neo classical Ⅱ / Klein Kaiser | 安眠妨害水族館

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neo classical II/Klein Kaiser
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1.GAIA
2.血みどろのヘッドドレス
3.心の最果て
4.煌く表舞台

ex-Da'vidノ使徒:aLのミサと、ex-D≒SIREの橘 舞己を中心に結成されたKlein Kaiser。
本作は、ベースとドラムが揃い、バンド編成となってのCDとなります。
コンセプトである"ネオクラシカル"をタイトルに据えた意欲作。

そのはじまりとなる「GAIA」は、4分以上あるインストナンバー。
とてもメタルテイストが強く、スピーディ&ハード。
疾走するリズムに重ねて、アドリブ風に奏でられるギターのフレーズが聴きどころですね。
せっかく生音になったのに、ドラムの音が軽すぎて、音質はどうにかならなかったのか・・・とは思わないでもないですが、当時のV系バンドのインストとしては、かなり力が入っていました。

いよいよ、歌入りの楽曲としてスタートするのは、Vo.ミサさんが作詞作曲を手がけた「血みどろのヘッドドレス」。
タイトルのインパクトが、何より強烈。
珍しくシャウトも入っているダークチューンです。
サビでは、ミサさんらしいクラシカルなメロディになるのですが、バックの演奏が、バリバリのメタルサウンドなこともあり、彼が在籍した他のバンドとは、印象が違って聴こえる。
実質的なリードトラックとしては、納得感のある内容ですな。

続く、「心の最果て」は、意外にも歌謡曲チックなミディアムナンバー。
ここまでの流れが良かっただけに、なんとなく肩透かしというか。
演奏的にも面白味がなく、ボーカルの不安定さだけが目立ってしまう。
音質の悪さも相まって、正直、良い部分を見つけるのが難しい・・・
好きなアーティストではあるけれど、これは蛇足感が否めませんでした。

「煌く表舞台」は、Gt.舞己さん作曲の楽曲。
再び、メタル系のアプローチにはなっていくのですが、開けるようなポップさがあるのが、これまでの楽曲との違いでしょうか。
やろうとしている方向性は、バラエティを広げる意味でも重要。
ただ、低く沈んでいくようなミサさんの声にハマっていないのが残念かな。
もっと垢抜けたボーカルさんなら、より良い仕上がりだったかと。

総合的に、竜頭蛇尾という印象は拭えず。
序盤は、ネオクラ・メタルを意識したサウンドに溢れており、勢いもあるのですが、後半、バラエティを出そうとしたところで、派手に転んだなぁ、という感想。
ボーカルスキルが、やろうとしている音楽に追いついていないし、演奏も、アレンジのセンスやテクニックがあるのはわかるのだけれど、それを100%活かせる音圧になっていないのが、実にもったいない。
ポテンシャルは、間違いなくあるのだが。

クラシカルで様式美。
なんだかんだで、ミサさんの楽曲が好みなのだと再実感させられた。
一方で、それを踏まえても、聞き苦しさを感じてしまうわけで、そこは、万人にはおススメできるCDではないということでしょう。
このバンド、現代の音質で復活してくれないかしら。

<過去のKlein Kaiser に関するレビュー>
freeza