LOST VOICE / aim | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

LOST VOICE/aim
¥1,260
Amazon.co.jp

1. LOST VOICE
2. Hysteric Liar

ex-ケミカルピクチャーズのSchwarzさんが中心となって結成されたaim。
2011年、Vo.Reiさんの脱退により解散となってしまいましたが、楽器隊は、そのままGALEYDに移行しています。
Gt.SchwarzさんはMeku、Ba.SakuraさんはToki、Dr.ShotaさんはNikkyと名前を改めていますが、実質的には、GALEYDの前身バンドと捉えてもいいのでしょうな。

音楽性としては、V系風のメタルコアや、エモ/スクリーモを軸としていたようですね。
聴いてみると、このサウンドの延長線上にGALEYDがあるんだな、と理解できる内容。
その中で、より荒削りで、衝動的という印象を受けます。
初期衝動を、節々で感じることができる。

表題曲は、メタル色の強いハードチューン。
ドコドコと激しいドラムと、スタートダッシュを狙うかのようなデスヴォイスにより、男らしく迫っていきます。
ラップロック的な場面があったり、再び硬質なメタルサウンドに帰ってきたり、4分に満たない楽曲の中で、ドラマティックに展開していく構成が面白い。
サビになるとキャッチーに開けるあたり、この手のバンドのお約束といったところですが、シングルとしては聴きやすさを求めるアプローチも間違ってはいないかと。

カップリングの「Hysteric Liar」も、荒々しくまくし立てるロックナンバー。
Schwarzさんのギターテクが炸裂しており、ギターの音色から耳が離せません。
間奏でのソロパートが、特に演出が効いていて格好良いな。
歌メロのパンチ力に欠けてしまったのが、もったいない。
ギターに負けないフレーズが飛び出していれば、インパクト絶大だったのに。

まぁ、よく言われていたとおり、DELUHIっぽさは漂っています。
J-ROCKシーン全体で、エモ/スクリーモにチャレンジするバンドが増殖していた時代なので、DELUHIのフォロワーというよりも、"被った"に近いのかもしれませんけれど。

ジャンルが飽和していくと、課題となるのは、やはり個性。
黎明期であれば、これだけ初期衝動をそつなくパッケージできていれば、十分に合格点なのですが、少し登場が遅かったために、埋もれてしまった感はあります。
キャッチーになったところでの勝負で、やや勝ちきれなかったのが残念。

それでも、テクニックや、楽曲に吹き込まれた勢いには、目を見張るものがある。
男受けしそうな音楽性ではありますし、硬派なサウンドを求めている人には、とっつきやすいでしょう。
GALEYDが好きな人なら、起源を探る意味で、aimを振り返ってみるのも一興かと思いますよ。