不実なアンブレラ / Lucifer's underground | 安眠妨害水族館

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不実なアンブレラ/Lucifer's underground


1.不実なアンブレラ
2.リストカットと性行為
3.Meu amor é
4.流転
5.桜 ~for weste child~

AZALEA、サリー、hurtsなどで活躍したヒナさんが在籍するLucifer's underground。
2015年3月に現体制となってリリースとなった1stミニアルバムです。

Gt.真稀さん、Gt.tokiさんは、ex-UNDEAD。
Ba.憂里さん、Dr.亜月さんは、ex-Cu[be]。
ヒナさんと真稀さんは、AZALEA、hurts以来のコンビとなりますね。

ちなみに、作詞はヒナさん、作曲はMASKED RIDER SYSTEMの中西信剛さんが担当。
ex-Eze:quLの玖蘭さんと言えばわかるという人もいるのでは。
ある意味、懐かしいバンド好きにはたまらないラインナップといったところでしょう。

さて、内容ですが、これがまた粒揃い。
表題曲である「不実なアンブレラ」からのスタートということで、これがリードトラックとなるのかと思いますが、ハネたリズムのミドルナンバーで、アングラテイストが全開。
パッと聴いた感じでは、アルバムのアクセントに使われそうな雰囲気で、あまりリード曲らしい華々しさはありません。

しかしながら、何度も聴いていると癖になる。
特に、サビの三連符を使ったメロディにはインパクトがあり、じわじわと侵食されるような味わい。
メンバーのキャリアに裏付けされた深みが、この中毒性を生み出しているのです。
ラストシーンで、ファルセットを使って歌い崩すところもツボ。
ヒナさんの表現力も、心なしかパワーアップした気がするな。

ジャジーなリズムにより、1曲目からの流れを引き継ぐ「リストカットと性行為」、やはりミディアムテンポで淡々としていながらも、情熱的で妖艶な色気を纏う「Meu amor é」、演奏面では重さを意識しつつ、激しいシャウトと不気味なファルセットとの歌い分けで倒錯的なアプローチをとる「流転」と、世界観を大事にした楽曲が並ぶのも、安心感に繋がっている。
どことなく、B-Tあたりからの影響も感じ取れますが、それをダークな名古屋系サウンドに昇華しており、聴きごたえがありました。
ここまで、スピード感のある楽曲は皆無なのだけれど、飽きがこない。
むしろ、あっという間にラストに辿り着いてしまった感覚すらあるのだ。

最後に持ってきた「桜 ~for weste child~」では、シンセを使っておどろおどろしい演出も。
桜の持つ不気味さ、妖しさに注目して構築したような楽曲です。
所謂"桜ソング"らしい美しさや儚さはそこまで要素として強くないのだけれど、本作中唯一、疾走感のあるナンバーに仕上げられており、刹那的なイメージは感じられるかと。

アングラでもあり、王道でもあり。
昔ながらのダークな楽曲を、陳腐化させることなく現代に馴染むよう再構築したような音楽性。
これこそが、彼らの真骨頂なのだろう。
やや曲数的な物足りなさはあるも、じわり、じわりと沁み込み、いつの間にか聴き浸っているLucifer's undergroundのサウンドは、期待以上であったと言うほかありません。