神葬 / Divine grace (花神 零夜) | 安眠妨害水族館

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神葬/Divine grace 花神 零夜


1. 緋イ十字架
2. 偽りの理想、不透明な微笑み
3. VANILLA CREAM
4. RAIN OF THE END
5. そして遠い夢は…
6. 懺悔の園で
7. 蒼イ十字架

活動を止めてから実に5年、1年間限定での復活を遂げたDivine grace。
復活にそろえて制作されたミニアルバムです。

この作品、調べてみても位置づけがよくわからない。
Divine graceのオフィシャルサイトにもきちんと掲載されている。
アーティスト写真も、フルメンバー5人分。
リリース名義も、もちろん"Divine grace"である。

では、何がわからないかというか、この作品、実体はDr.花神 零夜さんのソロ作品だということ。
"All part 花神 零夜"とクレジットされているし、残りのメンバーはSpecial Thanks欄に名前があることから、その認識で問題ないはず。
もともと、ライブメンバーと制作メンバーが分かれているスタイルなのか、活動分類をあまり区別していないのか、今回はメンバー集めてレコーディングする時間がなかったのか…
復活後しか知らないので、その辺りの背景が知りたいのですよねぇ。
(ブログに"ソロ5枚目のアルバム"と書いてあるので、discographyに掲載されているのは、全部ソロ作品ということになるのでしょうか。)

さて、内容ですが、Divine graceのライブでお馴染みの曲を新録にて収録した、実質的なベストアルバムとのこと。
インスト「緋イ十字架」と「蒼イ十字架」で挟んだ、歌モノ5曲。
全体的にダークな楽曲が中心ですが、タイプとしては色々取り揃えているといったところ。
激しさよりメロディアス性を重視している印象です。

「偽りの理想、不透明な微笑み」は、低音を這うようなメロディで進行するダークナンバー。
本職ではないだけに、シャウトはやや苦しそうなのですが、サビで開けるところとのギャップ作りに成功しているとは思います。
「VANILLA CREAM」は、オルタナ風の楽曲。
跳ねるリズムと、渋めのフレーズを畳み掛け、大人びた顔を覗かせる一方、掛け合いにより盛り上がるサビが待っているというのも面白い。

歌謡曲色が一気に強まるのは、「RAIN OF THE END」。
ここまでは90年代風のイメージだったのですが、この曲に関しては、00年代風。
哀愁のあるメロディと、サビで疾走してヴィジュアル系っぽさを出して行くアプローチ。
こういう引き出しがあるとは意外でした。
再び90年代風、しかも、白系ド直球という路線できたのは「そして遠い夢は…」。
幻想的なギターフレーズと、浮遊感のある歌メロ。
ファルセットのか細さも含めて、"あの頃"感がたまりません。

ツタツタとスピード感を増す「懺悔の園で」は、代表曲なのかな。
ダークなフレーズで煽っていたかと思えば、サビでは「オーオーオー」系のコーラス。
激しい煽り曲でもあり、大団円的ナンバーでもあるという、とにかく"ラストの曲"の要素を集約したような楽曲ですな。
この曲については、ライブメンバーもコーラスで参加しています。

ベストアルバムだからか、ソロ作品だからかはわかりませんが、ひとつこれといった音楽性があるわけではなく、ヴィジュアル系っぽいあらゆる楽曲を零夜さんのフィルターを通してやってみたというイメージ。
音質や演奏クオリティについては、正直、粗さのほうが目立ってしまうようなレベルですが、このバラエティの広さにも関わらず、全パートをこなしたソロワークスだからこその一貫性は感じられるかな。
本作については、会場限定販売と入手方法は限定的ではありますが、現在、YouTubeで未発表曲を数曲配信していたり、彼らの楽曲に触れることは可能。
さすがにライブに行くとなるとハードルが高いという人は、配信音源から入ってみても良いでしょう。

ちなみに、冥実誠さんが同名のプロジェクトを行っていましたが、それとは関係ないと思われます。
ただし、垢抜けないヴィジュアル、チープなサウンド、実質的にはソロ活動…と、共通項もないわけではないのかも・・・