメロディアスになり、美しく耽美な世界観を演出。
退廃的ながらも官能的。
全体的にダークではあるのですが、白さを纏っているというか、浮かび上がるような幻想的なサウンドがロマンティックに絡みつきます。
実にdieSらしい1曲に仕上がったのではないかと。

「in my head-emmuree ver.-」は、dieSの楽曲をemmureeがカヴァーしたもの。
もともと骨太なアレンジではありますが、よりパンキッシュに、よりシンプルに研ぎ澄ませたようなサウンドメイクになったでしょうか。
emmureeの特徴とも言える、耳をつんざくようなハルカさんのギターはカヴァー曲であっても健在で、力強いTELLさんのドラムが、そこにある種の軽快さを与える。
疾走感を意識したemmureeというのも、なかなか趣深いものですね。

「バレリーナ -dieS ver.-」は、emmureeの楽曲をdieSがカヴァー。
禍々しくも艶めかしく、これまた、面白いアレンジを施してきたな、と。
特に、ボーカルにエフェクトをかけ、ノイジーに加工。
呪詛めいたフレーズとなった間奏が印象に残りました。
こうなることを見越しての選曲であれば、見事の一言。

emmureeによる「DIES N' ROSéS」は、想さんの作詞作曲。
4曲中、もっとも光が見えるバラードとなっており、締めくくりにはふさわしい1曲である。
"dieS ver."では、漆黒の世界の中に差し込む光を感じたのですが、こちらは、眩い光に包み込まれるイメージ。
伸びやかに広がっていきます。
これはこれで、良い"白系"ナンバーですな。

同じタイトルの新曲を同時に発表。
新曲1曲、カヴァー1曲というカップリングCDはそこまで珍しくないものの、この工夫によってぐっと興味深いものになりました。
どちらのバンドもキャリアが長く、貫くべきスタイルが確立されているので、カヴァーをやってもきちんと自分たちの色に染め上げることができるし、新曲ももちろん外さない。
これだけの作品が流通に乗らないのはもったいないのですが、その界隈のリスナーであれば絶対に聴いておきたい1枚でしょう。