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1. 未完成 -un Finished-
2. Silent Night
3. 多重人格
ex-賛美歌のyabukiさんが2001年にリリースした、実質的なソロ作品。
”Futuring”は、"Featuring"の誤用かと思われますが、現在はヨーロッパを拠点に活動しているワールドワイドなyabukiさんのことですから、深い意味があるのかもしれません。
１曲目、２曲目は、編曲にex-賛美歌の倫奈さんが参加。
yabukiさんはバンドやプロジェクトにこだわらずに、自らの楽曲をリリースするタイプのアーティストですので、賛美歌時代には原型があったものと思われます。
「未完成 -un Finished-」は、クラシカルな旋律と、悲恋をテーマにした歌詞。
畳み掛けるように送り込まれるメロディの美しさは、引き込まれるものがあります。
導入部分でのSEによる演出はやや過剰ではありますが、世界観の表現を徹底しているとも受け取れるだろうか。
一方で、サウンドプロダクトがチープであったり、ボーカルの不安定さは相変わらず。
歌詞についても、一か所だけ"貴方に逢うことは多分死ぬまでないと思います"と、突然"ですます調"になるという違和感。
"他人と共に嘲け笑いを合わせてる"の部分では、実際に笑い声を重ねられている工夫が施されているものの、これが世界観にそぐわない下品な感じで、舞台背景を想像するのがかえって難しくなってしまっている気もしますな。
もっとも、今となっては、その"詰めの甘さ"も、yabukiさんらしい味だったりするわけですが。
「Silent Night」は、三拍子で淡々と進行するアクセント的なナンバー。
鐘の音に、ピアノ。
ナルシスティックな語りも入って、とにかく雰囲気を作り出すことに特化したといったところ。
最後の「多重人格」も、語りからスタート。
こちらは、一転してバンドサウンドが強められており、テンションの高いロックナンバーに仕上がっています。
やり慣れていないシャウトのぎこちなさは置いておくとして、こういうアレンジになれば、線の細いボーカルでもサマになるかしら。
メロディに賛美歌のメジャーデビューシングル、「スノーフレイクの夜」と同じフレーズが用いられており、昔ながらのリスナーであればニヤリとしたことだろう。
メロディアスな耽美系ナンバー、雰囲気作りのバラード、激しいロックチューン。
役割がはっきりした３曲が収録されており、シングルとしてのバランスは良いかと。
あとは、もう、yabukiというボーカリストを受け入れられるかどうか。
彼の歌に慣れた状態で聴けば楽しめるのだけれど、耐性がなければ、結局はキツい作品となってしまうのかな。
楽曲そのものが悪くないだけに、評価が難しい一枚です。