WORLD end’s GALAXY / 少女-ロリヰタ-23区 | 安眠妨害水族館

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WORLD end’s GALAXY/少女-ロリヰタ-23区
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1. everlasting my fate
2. 銀河ノ翼-GALACTIC WING-
3. WHITE BLADE.
4. ―HIKARI―
5. 仮想不夜城 feat.YOW-ROW(GARI)
6. Levis est fortuna:id cito reposcit quod dedit.
7. ティアーズ
8. I'z
9. Bad City
10. アルメリア
11. MILKY WAY DRIVER
12. B.I.O.S-バイオス-
23. 螺子時計リビドゥー

少女-ロリヰタ-23区の、オリジナルとしては3枚目となるフルアルバム。
Vo.総史さんの加入後としては、ミニアルバム、「星帯次元区域ミネルヴァ」に続く、2枚目のアルバム作品となっています。

シングル4曲、カップリング1曲、前作のミニアルバムから1曲と、実質、新曲は半分。
これを、どう捉えるかといったところですが、代表曲を押さえたうえで、アルバムの形にまとめたという意味では、バランスがとれた良作かと。

ジャケットからも想像できるように、近未来的なデジタルサウンドを要所要所に。
近年のキラキラ系サウンドに近接した感があり、飽和してきたシーンから、次の居場所を見つけたといったところ。
メロディアスなポップロックに、サイバーでエレクトロな質感を強めています。
更には、ハードなズタズタナンバーや、エレクトロに近づけたポップチューン、わかりやすいバラードに、お洒落系的なノリまで。
ある程度の一貫性の中に、多様なセンスを上手く融合させた器用さがうかがえる1枚です。

構成としては、前半にシングルを含めたキラーチューンを固めているのかな。
中盤でも、「I'z」、「Bad City」と続く場面がありますが、こちらは、どちらかと言えば、舵取り的な役割になっていて、勢いを付けているのは、間違いなく序盤の畳み掛け。
特にトップバッターを務める「everlasting my fate」が、シングル曲に引けを取らないハイクオリティな仕上がりで、アルバムの全体を示唆する役割を担っていました。
ヴィジュアル系との親和性も高い、浅倉大介的なサウンドと、メロディ運び。
ダンサブルで、盛り上がりポイントも明確、その後の展開に期待できるスタートダッシュを見せます。

アクセントとして、中盤に挿入される「仮想不夜城」、「Levis est fortuna:id cito reposcit quod dedit.」のコンボというアイディアも面白い。
とにかく、その音楽性のギャップに耳を奪われてしまいます。
完全にエレクトロに特化している「仮想不夜城」と、ゴリゴリのバンドサウンドで攻める「Levis est fortuna:id cito reposcit quod dedit.」。
どちらも、彼らの音楽性のファクターではあるのですが、極端にどちらか一方に振り切って曲を構築しており、どちらも「らしい」のに、まったく違うバンドのように振舞ってみせる遊び心。
フルアルバムだからこそ、可能となる試みだったでしょう。

後半は、アルバムとしてまとめ上げるために、再び王道路線へ帰結。
バラードに、メロディアスチューン、最後は、ダンサブルで展開が多い「B.I.O.S-バイオス-」と、綺麗に終わらせています。
欲を言えば、この辺りにもうひとつ、大きなインパクトが欲しかったところですが、俯瞰的にバランスを見ての配置ということは伺えますので、素直に完成度が高いと言っていいのではないでしょうか。
バンド名にちなんで、23トラック目には、1期時代のナンバー、「螺子時計リビドゥー」も収録されており、その辺のファンサービスも、わかっているなと。

初期は、1曲1曲にすべての強みを取り込もうというアプローチをとっていたこともあり、曲単位での衝撃度という点では、第二期になって薄まったのは確か。
しかしながら、そのアプローチを、1曲の中だけでなく、アルバムという作品の中に散りばめたのだと考えれば、むしろ、これは正当な進化なのではないか。
自らの音楽性における強みを分解して、細胞の1個1個を、より強固に再構築した結果が、本作なのだと思えてしまいます。

デジタル&コズミックなサウンドの集大成。
このご時世で、複数売りをしていないところにも好感が持てますし、最近のバンドに手を出しあぐねている人には、導入としてはおススメのアルバムです。

<過去の少女-ロリヰタ-23区に関するレビュー>
23区幾何学缶。